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3-2 脳筋

「オラァァァ! チマチマと逃げてんじゃねェェェェ!」


 闇夜を引き裂く様に、断続的な爆音が轟く。

 何事かと目を向ければ、光が爆音に合わせて打ち上がり破壊と殺戮の嵐を生み出している。


 メイル・アルバンレストが、それぞれの手に掲げる大型ガトリング砲【ストームトルーパー】の掃射だ。

 空を飛び回る悪魔…魔界からの来訪者に、容赦無き弾丸の雨を見舞っているのである。


 廃墟群に潜伏する野良悪魔らを捕縛するべく、イーザをはじめ、ルシアとマリア、そしてこのメイルが任務に着いていたのである。


「メイルゥゥやめろ!! やたらめたら撃ちすぎだ!」


 しかし敵を捉えるなり、小さな少女は牙を剥き出しオラ付きながら突撃、乱射を開始したのだ。

 イーザの怒号も爆音に阻まれ届かないのだろう。


「マリアさん! すまねーが逃げ出した連中の確保を頼む!」


「はい分かりました〜」


 と、マリアはジャンプ。

 そして空中でピタリと静止。


 更に宙を蹴って、先に進んでゆく。

 足元に見えたのは、半透明の何か。


 マリアは防壁の生成を得意とする。

 あれは小型のバリアを発生し、その場に定着させ、足場として使用しているのだ。

 この様な、針の穴に糸を通し続ける様な繊細な魔術、彼女にくらいしか出来ないだろう。


「ルシア、は…見学の予定だったが、ちょいとマリアさんの手伝いを!」


「え〜話違う〜手伝いって何やんのぉ?」


「野良サキュバスを捕まる手伝いだ! マリアさんの指示に従ってくれぃ」


「はいはーい…人使い荒いよねマジで!!」


 と、コウモリ翼を動かし、先を行くマリアに追従するルシア。


「うらうらうらぁ!」


 眼下ではメイルが、地面を滑る様に高速移動しながら、バズーカ砲を、ミサイルランチャーを矢継早に放ち、オーバーキルの様相を呈していた。


「ちょっ、ちょっとォォォ!?」


 なので当然、流れ弾もあろう。


「ルシアさん慌てないで、これで--」


 だが、飛来した流れ弾を、マリアが構築した防壁が弾いた。

 カンカン、と音を立て跳ね返った弾丸は、まるで計算したかのように悪魔らに向かってゆく。


「はい、一安心ですよ」


「ありがと…ってかあれじゃ狂戦士よね」


「まあ、あれでも加減されていますからね。では私達はサポートといきましょう。えいやっ!」


 マリアが、手にしたメイス状の杖をヒョイと振った。

 途端に、飛び去ろうとしていた野良悪魔が、見えない何かに頭をぶつけた。

 見上げるが、そこには何も目視出来ない。

 しかし、恐る恐る伸ばした手は確かに壁に触れていた。


 悪魔は気づく。自身の周りを、防壁が覆っている事実に。

 まるでパントマイムの様に藻掻く悪魔に、マリアはニコニコしながら


「私の防壁は、こう使う事も出来ます。貴方の力では抜け出せませんよ」


 と、告げた。

 やがては悪魔も諦めたのか、抵抗を止め防壁内部で動かなくなった。

 というかグッタリしていた。


「あらあら? どうしたのでしょう…お腹が空いてしまわれたのでしょうか?」


「や、あれって酸欠とかじゃね?」


「いけません! 早く回復魔術を! ルシアさん防壁を叩き割って下さい!」


「へ? 防壁を解除すればいいじゃん」


「頑強に張ってしまったので解除には時間がかかってしまいます! ささ、容赦なく攻撃を!」


 そう言うと、マリアは手にしたメイスを、防壁に何度も振り下ろしていた。


「え、ええ…じ、じゃあマリアさがって! プロミネンス・アズヴァーン!!」


 ルシアが放ったのは、炎系統魔術の中級に位置する、巨大な火球だ。

 防壁に直撃した火球は爆裂し、それを瞬時に飲み込んだ。


「やった…?」


 しかし爆煙の引いた後、残っていたのはビクともしない壁と悪魔の姿。

 ルシアの魔術は、訓練の結果大分マシになったとはいえ未だに威力不足であった。


「え〜んダメじゃん!」


「どかんかい新入りィ!!」


 そこに弾丸を撃ち尽くしたメイルが乱入してくる。

 辺りには悪魔らが半分焦げて…殲滅したのだろう、死屍累々といった有様だった。


「ウラァァァァ!!」


 彼女は武器を放り捨てると、あろうことか防壁を己の拳で殴り付けたのだ!

 だが、防壁はハンマーを叩き付けられたガラスの様に、一撃で粉々になってしまったのだ。


「っしゃああ終わったァァァ!! イーザァァァ補給じゃああああ!!」


 そのままメイルは、爆炎を吐くローラースケートブーツで加速、地面を滑る様に移動し、イーザを拉致!

「え゛ッ!? きゃああああああああああーー!」彼の悲鳴が一瞬だけ響いた。


「あ、あの…ええと…化け物過ぎ…」


「さすがメイルさんですね。ではルシアさん、野良悪魔さんたちを捕縛しましょう」


「ええーメンドッ!!」


 こうしてルシアの研修、実戦編は終了した。

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