第1ー11話 一夜明けて
晴れてミアさんとお付き合いをすることになった順、生まれて初めて出来た「年上彼女」という単語は彼の脳内をグルグルと巡り、宿のベットの上で動けないにも関わらずはしゃいでいた。
段々と動く様になってきた体が、キスを思い出し徐々に体の奥から熱が溢れどうしようもないもどかしさに襲われる、自分の唇に少し手を当て彼女の事を思い出し、一人でニヤニヤとする仕草は不審者そのもの。
そうして不審者の夜は、何事もなく明けていった。
「おっおおおお、おはようございます」
「はい…お、おはよう…ござい…ます」
部屋の前でジュンとミアは、昨夜ぶりに再開するがお互いに緊張し言葉が詰まる、シュリの目から見てもお互いに奥手過ぎると思う程だ。
キスはしたのに、手すら未だ繋いでいない、さらにはお互いの顔を見ると動けなる程に初心過ぎる。
3人は前日に泊めていた馬車に乗り込み、村を後にするも、その馬車は微妙に会話し辛い状況が続いていた。
「ねぇジュンさん…」
ここで少々シュリが口を開く、ジュンはボケェっと開いた口を閉じ、シュリに視線を移す。
「ジュンさんとミアって…発展あったんだよね?」
「発展…発展…ふ…ふへへへ」
「(いつもと様子が違って、なんかキモチワルイ…まぁでも2人に進展があってよかった)」
遠目から王城へと繋がる、城下町の門が見えてきた頃、馬車が激しい揺れを起こし停車した。
ジュンは幸せボケした顔を引き締め、シュリに馬車の中に居るよう促し、馬車から降り既に運転席から降りているミアと肩を並べた。
「ジュンさん…気をつけてください。正面から鉄球が飛んできました、恐らく貴族院の刺客…かと」
確かに馬の前には、人の頭より少し大きいサイズの鉄球が、しかもご丁寧にトゲまで付いておりモーニングスターの形状に酷似しているが、モーニングスターとは大きく違うのは、柄の部分と連結される鎖が無い。
土煙の向こうから現れる、男女の一組は此方ににじり寄ってくる。
「言ったでしょ~、まだ少し遠いから我慢しなさいと。でもロベルト、貴方はいい子よ。オズを倒したっていう、あの男を引きずり出したのだから。」
「姉ちゃん…俺…偉い…?俺…がんばるぞ!!」
姉弟か…、一人は大柄でかなり筋肉質だが頭は弱いようだ。姉と呼ばれている、踊り子を連装させる服を着た女に褒められ、ゴリラの様に腕を上げ喜んでいる。
「ロベルト、貴方はあの黒い服を着た男を倒しなさい。お姉ちゃんは「戦乙女」と遊ぶから」
「うん…わかった。」
ジュンはこの異世界で生活し始め、徐々に自分の体の変化に気付き始めていた。大怪我や疲労などで戦闘不能になると、翌日目を覚ますと以前とは比にならない位、全身から力がとめどなく溢れるのが、実感として感じられている。
「ミアさん…一つ質問良いですか?」
「はい、良いですよ」
「武器や道具に魔力を与えたりする事は可能ですか?」
「まぁ可能ですよ、でも専用に作られた物でないと直ぐに壊れたり、刃こぼれしたりしますが、耐久度だけで考えれば格段に高める事は可能かと」
「壊れるか…まぁ、ここで殺されるよりマシ…かな」
ジュンは自身の懐から、折り畳まれた「警棒」を抜き、魔力で包み込むイメージで警棒を強化する。
ロベルトと言われていた弟は、両手をジュンの方へ掲げると全身から、バチバチと雷を発生させ始めた。何かとてつもない攻撃が来るのだろうか、そう警戒しロベルトに、警棒の切っ先を向け十分に間合いを測る。
「いだぁっ!!」
馬車の前に落ちていた、鉄球がジュンの後頭部へ激突し、ロベルトの手の中へと戻っていく。
「姉ちゃん…玉…当たった…でもあいつ…死んでない…なんで?」
こんな人間初めて見た、と言わんばかりにロベルトは困惑し姉に助けを求めオロオロとしている。
「…ったぁ…、ミアさんここタンコブ出来たかも…」
「あぁ…結構大きいの出来てますね」
ジュンはタンコブが出来た以外に、ほぼ無傷と言っていい、ミアもそれを見ると「うわぁ」と驚いている。
「だぁぁぁっ!もう怒った!ロベルトとか言ったな!この電撃ゴリラ!お望み通り俺がキチッと相手してやる!ミアさんの前でちょっぴり恥ずかしい事になっただろ!」
ジュンVS稲妻の狂戦士ロベルト・グレゴリア
TO BE CONTINUED




