第15話「正体不明の正体」
「まさか、こんな大きな音がするとはな……」
またもや独り言を呟き視線を前に移す。
そしてそこに居たのは、机の上で崩れたあぐらをかいてこちらを見つめている
下着姿の少女だった……恐らくノックした時、その音に気付きこちらを見たのだろう。
長い前髪のせいで表情が分からないが、きっと驚いてるに違いない。紅葉はそう思った。
「うわっ! ノックしたじゃねーか!」
「やっぱり……人だったんだね……」
「あれ? 驚いていねーのか? と言うか恥ずかしくないのかよ!?」
「驚いた……」
「そうゆう風には見えないけどな……って早く服着ろよ!!」
少女はしぶしぶ服を着る。紅葉もその着替えシーンを
ジロジロ見つめるわけには、いかないので慌てて少女に背を向ける。
慌てて後ろを向いたから良く分からないが少女はなんだが納得がいかないようだ。
「何で服って重いんだろう……何で君はここに居るんだろう……
今って授業時間じゃなかった?」
「そりゃお前……服にそんな本詰めてたら重いわな。
それと今は授業時間だ、俺は新入生だからもう授業は無いんだ。」
「う~。私にはロンリネス/正体不明って言う誰にも会わなくなる力があるんだよ~」
それを聞き、正体不明之七不思議はこいつだと確信した。
そして服を着替え終わったらしく、やっと見る事が出来る、
正体不明之七不思議を。そしてそれについて少し確認してみる。
「お前、いつもそうやって誰にも会わなくして裸で本読んでるのか?
それとお前、正体不明之七不思議って呼ばれてるの知ってるのか?」
「正体不明之七不思議? それ、私だったんだ……
あと、裸じゃない。下着。」
「分かってなかったのかよ!? それと下着も裸も同じじゃねーか。」
「そんな事はどうでもいい。ところで君、何で私に会えたのかな?
ロンリネスって言う壁を越えて私に会えたって事は何か運命でもあるのかな?
あと、裸と下着は全然違う。あなたは下着でお風呂に入るの?」
「運命なんてないない。仮に運命だとしてもこの出会いは最悪だぞ。
俺にはお前たちの言う超能力とやらを無効化できるんだ。
それと、お風呂は下着で入いらねぇよ。って言うかそうゆう問題じゃねぇ。」
「むぅ~。何かロマンが無いね君……」
「お前は本の読み過ぎじゃねぇのか?」
「開巻有益って言葉を知らないの? 本を開けば必ず得るところがある。
読書は有益であるって事だよ?」
「知らねぇよ。俺は字だらけの本に興味はねぇ」
「むっ。それは本を侮辱してるのかな? だとしたら怒っちゃうよ?」
「何か、可愛らしいな。お前。」
「う、うるさい! 可愛らしくない! 私の気持ちが分かって言ってるの?」
「どんな気持ちだよ?」
「こんなのだよ!」
少女はほとんど見えない顔を赤くして2人以外誰もいない図書室で叫ぶ。
その声は広い図書室の中では良く響く。それからしばらく沈黙が続いたが
頬を膨らせている少女が話し始める。
「あれ? 何も起きないの?」
「何がだ?」
「……やっぱり無効化されちゃってる? ホントは君はここで照れなければおかしんだよ」
「何で照れるんだよ?」
「う~。私の力はロンリネスのほかにエモーションリンク/感情共有ってのがあって
私の感情を周りの人と共有する力なんだよぉ~」
「って事はあれか? お前は照れてたんだ。やっぱり可愛らしいな。お前」
「あ~うぅ~。女の人みんなにそんな事言ってるの?」
そう言われ今度は紅葉が顔を赤くして反論する。
「なっ!? そ、そんなたらしじゃねーよ。」
「って事は運命!?」
「ち、違う! ほら今のは場の流れじゃないか」
「場の流れで女の人を褒めるんだ。ふ~ん……」
ここまでほぼ止まる事なく話したがここでやっと少し間が空いた。
その沈黙の少しの間、少女はジッと紅葉をジト目で見つめていた。
髪が長くてよく分からなかったが……
「あ! え~と……話題変えよう。ところで何て名前なんだ?」
「私? 私はアンノウン。君は?」
「俺か? 俺は紅葉だ。」
アンノウンは可愛いですね~。
親バカですね^^;