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異世界に神様はいらない  作者: 春野 いつき
第2章 猫耳の少女
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第7話 にゃにゃのにゃまえは?

 


 お互いに気持ちを落ち着かせて、先ずは自己紹介から始めた勇馬だったのが……



「俺の名前は坂本勇馬。倒れていた所を助けてくれたんだよね?本当にありがとう」


「にゃあのにゃまえはにゃにゃだよ。よろしくねサカモトユーマ」


「うん、よろしくにゃにゃ」


「ん?にゃにゃじゃにゃいよ!にゃにゃだよ!」



 彼女は顔と猫耳を傾け、「なにいってるのー?」と不思議そうにしている。

 何故か禅問答を問われた勇馬は、意味が分からず問い返す。



「えっ?にゃにゃじゃないの?」


「だ か ら、にゃにゃじゃなくてにゃ・にゃ!」



 彼女は顔と猫耳をふるふると左右に振り、「ちがうよー」と否定している。



「ぐっっ……」



 可愛すぎる動きに、またトリップしてしまいそうだった勇馬は猫耳を視線から外す。

 同じ発音に聞こえた「にゃにゃ」は、少女からすると違うのかもしれないと勇馬は考えた。

 そして「名前」を「にゃまえ」と言っていたことを踏まえて、「な」が「にゃ」になってしまうのかもしれないと推理した。



「にゃな?」


「ちがうっ!」


「なにゃ?」


「ちがぁぁぁう!」


「なな?」


「そう、それ!もーっ人のにゃまえで遊ばにゃいで欲しいにゃっ!」



 勇馬は「プンプンだよー」と怒りをあらわにする猫耳を何とか見ないようにしながら、素直に間違えたことを謝りナナを宥める。



「それでサカモトユーマは、にゃんであそこで倒れてたの?」


「それは……」



 答えようとして勇馬は思い止まる。正直にありのままを話して、信じて貰えるのかが疑問に感じたからだった。

 しかしここで頭のおかしな人扱いされるのは面倒だが、この世界の情報を集める方が優先だと思い直し、先ずは当たり障りの無い所から話してみることにする。



「にゃに?どうしたの?」


「あぁゴメンね。気がついたらあそこで倒れてたんだよ」


「魔物に襲われたのかにゃ?あーでも魔物なら食べられちゃってるか。じゃあ野盗かにゃ?」



 その言葉に勇馬の頭から血の気が引いていく。

 魔物いるということは、ナナの言う通りあのまま外で倒れてたら死んでてもおかしくなかった。ナナに足を向けて眠れないなと思った勇馬は再び感謝を伝える。



「そ、そうだったんだ……とにかく助かったよ、ありがとう」


「無事でよかったよ~。ピカーって光とドーンって音がして見に行ったら倒れてたんだよ?」



 ストラと赤鎧が戦ってた時の余波のお陰で助けられていた事実を知り、勇馬は素直に喜べなかった。

 さりげなくその話をスルーし次に進める。



「それよりも困ったことがあるんだ。記憶が曖昧で、自分の名前以外よく覚えてないんだ」



 異世界とか神とか怪し過ぎる話は出来ないと判断した勇馬は、咄嗟に考えた嘘でナナがどういう反応をするか様子を伺う。

 これで怪しまれるなら理由をつけて逃げ出すしかない――と、勇馬はこの先の身の振り方を考え身構えた。



「か、可哀相すぎるよ!記憶喪失だにゃんて……んー?もしかしたら変にゃ格好してるし、迷い人の方かにゃ?」


「迷い人?」


「たまーに別のとこから来ちゃう人の事だよ。見たことない格好してて記憶あいまいとか、サカモトユーマと一緒っぽい?」



 足先から頭までなめるように見たナナは、迷い顔で思案している。

 説明を聞いた勇馬は迷い人とやらが、ほぼ間違いなく異世界からやって来た人達のことだろうと核心していた。どのくらいレアケースかまでは勇馬には分からなかったが、それなりに認知されているということはナナの言葉からも判断できる。

 問題は迷い人がどんな扱いを受けるかだな――と勇馬はナナに確認する。



「じゃあもし俺が迷い人だったら、どうなっちゃうか知ってる?」


「どう?」


「捕まえられたり、珍しくて売られたりしない?」


「捕まったりはしにゃいよ。まぁ奴隷に売られるのはあるも知れにゃいけど、それは迷い人じゃにゃくてもあるよ?」



 奴隷がいる事に驚きはしたものの、教えてもらった迷い人の処遇が想像していた中でも比較的易しいもので勇馬は安心した。


 カラーンカラーン


 突然聞こえてきた鐘の音にナナが慌てだす。



「たたた大変!用事があったの忘れてたよぉ」


「あっゴメンね。引き止めちゃって」


「怒られる!怒られるぅぅ!!と、と、とりあえず一緒に来て!」



 突然腕を掴んで走り出すナナに反応が出来ず、勇馬はズルズルと引きずられ小屋の外へ連れ出されてしまった。

次回更新日は7/7 0:00予定です

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