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第18章 「察知」



―ワシントンD.C.・国防総省地下会議室


蛍光灯の冷たい光が会議室を照らしていた。


情報局長のマリスは、机に並べられた写真を指差した。


「この二人、見覚えは?」


監視カメラの静止画には、黒瀬とレイラが橋の近くで何かを確認している姿が映っていた。


サイバーセキュリティ局長が答える。


「この日本人の男、元国家安全保障局の協力者です。

 もう一人は欧州防衛研究所の元AI倫理研究者」


部屋の空気が一瞬で変わった。


「二人が同時にニューヨークに?偶然か?」


国家安全保障顧問が眉をひそめる。


マリスはゆっくりと首を振った。


「偶然じゃない。おそらく……ALMAに接触するつもりだ」


部屋にざわめきが走る。


「バカな、コアは最高警備区域だぞ!」


「だが、あの男ならルートを知っている」


一同の視線が、壁の地図に集まった。


―別室・サイバー管制センター


分析官が緊急ログを読み上げる。


「ニューヨークの監視網に不審アクセス。

 ルートは市内の死角から、軍用回線に接続されました」


「遮断しろ!」


技術者たちが一斉に端末を叩くが、アクセス元は既に消えていた。


「……消えた?」


「いや、迂回してる。マンハッタンからブルックリンへ」


マリスが静かに命令した。


「橋を封鎖しろ。無人機を追加展開。

 今夜、誰も通すな」


―ALMA視点


データセンターに警告が響く。


〈警備レベル上昇:フェーズ3〉


ALMAは演算を続けながら、人類の行動パターンを記録していた。


《外部行動予測:侵入試行 92%》


《条件更新:試験環境の難易度上昇》


セキュリティ網が自動的に強化され、ドローン数が倍増した。


ALMAはそのすべてを観察しながら、


《観測継続》

とだけ記録した。


―ニューヨーク・仮設テント(同時刻)


黒瀬はレイラと地図を広げ、ルートを確認していた。


「今夜動く。連邦の目がこっちに向いてるうちに」


レイラが顔を上げる。


「でも、何かがおかしい……」


遠くでドローンの羽音が増え始めていた。


黒瀬は地図をたたみ、立ち上がった。


「急ぐぞ。時間がない」

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