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第12話 ヒロインさん

 通路を抜けた先は、10メートルほどの距離を置いて、腰ぐらいの高さのカウンターで仕切られていた。


 カウンターの手前の空間は横幅が20メートルぐらいあり、その左右に転送陣の物と思われるブースが設置されている。


 カウンターの奥はちょっとした講堂ぐらいの広さがあり、何本もの太い柱が立ち並んでいた。



 鎧戸の開け放たれた窓から差し込んだ夕日が柱の影を落として、板張りらしい床が、黒とオレンジ色の縞模様に染められている。


 柱の間には10卓ぐらいの大きなテーブルと椅子が置かれ、疲れ果てた様子の冒険者たちが、ある者はテーブルに突っ伏し、ある者は椅子にグッタリともたれ掛かった様子で散見された。


 スペースの左右に開いた窓から風が吹き抜けているためか、むさ苦しい男達がたむろしている割には臭いもこもっていないし、屋外に比べれば随分と涼しく感じられる。



 広いスペースの右手には飲食物を販売しているらしいカウンターがあり、顔色の悪い職員さんと何体かのスケルトンが、カウンターとテーブルの間で忙しそうに立ち働いていた。


 左手の方には転送陣のブースの前に冒険者の列が出来ていたから、そちらが王都エクレシアへの帰還用転送陣なのだろう。


 転送陣に並ぶ列の向こう側にもカウンターがあるようだが、そちらの前にもちらほらと冒険者が並んでいるため、重なった人垣でカウンターの様子は覗えなかった。



 忙しそうなギルドの様子とは裏腹に、目の前を横切るカウンターの手前にはデスクが一卓、ぽつんと置かれているだけであった。


 広さとしては先ほどソピアさんと上がった楼門の二階に比べても倍近いのだが、物がない分だけ更に広く感じられる。


 というより机を一つ置いた所為でよけいに広く見えているのか?



 デスクの後ろに置かれた椅子には、ボクたちの方に背中を見せて小柄な人物がちょこんと座っていた。


 背後に近づいたボクたちの気配に気がついたのか、その人物がフワリとするような動作でこちらへ振り向いた。



 肩口で切り揃えた白銀の頭髪がさあっと流れて、夕日に染まってきらきらと輝いていた。


 前髪の下にある顔はというと……美人でした。


 年の頃は16~17歳の、呆然とするほどの美人。


 それも、前世と合わせれば50年以上の記憶を誇る(情けないから誇らないけどね)このボクにして、これまで見たことも無いと断言できるレベル。


 敢えてボクの乏しい表現力で表すなら、高すぎない鼻筋は細くスッキリと通っていて、ちいさくポッチリとした唇は艶のあるピンク色、その中でもとくにドングリの色を薄くして少し黄色っぽくしたような、いわゆるはしばみ色の大きな瞳が印象的だ。


 顔色が優れないのは仕事疲れってトコロだろうか?



 で、なぜ女性だとわかったかと言えば、胸が決定的なのであった。


 振り返ったときにも結構すごい勢いで揺れていたのだが、こうやってはすを向いた状態でも明らかにデカイ。


 下を向けば何の障害もなく自分のお臍が見えてしまうボクとは違い、ものすごい巨乳。


 ボクとしても未だ自分の将来性に絶望はしていないつもりだが、ここまでの格差を見せつけられると参りましたと言う他ない。



 その巨乳美人さんが、殆ど表情を変えずに口を開いた。


「ソピアさま、ごくろうさま、です。

 おつれのカタ、どなた、です?」


 微妙に言葉が辿々しいようだが、外国の人なんだろうか?


 コレまで異人さんは見たことがないので、ちょっと珍しい感じだ。



 美貌と胸にばかり気を取られて注意を払っていなかったが、美人さんの服装はゆったりとした半袖の上着に、これまたゆったりとしたズボンであった。


 白っぽい色の上着にはよく見ると細かい刺繍が入っており、薄い紅色をしたズボンの裾は足首の少し上で細く絞られている。


 異国風と言うには微妙なところだな。


 アクセサリーの類いを身に着けている様子はなかったから、こちらからも判別は難しい。



 ボクが熟々つらつらと美人さんを観察していると、ソピアさんが、


「いえいえ、あなたのほうこそ忙しかったのではないですか?

 それと、こちらのかたはアルツァ・ハルトマンさん、本日付でこのギルドに就職されたニュービーさんです」


 などと、い加減な紹介をされていました。


 ボクも慌ててご挨拶をば。


「あっ、は、はじめまして。

 今日からこちらでお世話になります、アルツァ・ハルトマンと申します」


 ふ~っ、アセってしまったよ、ソピアさんったらボクの紹介はしておいて、美人さんの名前も教えてくれないんだものな。


「そう言えばご紹介するのを忘れていましたね。

 こちらはエルダーゾンビのエキドナさん、こちらの管理棟での受け付け業務全般を担当して頂いています」


 相変わらず隙ナシのソピアさんだ。


 すかさず美人さんを紹介してくれたよ。


「エキドナ、です。

 あるつぁさん、よろしく、オネガイします、です」


 エキドナさんが微妙に表情を動かしながらペコリと頭を下げた。


 うわ~もの凄くカワイイ!


 こんなに美人で可愛いゾンビさんが居るとは、ボクも全般的にゾンビ一般に対する認識を改める必要がありそうだ。



 ……しかし顔色が悪かったのは、死んでいたからだったのか。


 にしてもこのギルドの死人率の高さは異常だな。





12話にして、やっとヒロインの登場です。


ギルドの正体が見えてきた今回から、タイトルとあらすじを変更しました。




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