濡れるキミ
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
昼過ぎまでは、秋の空は穏やかだった。
なのに、午後から急に曇り、仕事を終えて外へ出た頃には本降りの雨になっていた。傘は持っていない。駅から家までの半分ほどを歩いたあたりで、完全に濡れた。服は肌に張りつき、髪からも水が滴る。逃げる場所もなく、ただ早く帰ることだけを考えて走った。
玄関を開けると、まりもがすぐに顔を出した。
「おかえり……びしょ濡れだな」
「うん。急に降ってきて」
淡い緑の長い髪が肩に流れ、濃い緑の葉模様が部屋の明かりを受けて静かに揺れている。まりもは少しだけ眉を寄せた。心配しているのが分かる。
「すぐに着替えろ。そのあと風呂に入れ。冷える」
「わかった。……今日は雨降るって、言わなかったのにね」
「そうだな」
そう言われて靴を脱ぎ、リビングへ入る。濡れた服が肌に張りついて、動くたびに冷たい。まりもは何か言おうとして、一瞬言葉を止めた。
視線が、私の体に触れて、すぐに外れる。
雨で透けた生地が、身体のラインに沿って貼りついている。普段なら気にしないはずのものが、今夜は妙にはっきり見えるらしい。まりもの耳がぴくりと動き、視線がまた逸れる。普段の毅然とした様子とは違う、わずかな焦りが滲んでいた。
「……じっとしていろ。タオルを取ってくる」
「ありがとう」
「礼はいい。早く脱げ。そのままだと体に悪い」
声は低いのに、少しだけ早い。タオルを持って戻ってきても、目はあまり合わせない。濡れた髪を軽く押さえる手つきは丁寧なのに、どこかそわそわしている。
「まりも?」
「何だ」
「顔、赤いよ」
「照明のせいだ。黙って着替えろ」
いつもの言い訳だった。なのに、今夜はそれが少しだけ可愛く聞こえる。私はタオルを受け取りながら、小さく息を吐いた。冷たい雨の感触より、まりもの視線の方が、胸の奥に残っている。
「……なんだか、ごめんね。まりも」
「まりもって呼ぶな」
低い声が返ってくる。
でもその声は、雨の音の向こうで、わずかに熱を帯びていた。




