其の六十七 唐入り
「一大事じゃぞ。どうやら猿は唐入りを望んで居るらしい」
「唐入り?何じゃそれは?」
「唐に攻め入るという事じゃ」
「唐?」
「唐、とは海の向こうにある国の名前じゃ。そこに攻め入って滅ぼそうとしておるらしいぞ」
「海の向こう・・何やらよくわからんが、つまりまた戦を始めようとしておるという事か」
「うむ」
「そこに攻め入って手柄を挙げればどうなるのじゃ?褒美は出るのか?」
「・・わからぬ」
「は?」
「わしにもよくわからぬ。海の向こうにある国がどのようになっておるのかわからぬ故、手柄を挙げられるかどうかも定かではない」
「何じゃそれは。ならば行くだけ損ではないか」
「しかし、天下人の意向には逆らえんぞ」
「ううむ・・手柄を挙げて褒美が頂けるのならば喜んで行くのじゃが、その褒美が曖昧なままではのお・・。しかも今度は隣国ではなく勝手もわからぬ海の向こうの国・・。どうしたものか・・」
「実はこの戦いでお主自身が戦わずして褒美に与れる可能性があるのじゃよ」
「何?」
「海の向こうに行くには大量の船が必要じゃ。お主の造った船を大殿様に献上すれば何らかの褒美が出るに違いないぞ」
「そうか!なるほど!」
「船造りが報われる時が来たのお」
「・・いや、待て。それは無理じゃ」
「何故じゃ?」
「以前造った船を海に浮かべた所、瞬く間に浸水してしまったのじゃ」
「そうか。ならば献上はできぬな」
「よし、ならば今日から突貫で海に浮かべられるようにしよう」
「ふむ、しっかりやるのじゃぞ」
「お主も手伝うのじゃ」
「さらばじゃ」
「ま、待ってくれえええ!これが完成し、褒美が出た暁にはその十分の一をお主に分け与える!じゃから共に造ろうぞおおお!」
「ええい、離せ!というか、分け前が十分の一では少なすぎるわあああああ!」




