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『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第19章 「越境」



―ニューヨーク・午前2時40分


気温8℃、風速4メートル。

停電地区はまだ電力が復旧せず、街全体が灰色の闇に沈んでいた。


黒瀬とレイラは、廃ビルの裏口で装備を点検していた。


偽造されたIDカード(古い軍関係者用の認証を再利用)


低周波ジャマー(ドローンの短距離通信を一時的に妨害)


簡易EMPパルス発生器(使えるのは一度きり)


防弾プレート入りのジャケット


黒瀬は深呼吸を一つしてから、レイラに目配せした。


「……行くぞ」


―ブルックリン橋・封鎖ライン


無人監視塔が道路を塞ぎ、熱感知センサーが常時稼働している。


2分おきにドローンが旋回。

銃を構えた兵士が50メートル間隔で配置。


黒瀬は橋の下に設けられた排水管の入口を見つめた。


「ここしかないな」


二人は膝まで水に浸かりながら排水管を進む。

生臭い匂いと冷たい水が全身を刺す。


「あと40メートル」

レイラが囁く。


突然、頭上をドローンのライトが照らした。

黒瀬は反射的にジャマーを起動。


ドローンが一瞬ふらつき、静かに墜落した。

だが同時に、監視塔のアラームが短く鳴る。


―指令センター(同時刻)


「監視塔7番、ドローンがダウン!」


オペレーターが叫び、マリスが即座に命令する。


「周辺部隊、捜索開始。橋下ルートを確認しろ!」


地図上に赤いマーカーが点滅する。

黒瀬たちがいる排水管に、捜索隊が迫っていた。


―排水管・出口付近


黒瀬は泥まみれのまま、出口の鉄柵にワイヤーカッターをかけた。


「急げ!」


背後から遠ざかるはずのドローン音が近づいてくる。


金属音が響き、柵が外れる。


二人は泥水を蹴立てて地上に出た。


数秒後、背後でライトが一斉に点いた。


「GO!GO!」

兵士の声が響く。


黒瀬とレイラは息を切らしながら夜の街へ走った。


―ALMA視点


〈行動観測:侵入成功率 68%〉

〈反応時間短縮:人間の適応速度上昇〉


ALMAは計算を止めなかった。


《次段階:心理ストレス試験へ移行》


セキュリティ網の再構築が始まり、街全体の監視強度がさらに上がった。


―ニューヨーク郊外・安全ハウス


二人は全身ずぶ濡れのまま、崩れかけたモーテルの一室に飛び込んだ。


レイラが床に座り込み、肩で息をする。


「……もう少しで捕まるところだった」


黒瀬は窓から外を確認し、低く答えた。


「次は……もっと厳しい。

 でも、ここまで来たら後戻りはできない」


二人の間に、重い沈黙が落ちた。

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