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藤吉郎におまかせあれ  作者: ヤブ医者
信長 尾張の小大名時代編
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稲生の戦い1

第1章別の道


辺りはざわついている。

「殿はまだか?」

「また遅刻か」

月一回の評定、信長はいつもの様に遅刻してきた。

「イヤー、すまんすまん」

そんな信長に恒興が

「殿っ!そろそろ反省してくだされっ!何故いつもそう、そもそも殿には…」

「うるさいうるさいっ!」

信長はそんな恒興の言葉をさいぎった。

「仕方が無いだろう。起きれなかったんだ」

いやっ寝坊かよそれよりそれを素直に言うか?

そんな時誰かが怒鳴った。

「殿には主君としての自覚があるのですか?」

その言葉をはなったのは柴田勝家だった。

柴田勝家、信秀時代からの武将。信長の家督争いの際初めは弟の信行についた。その後織田家で重視される様になっていった。

うわー敵意丸出しじゃん。

今の信長には外だけじゃなく中にも敵が多い。

柴田勝家もその一人、勝家、林秀貞、通具は信長を廃し弟の信行が家督を継ぐことを願っている。

他の家臣達も信長をよく思ってない者が多い。

「何を言うかっ!信長様が君主の器ではないとっ!」

怒鳴り声が響く。

声の主は森可成だった。

森可成、槍の名手で1555年の清洲城攻めで織田信友を討つなど様々な戦果をあげた。1565年にはその功績を認められ美濃金山城を与えられた。信長上洛にも従軍し上洛後は近江宇佐山城を与えられた。

可成は信長派だ。

信長には可成の他佐久間盛重や信盛など少数ながら味方がいる。

「殿は素晴らしいお方だっ!」

可成は怒鳴り続けた。

勝家も負けじと

「そうは言っていない。ただ殿に自覚があるのかと言っているのだ」

「同じではないかっ」

『そうだそうだっ!』

と声がとんだ。

ここからはもう何が何だかよくわからない。

辺りから罵声が飛び交いついには取っ組み合いの大乱戦となった。

俺は初めは関わらない様に黙って見ていたが恒興に「止めに行くぞ」

と言われ止めに入った。

だが結局利家に殴られ自分も乱戦に参加してしまった。

「何故俺の事を殴ったんですか師匠っ!?」

「お主がわしのじゃまするからじゃろうっ!」

俺達が無意味な師弟対決を始めたその時

「止めろっ!!」

怒鳴り声が響いた。

『信長様…』

その声は信長のものだった。

「本日は解散する…」

そう言い残して信長は去っていった。

こうして信長と信行の兄弟対決が幕を開けた。


「ふっやはり家臣のほとんどが我らの味方につくなっ」

勝家は村兄弟にいった。

「そうでしょうなぁ勝家どの」

村秀貞は答えた。

三人は今先ほどの評定を解散して廊下を歩いている所だ。

「ならばすぐさま計画を始めましょう」

通具は怪しげなわらいを浮かべながら言った。

三人は別れた。


「何っ?信行が織田家代々の官位である禅正忠を自称しただと?」

あの評定の3日後信長の元にその報せが入った。

伝令の兵士は

「はいっさらに殿のご領地である篠木などを奪い砦を築いているようにございます」

それは信長への事実上の宣戦布告だった。

「ふんっ、信行は俺の下になどつかないということか」

信長は呟いた。

信長は伝令に

「佐久間盛重に名塚に砦を築かせろ」

と命じた。


末森城 信行の部屋


「兄上はあくまでもわしに好き勝手はさせないということか」

信行は静かに言った。

空は既に暗くなりかけている。

「その様ですな。殿は自分の状況をよく分かっていない」

勝家はいった。

その言葉に信行は

「だがじきに滅ぶ」

そう言って勝家を見て笑った。

その笑いの裏には様々な感情が詰まっていた。

「もう終わりだぁ兄上いや織田信長ぁ」


清洲城 信長の執務室


「信行様っ!謀反にございますっ!」

信長は筆を止めた。

「なんだと?」

信長は静かに聞いた。

「信行様が我らに反旗をひるがえしました。勝家殿秀貞殿、通具殿の他多数の武将が信行様がたにつきました」

信長は顔色を変えた。

「おのれ信行俺に歯向かうとは」

信長は一呼吸おくと

「出陣だぁっ!逆賊信行を討ちに行くぞっ!」

そう叫んだ。


その時俺は馬小屋で馬の手入れをしていた。

『信長様…』

信長はそこにやって来た。

「出陣だっ!馬を用意しろっ!」

そう叫んだ。

信長は俺に近づき

「猿お主はついてこいお主の策で信行に目にもの見せてやれい」

そう言ってどこかに言ってしまった。


第2章稲生の戦い


「師匠どこにむかってるんですか?」

俺は利家に聞いた。

「稲生原じゃ」

稲生原?稲生の戦いか。

稲生の戦い、信長と信行の家督争いが原因の戦い。

この時信長軍は約700人だったのに対し信行軍は勝家1000人、林兄弟700人、合わせて1700人だった。

信長軍の中心人物は佐久間盛重、森可成、佐久間信盛、前田利家、丹波長秀、織田信房達だった。

信長軍は稲生原にある川を渡った所に陣をしいた。

「猿何か良い策は浮かんだか?」

信長は俺に聞いてきた。

「まだ何も…」

この兵力さだ慎重に練らなきゃ兵士を見殺しにする

でもそうなるとなかなか良い策はあがらない。

信長は口を開いた。

「まず半分の兵で敵の様子を見るのはどうだ?」

なんだって?そんなこと出来るわけないそんなことすればほぼ確実に沢山の人間が死ぬ。

「それは出来ません」

俺はそう答えた。

「何故だ?」

信長は言った。

「そんなことをすれば沢山の人間が死にますそんなこと俺には出来ません」

信長は俺のことを見つめている。

「なんですか?」

俺はそんな信長に聞いた。

信長は

「お主は誰も死ななければ良いと思っている」

そう言った。

「当たり前です。俺は誰にも死んでほしくないそれは信長様も同じじゃないんですか?」

「俺もそう思っている、だが人はいつか死ぬそれは天命であり仕方のないことだ」

信長は静かにでも力強く言った。

「はい…」

「そしてそれは身近な人間も同じだ俺もな」

「何が言いたいんですか?」

「つまり俺はお前に殺す策ではなく生かす策を考えて貰いたい、敵味方関係なく。確かに俺がさっき言った策は沢山の兵が死ぬだが俺はそいつらを殺しはしない心のなかで生き続けるなんて言わないが俺は死んで行った者を忘れない、忘れなければ人は生き続ける人は実態を失っても誰かが覚えていてくれれば生き続けられるのだからな…」

俺はその言葉に聞き入った。

信長は声高に叫んだ。

「だからお主は迷うなっお主が良いと思ったことは迷わずやれ例えそれで誰かを失ってもお主がその者を覚えていれば良いのだから」

信長が何も恐れなかったのは単に残酷な男だったんじゃなくてこういう考えを持っていたからなのかもしれない。

信長は優しくて残酷な男だったんだ。

バサッ

信長は扇を開いた。

『人間五十年っ下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり、ひとたび生を得て滅っせぬもののあるべきか滅っせぬもののあるべきか』

「藤吉郎っ!迷うなっ!自分の信じた道を行けっ」

そう叫んだ。

俺は小さくうなずいた。


信長軍は約半数で柴田軍に攻撃を開始した。

だが兵力差と勝家は戦が上手かったのが合わさり信長軍は苦戦を強いられた。


信長軍 本陣


「信長様っこちらの被害は甚大敵はこちらに向かって来ておりますっ」

くそっやっぱりだめか。

「信長様ぁっ、勝左衛門殿討ち死になされました」

「何っ?勝左衛門がか?おのれ信行ーっ」

『敵が本陣を突破したぞっ!』

『殿を守れっ』

くっついに来たかっ。

ついに本陣が突破されたでも俺は何もできない。


稲生原 信長軍最終防衛線


ついに本陣が突破されたここを守り育てきらなければ勝家軍は信長の元にたどり着き信長に襲いかかる。

だがここにいるのは森可成と織田信房を含め40人程だった。

「ずいぶんと連れてきたな、なぁ信房」

可成は信房に言った。

「そうですな。だが雑魚が何人来ようとわしらのてきではない」

信房は答えた。

「ふっ、そうだな」

二人の前には勝家軍の大軍がぞろぞろとやって来ていた。

信房が言った。

「行こう信房林兄弟が来る前にな」

二人は大軍の前に立ち塞がった。

可成は

「敵は大軍だが弱兵揃いだ我らのてきではないわっ!」

『おぉーっ』

親衛隊は敵に突進していく。

先陣を切ったのは森可成と織田信房。

両軍はぶつかった。

敵は明らかにこちらより多かったが親衛隊にはまだ損害が出ていなかった。

それは可成と信房が奮闘したからだった。

「この先には行かせんっ!」

「お主らに信長様を殺らせるかっ」

二人の叫びに答えるように

『殺らせてたまるかっ』

『信長様は死なないっ』


信長軍 本陣


「最終防衛線は可成様と信房様率いる親衛隊が死守している模様」

「そうか」

信長は伝令にそう返した。

伝令は続ける

「ですがもう長くは…」

そうだろう親衛隊はわずか40人程だいくら突撃部隊が先に攻撃していたとはいえ数は500を超えるだろう。

くっどうするか?

その時信長が立ち上がった。


稲生原 最終防衛線


「くっこのままではっ」

信房は嗚咽を漏らした。

「まだ敵はいるな」

可成も弱気になっていた。

兵達も徐々に弱気になりはじめたその時

「おのれ信行っ!お主にわしを討つことなどできぬわぁーっ!」

その声は信長の声だった。

信房は驚いた様に

「まだ殿の陣までは相当あるぞ」

その声に可成は誇らしげに

「さすがは殿だっ」

敵は明らかに怯えていた。

二人は今が好機とみて

「今だっ敵を撃退せよっ!」

二人は声を合わせて叫んだ。


信長軍 本陣


可成と信房は見事敵を退けた。

その間信長は軍備を整えた。

「そろそろだな」

信長はにたっと笑うと。

「信行っ俺に逆らった事後悔させてやるっ!」

信長は高笑いした。

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