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第6話 理想の彼氏など存在しない

私はその思いをぶつけた。

「ユキちゃん、マジに将来を考えた結論がこれだよ。私は頭悪くて働くのには向いてないから、高校卒業と同時に結婚しようと思う。最悪、フツメンで若い弁護士でもいいよ。男って若い女が好きだから、私レベルでもチャンスはあると思うけど……。実際はどうかね?」

「じゃあ、私が出会える確率を出そうか?」


数学の得意なユキちゃんなら、ちゃんとしたアドバイスを貰えそうだ。パパは現役の弁護士だしね。

「うん、頭の良いユキちゃんなら安心できるよ。早く教えて、教えて」

「まず、トキコがこの男性と付き合える確率が低いよ。まずは弁護士の合格平均年齢が30歳位だね。そもそも弁護士の最年少が確か23歳位だったし……。つまり、20歳で弁護士の人なんか存在しない。仮に20代半でなれる人でも、それは東大レベルの学力を持っている人だよ。そもそも、トキコと東大生は会話が合わない気がするけどね。正直、一緒に暮らしても辛いだけだと思うよ。トキコだって、そのくらい分かっているでしょ?」


うぐっ、ユキちゃんの言葉が胸にグサグサと突き刺さる。私はまるで黒ヒゲ危機一髪の人形のような気持ちになった。確かに言っている事は正しいけどさぁ、もっとオブラートに包んで欲しいなあ。


そして、ユキちゃんがスマホを弄りながら、更に厳しい現実を教えてくれた。

「それでね、日本人男性で身長180センチ以上の割合って7パーセントくらいで、イケメンは100万人に1人位のレベルだとすると、割合は6パーセントくらいになるよ。更にその中で弁護士の職業に絞り込むと……」


うわっ、出たよ、出たよ。数学大好きユキちゃんの確率論がね。こうなると話が長いのだ。そもそも、私は数学が大嫌いで分数の割り算も怪しいくらいなのだ。


私はワーワー叫んで言葉を遮った。

「わっー、わっー。もういい、もういい。聞きたくない、聞きたくないよ」

「いや、まだ続けよう。それでね、弁護士の人数が全国で4万人として、その中の男性弁護士の数が……」

「ユキちゃん、私の負けだよ。やめて、やめてよ。私には無理って事が分かったからさ」


あまりにも設定に無謀がありすぎた。身長180センチの男が全体の7パーセントで、イケメンも全体の6パーセントなんて、倍率があまりにも高すぎる。確かに、そんな男性が私を選ぶわけがない。


そう思うと、テンションがみるみる落ちていく。ついで、高校受験も落ちそうだ。


すると、ユキちゃんが笑顔で頬を突っついた。

「フフフ、分かればよろしい。その若さで楽ばっかりしちゃダメだよ。トキコだって、たくさんの良い所があるから落ち込まないの」

「うん、わかった」


私は素直に返事をしたが良い所などない。良い所がないから、カッコイイ男と結婚すれば、暗黒の中学時代を帳消しに出来ると考えていた。


例えば同窓会で、私を見下していた奴らに、カッコイイ夫を見せつけてやれば、いくらかは気分が晴れる気がするのだ。そういう生き方ってダメなの?

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