わたしは此処にいる
勿論、それは "骨" だった
――<二本>は
――人間の
――成人の
――足の骨だった。
――――――――――――――――――――――――
よって…――
"蜘蛛宇宙人" が
その<二本>を発見する前に発見した
より小さい部位は、
<爪先から踵にかけてのピース>に当たる。
――――――――――――――――――――――――
二本足が見つかってから、
"蜘蛛宇宙人" は
一時、
作業を中断した
――掘り進めるという作業を。
そして――見つけた "骨" を集めてみた。
ライトの下……――
二本足。
その下………――
爪先から踵までのピースは揃っていて
組み合わせれば
<足らしきもの>
になる……――
しかし、<足>とはなり得ない。
ピースは全て、白マテリアに塗れているから
――近づけて置くだけで
接着している様に見える…
――しかし、白マテリアに糊の効果はない。
また、ダンジョンに接着剤はなかった。
どう置いても、
ピースとピースの間には、
隙間が在った。
そして爪先同士
――足の甲同士
――生きていた頃の様に
相互作用する事はなかった。
生きていた事さえ”フィクション”だと観察者に思わせる様な
無機質さが
――すべてに
存していた。
究極の無関心。
"蜘蛛宇宙人" は
――観察を終えると
<足の裏>と<その表>の領域の間に在る物
――その化石である
"骨" をすべて纏めて
脇に寄せた。
次に、二本足を見た。
何の変哲もない、二本足。
見ただけで――二本足の "骨"。
重くもないし――軽くもない。
しかし、何も変哲もないからこそ――
妙だった。
二本どちらの真ん中にも、拳骨の様な隆起が在る。
そこは<Femur>と<Tibia>の境目だ。
そして、そこで分かれる筈なのだが……
――骨は分かれていなかった。
折れるべき場所は
――「ぴったり」
――と、くっ付き………
――軽く引っ張っても
離れない。
まるで、一本の棒が
骨の中を通って
繋がっているかの様だった。
――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人" は気付かなかったが……――
そこには
<Patella>がなかった。
<Fibula>もなかった。
――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人" は
二本足のうち一本を握ったまま、
<本当に膝の部分が曲がらないかどうか?>
試してみた。
曲がらなかった。
さらに力を入れた。
手の中で――罅割れた。
手を開いて――見た。
割れた骨が――粉の様。
掌と
手袋の平に
残っていた。
それは
――注意して見なければ
白マテリアと見分けが付かない程
似ていた。
確かに、骨は割れた…
――しかし
"蜘蛛宇宙人" の力によって
<すべて割れた>
訳ではなかった。
"蜘蛛宇宙人" が割ったのは、
表層部分
――それも
――ごく一部
だけだった。
骨の下には、一本の棒があった。
それが
――"蜘蛛宇宙人" が握った分だけ
剥き出しになっていた。
黒い棒。
小学校の校庭にある鉄棒のバーの様な硬さが在った。
<コバチ>をやるには――しなやかさが足りない。
そして……――硬さに相応しい”重さ”がなかった。
<それ>は、金属で出来ていた。
そして――直線に見えた。




