番外編短編・真面目なイケメンになりたい!
ゴールデンウイーク中はイラストや音楽を創作し、楽しんでいた翠だが、ふと思い出す。
「そういえば俺、ミユキさんに薄っぺらい軽薄なイケメンとか言われたな」
その後は聖書の言葉を言い、特に気にならなかったが、SNSではチャラいイケメンが女性を誘惑しているのを見たりした。
教会の洗面所に向かい、鏡でまじまじと自分の顔を見る。
目は綺麗な二重。すっと高い鼻。スマートな顎に、形に良い唇。歯並びもいい。眉毛もキリキリとしたイケメンだ。
「うーん、やっぱり俺、イケメン。でも話し方がチャラいか?」
確かに声はチャラチャラしている。軽い。逆にいえば人懐っこくもあったが、そろそろ真面目なイケメンへ変わっても悪くないかもしれない。
ちなみに聖書には女性について見た目よりも内面(信仰心)が大事という箇所もあるが、オシャレするなという禁止事項はない。露出度が高いオシャレは姦淫的だからダメだが、黒髪でスッピンでいろという箇所もない。宗教の信者というと地味にしているイメージもあるだろうが、教会の若者は金髪もいたりする。その点は自由だった。
とはいえ、もう少し真面目なイケメンになっても良いと考えた翠は、美容院へ行き、髪を黒くし、短髪にしてもらった。今までは前髪も長めでチャラチャラとしていたが、髪型を変えるだけで、ちょっと雰囲気が変わる。
そしてメガネ屋にも行った。視力の良い翠はメガネを必要としていないは、真面目といえばメガネだ(?)。さっそく度が入っていないメガネを作り、かけてみた。
「どうよ、琴羽さん。真面目なイケメンになった?」
その足で教会に戻り、琴羽の意見をもらおうとしたが。
「え? 髪きった? メガネ? あんまり雰囲気変わらないね。いつも通りチャラいイケメンだよ」
「え、そんな!」
「そんなちょっとファッション変えたぐらいじゃね。そうそう変わらない」
という事で翠のイメージチェンジは成功しなかった模様だ。会社でも全く評判が良くなく、結局、いつものように明るい髪色に戻し、メガネも辞めてしまった。
一方、琴羽は相変わらず童貞芸人のフェアリンくんを推しているらしい。
「翠、いっそイメチェンするなら、フェアリンくん系男子を目指したらいいと思う!」
斜め上のアドバイスをされ、翠は再びこう言う。
「琴羽さん! あんた、やっぱりおもしれー女だよ!」
もちろん、フェアリンくん系男子にイメチェンする事も難しいだろう。
真面目なイケメンになる翠は、二度と来ないかもしれないが、それで良いのかもしれない。




