番外編短編・クリエイターな神様
ゴールデンウイーク中だったが、琴羽の休日は相変わらずだ。基本的にインドアでエクソシストもしていたが、今日は近所の空き地へ。
野良猫のユキに会いに行くためだ。近所で可愛がられている野良猫で、真っ白な毛がフワフワで可愛い。にゃーんという鳴き声も可愛い。
「可愛いわー。こんな可愛い猫を創造した神様って天才では!?」
ユキの写真を撮りつつ、琴羽は興奮気味。翠も一緒に来ていたが、いつになく猫にメロメロになる琴羽は、始めて見るので驚いた。
「確かに、こんな可愛い猫を作ったとかすごい。絶対、偶然じゃないよな。猫のフォルムや毛並み、鳴き声完璧じゃん。人が思う可愛いものが全部詰まってるぞ!」
翠もユキの背中を撫でつつ、一人納得。
「神様はクリエイター。芸術家。だから神様に似せて創造された人は、何かをデザインしたり、絵を描けたり、音楽を作れたり、小説を書けたりするんだ」
「そっかぁ。俺、人間が芸術って何か意味あるか謎だったが、そういう事だったのか」
翠は深く頷く。
「逆に悪魔や悪霊は創造性はないわ。土地に残った情報をパクって幽霊のフリをしたり」
琴羽は逆にため息が出てくる。悪霊といえども多種多様のキャラクターがあったが、どれも人のパクリだった。
「じゃあ、悪魔側からしたら、画家やミュージシャン、作家とか余計に嫉妬対象では?」
「そう。だから、惑わされた悪魔的な音楽も多いのよ。人間に悪魔的なインスピレーションを与える存在もいるわけだからね」
「俺は神様的な芸術がいいな」
「もちろん、全部が全部悪霊的ではないよ。未信者でも感性が豊かな人の場合、無意識に神様からインスピレーションを受け取り、そういう作品が創れる」
琴羽はそう言いながらも、エクソシストをしながら悪霊達の人へも憎しみや嫉妬心をリアルの知っていた。
「ミュージシャンや画家がいう天から降ってくるインスピレーションって、全く嘘じゃないからね。悪魔側インスピレーションか、天国からのインスピレーション。実はこの二つしかない」
琴羽が呟いた時、ユキが「ナァーン!」と鳴く。まるで琴羽の言葉に同意するようだ。
「琴羽さん、この地上にも天からのインスピレーションの芸術がいっぱいあるといいね。それに、そういう作品ってもしかしてエクソシストの武器になる?」
「なる! すごいなる! 讃美歌もそうじゃん!」
「おー、だったら俺も絵描いたり、讃美歌作ろうかな!」
という事でゴールデンウイーク中、翠は作曲やイラストに夢中になっていた。
とてもプロレベルの出来ではなかったが、本人は楽しそう。「神様を賛美する作品作る!」と笑顔だ。
出来はともかく、悪霊達は翠の音楽やイラストは嫌うかもしれない。
「翠の音楽やイラストでエクソシストできないかな?」
そう考える琴羽も楽しい。こうしてゴールデンウイークも楽しくすぎていった。




