ジン
彼女と夜道を歩いていた。
治らないはずの病気が治ったんだ。
それだけで奇跡なのに、今はそれ以上がある。
手を繋ぐ感触。
病弱だった頃からは想像もできないほど、元気な声。
笑い方も、歩き方も、全部が好きだ。
守るんだ。これからは。
――手が離れた。
いや、違う。
「……?」
彼女が倒れた。
まさか、病気――
「痛ッ」
遅れて、自分も崩れ落ちる。
ああ、そうか。
彼女も、俺も。
刺されたんだ。
視界の端で、男が見えた。
ヘラヘラと笑いながら、夜の向こうへ歩いていく。
彼女を見る。
彼女は、静かに俺を見て言った。
「貴方のおかげで、病気を乗り越えて生きられた」
「……幸せだったよ」
何も言えなかった。
泣くしかなかった。
違うだろ。
そうじゃねぇだろ。
守るんだ。
死んでたまるか。今なら――
今なら病院に行けば、まだ間に合う――
……。
目を覚ました。
「……死んでない!!」
ってことは――
「彼女も?」
「どっちも死んでるよ」
目の前の男が、軽い調子で言った。
「君も、ある意味ね」
「蘇生者として生き返った。保護って名目で働いてもらうよ。給料は出す」
………………。
「……俺達を殺した奴は?」
「ああ。今回でやっと捕まえた。死刑だよ」
「……なら、やらん」
数か月後。
「悪い知らせだ」
「君達を殺した犯人もね、蘇生者として生き返った」
一瞬、沈黙。
「……この前の話、まだ残ってますよね」
「もちろん」
男は、笑った。
「歓迎だ」




