幼馴染とプレゼント選び
ある週末、俺は文化祭で着けるクマ耳と尻尾、それと文化祭で結愛への誕プレ兼告白を意味するプレゼントを買いに来ていた。男1人で女性用アクセサリーコーナーに来るのはかなり勇気がいると思ったけど、好きな人や恋人へのプレゼントなのか、男1人で来てる人もちらほらいて少しハードルが低くなった気がする。
だがひとつの問題が浮上した。彼氏でもない男からアクセとかキモくね?あるいは重くね?でも文房具やハンカチとかキーホルダーはなんか誕プレとしては違くね?て思うし。キーケースは生憎去年の誕生日に渡した。財布は色々と問題がある。
「あれ?蓮じゃん」
「……俺呪われてんのかな……」
なんでここに紗菜がいるんだよ……。まさか図ってたか?紗菜ならそんなことしてもおかしくない。
「あ、もしかして疑ってる?全然!偶然だよ〜、奏とショッピング付き合ってもらってたの、今は別行動だけどね」
紗菜はケラケラ笑いながら「その様子だと結愛ちゃんへのプレゼント選びに苦戦してる〜?」とからかうように言って来る。正直言うとうぜぇ……。
「まぁ恋人でもない男からアクセとか普通に引くよね」
可愛い鍵のネックレスを見ながら紗菜は言う。やっぱそうだよなぁ……。どうしたもんか……。
「ネックレス、指輪、ブレスレット以外で言うとヘアアクセのがいいよ」
「ヘアアクセ?」
「うん、挟むタイプやクリップタイプやバレッタとか色々種類も豊富だし気軽にプレゼントできるよ」
……へぇ……意外としっかり考えてくれくれてんだな……。ヘアアクセか。
「結愛ちゃんは髪栗色で目の色もしっかりした色だから物によったら赤もピンクも似合うと思うけど、髪の色からしたらピンクのほうが似合うと思う」
ピンクのリボンのバレッタとかどうだろう……可愛いし、色も大きさも俺が求めてる条件に合う。ていうか……なんでこんなアドバイスしてくれるんだ?
中学の頃、紗菜にそれほどいい印象はなかった。付き合ってたのも、あの頃はなんとなく放っておけなかったからであり、恋愛感情なんてものはなかったし。
「紗菜……なんでそんな協力してくれんの?」
「私も一応女の子だよ?それに自分に縁はなくてもアニメやドラマ観るくらいには恋バナ大好きだよ?」
こいつ俺の恋をエンタメとして楽しんでないか?面白くするために協力してないか?
「まぁフられたら慰めるくらいはしてあげるっ」
こいつ本当に俺自身には興味ねぇんだな。別にいいんだけどさ。
「ところでそれ買うの?結愛ちゃんに似合うと思うよ、普段使い出来るしそれだけで小さかったら値段も手出しやすいでしょ」
確かに値段も比較的安い……。そう思いながらレジに持っていくと「プレゼント用ですか?」と聞かれたので俺は「はい」と言ってラッピングしてもらう。
「お相手の名前も入れられますが、どうなさいますか?」
「あ、じゃあ結愛……結びの結に恋愛の愛で『結愛へ』でお願いします」
結愛へのプレゼントを買い終えた俺はひとつため息をつく。買ったはいいものの当日になって日和ったらどうしよう……。いやいや、今から弱気になってどうするんだ。フられるとかそんなんは覚悟の上だろ。でももし、もしも付き合えたら……絶対泣かせないし、誰よりも大切にする自信がある。
「れーん、難しい顔してるよ?そんな顔してちゃ告白する前に逃げられるぞ〜?」
「人が真剣に悩んでる時に茶化してくんな!」
こちとら一世一代の告白の前で気が気でないんだよ!
つか、そんな状態で落ち着いてられるとか方がおかしいだろ、そんな余裕持てるのは凛斗くらいだと思う。
凛斗は色々なことについて余裕だ。告白されることに対して断ることも、勉強に対してもなんにでも余裕そうだからな。きっと告白するときも余裕そうにするんだろうな。凛斗は余裕さは、たまに羨ましくなる。
「ま、頑張んなよ!応援しといてあげるからさっ」
「あ、あぁ……サンキュ」
紗菜にトンッと肩を叩かれ励まされる。まぁエンタメとして楽しんでたとしても、今応援してくれることには変わりないのでお礼を言っておく。
「て、お前の買い物は?」
「え?今からだよ〜、私相手の相談乗りながら自分の好みのもの探せるような器用さはないから〜」
それは、余計なタイムロスをさせてしまったかもしれないな。あまり遅くなると奏も気にしそうだし。
「負い目感じるなら、買い物終わるまで待っててくれてもいいんだよ?」
からかうような笑顔で、紗菜は言ってくる。気にせず去ってもいいなら去るぞこの女は!でもまぁ結愛へのプレゼント選び手伝ってくれたのも、俺のせいでタイムロスさせたのも事実だし、負い目というか若干悪い気がしているのは残念ながら事実だしなぁ。
「早く選べよ、遅くなると奏が心配するんじゃねえまのか?」
「はいはい、すぐ選ぶって〜!」
ケラケラ笑いながら選ぶ紗菜を見る。こいつには中学の頃から振り回されっぱなしな気がする……。だが、この時俺はまだ気づいていなかった。この時物影からこっそりと俺と紗菜を見ている人物。
「……蓮ってやっぱり……」
そう、結愛が見ていたことに、その時の俺も紗菜も気づいていなかった。




