どうやら大変なことになっている私は。*
*がついている場合は愛莉ちゃん視点です。
というわけで、お待たせいたしました愛莉ちゃん視点です。
ぐだぐだなのはすみません。
皆さん初めまして!
私、佐倉愛莉です。
今日は皆さんに、私の大好きな先輩である東雲真尋先輩について話そうと思います。
真尋先輩はとっっても優しくて素敵で頭もよくて、生徒会では副会長をしていてみんなに頼りにされていて…まさに理想の王子様です!
ただ、真尋先輩は女の人なんですけど。
私がそれを知ったのはほんとに偶然のことで、でもそれは神様がくれた幸運なんじゃないかなって思います。
だって、そのおかげで真尋先輩と知り合えて、名前まで呼んでもらえてるんですから!
愛莉さん、って私を呼ぶ先輩の声はとっても優しくて…
聞いてるだけで笑顔になっちゃう声なんです!
あ、大事なことを言うのを忘れてました。
真尋先輩は、男装してるんです!
それもこれも、真尋先輩の婚約者の一宮先輩のせいなんです。
二階堂先輩に聞いたんですけど、一宮先輩は凄く独占欲が強く、真尋先輩が他の男の目に入ることすら嫌がっていたらしいんです。
ただ学校はどうしようもないので、妥協案として男装させることにしたそうです。
確かに、男の人に男の人は寄っていきませんよね。
でも、さすがにそんなのやりすぎです!
決して真尋先輩のスカート姿が見たいとかそんな欲望から言っているんじゃないですよ!
…もちろん、見れるのなら見たいですけど。
真尋先輩はお綺麗ですから、きっとどんな服だって似合います!
って、話がそれちゃいました。
とにかく何が言いたいかというと、私は真尋先輩は大好きですが、一宮先輩は苦手だということです。
…でも、一宮先輩と真尋先輩が並ぶと、凄く絵になってお似合いなんです。
微笑みあう二人の写真は、校内で高値で取引されているとかなんとか。
私もほし…はっ、なんでもないです!
***
そういえばこの間、こんなことがありました。
私は最近真尋先輩に生徒会の仕事について教えてもらっています。
ほとんどが書類の仕分けで、これから大変になるので今のうちに教えられるだけ教えてもらえるみたいで。
真尋先輩は丁寧に教えてくれるので、分かりやすいです。
頭を撫でられて嬉しくて笑顔になっていると、真尋先輩の後ろから不機嫌そうな一宮先輩が真尋先輩に話しかけました。
真尋先輩はそれにすぐに対応して、極め付けには「あなたのサポートが私の仕事ですから」って言ったんです!
一宮先輩はそれを聞いて愛しそうに微笑むし…
当事者じゃない私が、なんだか恥ずかしくてそわそわしてしまいました。
いつもの微笑みのまま一宮先輩を見ていた真尋先輩が、急にため息をつきました。
一宮先輩は怪訝そうな顔で真尋先輩を見ます。
真尋先輩は自分がため息をついたことに気付いていなかったようで、一宮先輩の疑問に目を瞬かせました。
一宮先輩は呆れた風を装っていましたが、私の目はごまかされません。
そんなところも愛しいと目が語っています。
たたた、大変です!
まさか真尋先輩の憂いが私のことだとは思いませんでした!
二階堂先輩曰く、生徒会のメンバーにはそれぞれファンクラブがあるそうで。
その中の過激派と呼ばれる人たちは、これまで生徒会に近づいてきた女生徒をことごとく排除しにかかっているそうです。
何人も不登校に追い込んだことがあって、私がそうならないかを真尋先輩は心配してくださっているみたいです。
「女の人って怖いですね…」
「君も女だろう」
思わず呟くと、三瀬君から鋭いツッコミが飛んできました。
ですが今は二階堂先輩の話を聞くことが先決です!
三瀬君、無視しますごめんなさい!
「とにかく、その、ファ、ファンクラブ…は過激派の方も沢山いらっしゃいますので、かならず些細なことも報告するように。愛莉さん、いいですか?」
「了解です!」
吃る先輩可愛い!…じゃなくて。
言い聞かせるように人差し指をたてる先輩に、びしっと敬礼を返す。
そのまま顎に手を当てて考え込む真尋先輩。
たぶん、過激派について考えてるのかな…一宮先輩が近づいても全く気づきません。
それに不機嫌になった一宮先輩が声をかけながらぐっと距離を詰めました。
少し動けばく、く、唇が触れてしまいそうな距離にも動じない真尋先輩は凄いです…
そのまま真尋先輩の腕を引いて腕の中に閉じ込め囁く一宮先輩。
それに軽く体を震わせる真尋先輩…
う、うわあああああああああ!!!
顔が真っ赤になるのが分かります。
ちらっと横を見ると三瀬君も顔が赤くなっていて、ちょっと親近感。
「真尋は男として通っているんだ、ここ以外のどこでやれと?」
「家でやりなよ…」
「しているが」
「それで満足してくださいよ!」
勇者三瀬君と二階堂先輩の訴えにぶんぶんと首を縦に振る。
そんなことをいつもやられたら、心臓がもちません!
「佐倉…今日ほど君がいてくれてよかったと思ったことはない」
「今まで一人でこれに耐えてきたんだね…お疲れ様」
「君は良い奴だな…」
肩を落とす三瀬君の肩をポンポンと叩くと、三瀬君は感極まったように私を見た。
なんだかんだ二階堂先輩は慣れてるみたいだし、これに一人で赤面するのは辛いよね…
心中お察しします、と呟くと、疲れたように吐かれたため息に、三瀬君が可哀想になった。
真尋先輩と一宮先輩のカップルは、凄く心臓に悪いです。
愛莉ちゃんはどうやら統也を完全に攻略対象から除外しているようです。
今のとこは葵が一歩リード?というところでしょうか。
生徒会の中では真尋の好感度が一番高いですが(笑)
真尋はいったいどうするのでしょうか。
次回は過激派ファンクラブとの対決…になるといいなあ。




