結局、それが言いたかっただけ
って、言うかこれってなろうに投稿していいのですか?
それは今から約10年前。
無料で読める小説投稿サイトがたぶん、まだそれほどなかった時代……。
大抵の人が自作のホームページで二次創作を発表していた頃の話です。
私は有栖川有栖作品が大好きです。
学生アリスも作家アリスも大好きなのですが、突き詰めれば火村先生のファンです。
謎めいた過去をお持ちでいらっしゃるようで、果たしていつか解明されるのかどうかと気になりながら新作を待ち続ける日々。
それはさておき。
10年前のある日、私がグーグルで『有栖川有栖』のキーワードを検索したところ、有栖川有栖作品の二次創作が置いてあるサイトを大量に見つけました。
カップリングはもちろん「火村×アリス」ですよ。
読んでみたらおもしろくて、ああ確かにあの二人は原作でも見事なバカップルぶりだったよなぁ~とニヤニヤしていました。
しかし。
二次創作を読んだことのある人なら誰しも、一度や二度は経験しているはず。
『こんなの○○(自分の好きなキャラ)じゃない……!!』
そりゃ、キャラクターや作品の捕え方は様々です。
でも……私がどうしても嫌だったのは、火村先生に関して言えば、彼を女遊びの激しいキャラで書いている作品でした。
本命はアリスなんだけど、やっぱり男同士だし、断られるのが怖くてなかなか気持ちを打ち明けられずにいて……それはいいです。萌えです。
でも。
欲求不満を解消するかのように、近づいてくる女達を片っ端から喰い散らかす……。
そりゃ原作でも火村先生はイケメンとして書かれていましたよ、確か。
女どもが放っておくはずがない、それは納得です。
そういうのがチーレムですか? あれ、違う?
それを見ていたアリスがだんだん心配になって……それもありうるでしょう。
ですが私に言わせれば、そんな男はただのクズ野郎です。私の大好きな火村先生をそんなキャラに書かないでほしいのです。
ところが、意外にもこの手の作品が多かったんですよね……。
しかも人気が高かった。
私も一応、性別は女ですが……女性は、たとえ彼氏(旦那)が散々いろんな女と浮気を繰り返しても、最終的には自分のところに戻ってきてくれる……っていうパターンが好きなんでしょうか?
私なら、そんな男性キャラを自作のなんちゃって推理小説に登場させたら、即効で殺してしまいますよ。
海に浮かんだ撲殺死体、あるいはゴミ箱に放置されていた刺殺体として。
そうして刑事達にこんな会話をさせます。
「こりゃ、相当な恨みがあったんだろうな。何箇所も刺されてる」(もしくは殴打されている)
「ガイシャは相当、女遊びの激しい男だったらしいですよ」
「容疑者多数か……」
そして終盤。
「デカ長! ガイシャには本命の男がいたそうです!!」
「本命の男……?」
「ずっと親友として付き合ってきましたが、本当はその男のことが好きだったそうです」
「……俺にはまったく理解できん世界だな……」
「自分にはわかる気がします」
「え……?」
ある時、当時交流のあった有栖川有栖ファンの仲間に『もう、そういう火村先生の出てくる作品を読むのは正直ウンザリなんですよ……』と、こぼしたところ、
『確かに、時々私もそう思いますよ。っていうか、その内容だったら別に、登場キャラが火村とアリスである必然性がないっていうのはありますね』
目から鱗でした。
仰る通り。
おかげさまですっきりしました。
ところで最近は『現パロ』なるものがあるそうですね。
例えば「進撃の巨人」を題材にした現パロ……異世界・過去・未来などを舞台にした作品のキャラクターがもし現代社会で生活していたら、というパラレル設定の二次創作だそうですが……それはかなりおもしろそうだと思います。
萌えますよね。
それに関しては肯定派です。
ただ、あまりやりすぎると、それこそオリジナルで書けばいいじゃんと思わなくもないですが。
いずれにしても、二次創作というのはなかなかに厄介と言うか……それなりに気を遣わないといけないなと考えました。
自分にとっては萌え極まりなくても、人によっては不快に感じる人もいる。
まぁ、それは何事もにおいてもそうです。
常に他者の気持ちを考えて行動したい。
できるものでしたら。
初めて書いたエッセイ。
まだまだ修練が必要なようです……。