ノベル2巻発売記念SS 花占い
短めです。
「そこの金の髪の美しいお嬢さん、花占いをやってみないか?」
デュークと歩いていると、道の隅に店を構えた女性に声をかけられた。
薄布で顔がよく見えないがどうしても気になり、横にいるデュークを見た。
「デューク様、行ってみても?」
「ああ」
じっと声をかけてきた人物を観察していたが、私と顔を合わせると小さく苦笑する。見知らぬ人物に警戒しつつも、私が期待のこもった表情でもしていたのか意見を尊重してくれたようだ。
占い師の前には桶があり、その横には様々な花があった。
「好きな花を一本買っておくれ。それが占い代になり、その花が占いに使われる」
「わかりました」
赤、黄色、白、ピンクと様々な色の花があるなか、私は白の花を一本取った。
「一枚、花びらを落とすといい」
言われるがまま、一枚取って水面に落とす。
すると不思議なことに風もないのにくるくると花びらは回り出し、渦が出来て沈んでいった。それからふわりと浮かび上がり、またくるくると回る。
「へえ」
占い師が感心するような声を上げた。
「何がわかるのですか?」
「あなたの運命は波乱に満ちているね。本来なら死んでいてもおかしくないよ」
その言葉に目を見張る。
私は死に役で盛り上げ役だった。そのせいで物語のヒロインであるベリンダに命を狙われ、今回も危なかった。
「そうですか。でも、生きています」
「そうだね。運命は絶対ではない。お嬢さんがそういう運命のもとにいるというだけで、諦めなければ道は切り拓ける」
「諦めなければ……」
諦めなかったから、今デュークと一緒にいる。
死に役から脱することができた。確実に掴み取ったものがある事実は私を強くする。
そこで占い師はまた桶のほうに視線をやった。
「だが、まだその運命の定めから脱しきれていないね」
いまだにくるくると忙しそうに回っている花びらが、私も気になっていた。
「さっき多めに払ってくれたからね。これをあげよう。気休めだがお嬢さんの役に立つときが来るかもしれない」
そこで小鳥が描かれたシルバーのメダルを差し出した。
「これは何ですか?」
「見た通り、ただのメダルだ。客の一人が占い代の代わりに置いていったものだが、なんとなくお嬢さんが持っていたほうがいい気がしただけだ。いらなければ捨ててもいい」
綺麗に磨かれたメダルは、この占い師を見た時のように妙に気になった。
「いただきます」
「そうかい。お嬢さんの行く末に幸あらんことを」
そう言って渡されたメダルを受け取り、ハンカチに包み鞄に仕舞う。
礼を述べ次の客が来たので、私たちはそそくさとその場を後にした。
「大丈夫か?」
デュークがそっと私の腰に手を添え、顔を覗き込んでくる。落ち込んでいるのかと心配してくれたのだろう。
「大丈夫ですよ。私にはデューク様もいますし、家族や友人がいます。一人では翻弄されていたかもしれませんが、運命に負ける気はしません」
「そうか」
「はい。それにあの花びらはあの後は一度も沈みませんでした。これから何かあるのだとしても、きっと乗り越えることができます」
死んでいてもおかしくないと言われ一瞬どきっとしたが、運命は絶対ではないとの言葉は胸に響いた。
たかが占いだ。
それっぽく言ってたまたま私の境遇に当てはまり、都合よくそう受け取っているだけなのかもしれないが、信じるも信じないもその人の勝手だ。
運命は打ち破れる。それを後押ししてもらえて嬉しい。
それでいいではないかと笑うと、デュークが眩しそうに目を細めた。
「ああ。何があっても絶対にフェリの手を離さない」
「ずっと繋いで一緒に歩いていきたいです」
私たちはそこで見つめ合い、指を絡め合った。
お付き合いありがとうございます!!
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嫁いだ先の騒動を書きたくハイファンタジーで登録しておりますが、恋愛要素もありますのでお気に召しましたらお付き合いいただけたら幸いです。
死に好きもSSや書き切れていないことを楽しい形で書けたらいいなと思っております。
またお会いできることを願って。




