悩んでいる私は。
お久しぶりです。
最近リアルが忙しく、あまり更新できません。
あ、話はそんなに進んでいません。
私は生徒会に入ったことはないため、書類の内容なんかは適当ですご了承ください。
「この書類は部費関係のものですから葵に。これは生徒会の定期発行している会誌のことですから颯に。ああ、これは体育祭の書類ですから統也ですね。なんとなくわかりましたか?」
「はい!」
「いいお返事です」
始まりの日から数日が経ち、正式に生徒会役員になった愛莉ちゃん。
流石ヒロイン、というか、かなり呑み込みが早いのでとても助かる。
今はそうでもないが、体育祭が近づくにつれ目の回るような忙しさになるのは目に見えているのだ。
それに、可愛い女の子が後ろをパタパタと小動物のようについてくるというのは、かなり癒される。
アニマルセラピーを無料で受けている気分だ。
ついつい犬を褒めるように頭を撫でてしまうが、愛莉ちゃんはほんのり頬を染めて嬉しそうに受け入れてくれる。
ああ、私が女じゃなかったら確実に愛莉ちゃんに惚れてたわ。
ヒロインの可愛さ、プライスレス。
「…真尋、この間の件だが」
「ああ、あれならすでに顧問に通してあります」
「そうか、流石だな」
「あなたのサポートが私の仕事ですから」
不機嫌そうに話しかけてくる統也へのご機嫌取りは忘れてはならない。
昔、不機嫌なのに気付かずに放置していたら、週末はほぼ軟禁状態で私にべったりくっついて離れなかった。
どうやら統也は執着心と独占欲がかなり強いらしい。
今はヒロインとのフラグが全く立っていないから私に心が傾いているし、軟禁は私もつらい。
もちろん、もし統也ルートに入った時に愛莉ちゃんがそれで苦労するのは心苦しいから、少しは矯正しようと思っているのだけれど、それが難しいのであって。
満足そうに微笑む統也は、身内の欲目なしにかっこいい。
葵や颯も含め生徒会の人気はすさまじくて、愛莉ちゃんは早々に目をつけられそうだ。
もしなにかあったらすぐに言うように愛莉ちゃんには言い聞かせたが、たぶん言ってきてはくれないだろう。
同じ学年の葵や要に見てもらってはいるが、葵は違うクラスだし同じクラスの要はそもそも教室に顔を出すことの方が少ない。
可愛い後輩である愛莉ちゃんになにかあるのは、たとえシナリオだとしても許しがたい。
どうにか回避できたらいいのだけれど…
「真尋?」
「、はい?どうかしましたか、統也」
「そっくりお前に返す。ため息なんてついてどうした」
「ため息…ついてました?」
「無自覚か」
呆れたように目を細められて、から笑いで返す。
統也の執着心云々のことをまさか本人に言うわけにはいかないし、愛莉ちゃんのことも、現時点の生徒会で一番協力的なのは颯だ。
葵は私に言われたから渋々、というのが見て取れるし、統也は学年も違うからそもそも頼めるようなことがない。
攻略対象がこんなんでいいのか…
「何か悩みがあるのか」
「愛莉さんが苛められないかという心配ならありますけど」
「へ、私ですか?」
きょとんと瞳を瞬かせる愛莉ちゃんに頷いて見せる。
心中だけならともかく自分たちのファンクラブのことを言葉にするのは恥ずかしいので何と説明したらいいものやら。
「あのね、俺たちにはファンクラブがあるんだよねえ」
「ファンクラブ?」
臆することもなく笑顔で話し始めた颯にぎょっとする。
おま、少しは恥らえよ…
にこにことファンクラブの危険性を話す颯は、女の恐ろしさを面白おかしく話していて、いまいち説得力に欠ける。
そこを笑い話にしてしまっては、危機感が薄れると思うんだが。
「女の人って怖いですね…」
「君も女だろう」
葵の鋭いツッコミが入るが、愛莉ちゃんと颯はスルーした。
葵、そこはもっと大きな声で言って会話に混ざるところですよ!
君たちちゃんとフラグをたてなさい!
…と大声で言ってやりたい気分だが、本末転倒なので耐える。
そもそもそんなこと言ったら頭のおかしい人認定されてしまう。
「とにかく、その、ファ、ファンクラブ…は過激派の方も沢山いらっしゃいますので、かならず些細なことも報告するように。愛莉さん、いいですか?」
「了解です!」
びしっと敬礼する愛莉ちゃん。
ファンクラブって口に出すの恥ずかしすぎてどもっちゃったし…尻すぼみになるし…
なんで一介の高校生にファンクラブなんてあんだよ…
乙女ゲームだからですかそうですか。
自分で言っといてなんだが、過激派ってなんなの。
あの子たちほんとに恐ろしいんだけど。
女生徒何人か退学に追い込みかけてるから。
見つけ次第謹慎とかにしてるけど、なんでなくならないかな。
高校生に謹慎、ってかなりの罰だと思うんだけど。
「真尋、何を考えてる」
「…わ、統也、近いです」
「何度も声をかけているのに上の空だからだろう」
「あ、すみません。過激派の方々のことを考えていて」
少し動かせば触れあってしまいそうな距離(どこがとは言わないけどね!)で話すから、当たる息がくすぐったい。
ほんの少しだけ身を引くと、気に入らなかったのか統也は私の腕を取り体を引き寄せた。
簡単に腕の中に納まってしまう。
男女の差とはいえ、非力な体だ。
「お前は俺のことだけ考えていればいいんだ。あんな連中のことなんて心に思い浮かべることも許さない」
おおう、ずいぶん俺様な…
耳元で吹き込むように囁かれ、体を震わせる。
なんか、背中がぞわぞわした。
「過激派とはいえ生徒ですから、全く考えないというのは流石に…」
「真尋ちゃん、そこは空気読んで!」
「というか、生徒会室でいちゃつかないでもらえますか」
声のした方を見ると、颯は呆れたように額を押さえていた。
葵と愛莉ちゃんは顔が赤くなっている。なぜ。
あと、別にいちゃついてないよ?
これくらいなら、日常茶飯事だし。
「真尋は男として通っているんだ、ここ以外のどこでやれと?」
「家でやりなよ…」
「しているが」
「それで満足してくださいよ!」
葵の悲痛な叫びに、愛莉ちゃんがうんうんと全力で同意している。
あの、そんなに首振ったらとれちゃうよ?
いや、それは冗談にしても、首痛めるよ?
「佐倉…今日ほど君がいてくれてよかったと思ったことはない」
「今まで一人でこれに耐えてきたんだね…お疲れ様」
「君は良い奴だな…」
ぽんぽんと葵の肩を叩く愛莉ちゃんに、感極まったように彼女を見る葵。
…あれ、もしかしてフラグ立った?
別に愛莉ちゃんは葵に落ちると決まったわけではありません。
そして、統也は確信犯ですが真尋は素で気付いていません。
子犬がじゃれてきている程度にしか思っていません。
統也、哀れ。
ちなみに今回の見どころは、個人的には真尋がファンクラブを吃るところだと思っています。
真尋可愛い(親ばか)