表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の森にダークエルフが倒れていたから助けてみた  作者: 積と和〝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/14

第1話 森で拾ったダークエルフ

 その日、俺――冴えないおじさん、佐倉潤也(さくらじゅんや)は、

森の奥で一人の少女が倒れているのを見つけた。

 黒い肌。銀の髪。長い耳。

 どう見ても人間じゃない。

「……おじさん」

 少女は弱々しく言った。

「ここは……どこ?」

「わからん」

 俺はそう答えた。

 なぜなら、俺も知らないからだ。

 数時間前まで、俺は日本の会社員だった。ブラック企業で働きすぎて、帰宅途中に倒れて――気づいたらこの森だ。

 つまり、異世界転移ってやつである。

 少女は少し黙ったあと、ぽつりと言った。

「……あなたも、迷い人?」

「たぶんな」

 そこで俺は気づいた。

 少女の体は血だらけだった。矢傷が三つ、剣傷が一つ。普通なら死んでいてもおかしくない。

「おい、大丈夫か」

「大丈夫……じゃない……」

 まあ、そうだろうな。

 俺はポケットを探った。

 すると――

【ユニークスキル《おっさんサバイバル》を取得しました】

 頭の中に声が響いた。

 次の瞬間、なぜか応急処置の方法が全部わかった。

「……マジかよ」

 俺は少女の傷を手際よく縫い、薬草を塗り、包帯を巻いた。

 数分後。

 少女は目を丸くした。

「……すごい」

「そうか?」

「その治療術……王都でも見たことない」

 マジか。

 ただのブラック企業サラリーマンなんだが。

 少女は少しだけ笑った。

「私、リィゼ。ダークエルフ」

 やっぱりか。

 ファンタジーの定番種族である。

「追われてたのか?」

「うん。人間の奴隷商人」

 うわぁ。急に治安が世紀末。

 俺はため息をついた。

「……とりあえず、腹減ってるか?」

「減ってる」

 素直だな。

 そのときだった。

 ガサガサ――

 森の奥から三人の男が出てきた。

「お、いたぞ」

「ダークエルフだ」

「これで高く売れるな」

 奴隷商人らしい。

 俺は立ち上がった。

「おっさんは引っ込んでろ」

 剣を抜いた男が笑う。

 だがその瞬間。

【スキル《おっさんパンチ》発動】

「……は?」

 気づいたら俺の拳が男の顔にめり込んでいた。

 ドゴォン!!!

 男は木を三本なぎ倒して吹き飛んだ。

 森が静まり返る。

「…………」

「…………」

 俺とリィゼは同時に言った。

「強すぎない?」

 残りの二人が震え始めた。

「ば、化け物!」

「逃げろ!」

 全力で逃げていく。

 俺は拳を見た。

「……なんだこれ」

 頭の中にまた声が響く。

【経験値獲得】

【スキル《生活魔法》《鑑定》《超回復》を取得しました】

 なんか増えた。

 リィゼがぽかんと口を開けていた。

「おじさん……」

「ん?」

「多分、あなた……」

 一拍置いて言う。

「この世界で一番強い」

 いやいやいや。

 そんなわけ――

 そのとき、森の奥から巨大な影が現れた。

 高さ三メートル。

 オマケに牙だらけ…の魔物。

「グオオオオオ!」

 リィゼが青ざめる。

「フォレストオーガ……!」

 ランクAの魔物らしい。

 だが俺の頭の中では。

【危険度:低】

 と表示されていた。

 いや絶対嘘だろ。

 オーガが突っ込んできた。

 俺はとりあえず――殴った。

 ドゴォォォォン!!!

 オーガは空に飛んでいった。

 星になった。

「……」

 リィゼが震える声で言った。

「おじさん」

「ん?」

「世界征服できる」

「したくねえ」

 俺は焚き火をつけながら言った。

「とりあえず飯食おうぜ」

 リィゼはしばらく俺を見つめていたが、やがて小さく笑った。

「……うん」

 この日以降、基本的に俺がリィゼに飯を作ってやることになる。

 材料さえあれば故郷日本の料理を作ってやった。

 こうして、世界最強のおじさんとダークエルフの旅が始まった。


 このときはまだ、自分たちが王国や魔王を震え上がるせることになることを知らなかった。

本日あと1話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ