表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/24

凛斗と恋花の本当の出会い(番外編)

私は鏡恋花。旧姓は(ひいらぎ)だ。高校入学前にお母さんが再婚することになり、それで私は柊から鏡になった。今でも時々柊と書いてしまいそうになる。

そして私には、義兄妹である人がいる。鏡凛斗。


「凛斗くん……あなたは、覚えてる……?」


私は引き出しからそっと写真を出す。写っているのは幼い頃の私と……同じ幼い頃の凛斗くん。私は昔、フランスに住んでたことがある。その頃に凛斗くんと会ってよく遊んでいた。幼馴染と言うより旧友という方が正しいのかもしれない。ある日いつものように遊んでいると彼はフランス語で私に言った。


『大人になったら結婚してくれる?』


幼いながらに私も彼のことが好きだったから私もフランス語でこう答えた。


『うん!してあげる!私もあなたと結婚したい!』


それから少しして私は日本に帰ることになってしまったけど、また会えると信じて、私は幼いながらにした約束が私の心の拠り所のひとつだった。彼もずっと私のことを想ってくれてる……。そう信じていたのに。

お母さんの再婚時、凛斗くんは昔よりもすごくかっこよくなっていたけど、私はあの頃よく遊んでいた凛斗くんだと分かったため「凛斗くん」と声をかけようとしたけど、凛斗くんがこう言った。


『はじめまして、鏡凛斗です』


そう、凛斗くんは約束どころか、私のことすら忘れていた。


「覚えてるわけ……ないよね……」


だから、私はあのこと……約束のことも言えず、ずっとこの恋心を閉じ込めている。好きだと思いながらも、気持ちを伝えずにいる。義理だとしても兄妹なんだから……。あなたの想いは会えない時間が長くて消えてしまったのかな……?


「願いが叶わないくらいなら……いっそ消えてしまえた方が楽なのになぁ……」


本当は言ってしまいたい。私達は昔フランスで会ってて幼い頃の口約束だけど、大人になったら結婚するって約束したんだよって……。幼い頃の口約束なんてノーカンに近いかもしれないけど……。それでももしかしたらふとした時に思い出してくれるかもしれないって思って、そんな淡い希望を抱いて私は想いも、約束も伝えずにいる。このことは友達にも秘密。私しか知り得ないこと。思い出してくれたら凛斗くんはなんて言うかな……?やっぱり幼い頃の約束だからノーカンって言われちゃうかな……?でも私はそれでも思い出してほしいよ。私はそっと写真を引き出しの中に戻す。凛斗くんにとってあの約束はどう思ってるの?

ただの幼い頃の口約束?幼かったから恋と友情を間違えただけ?それでも私にとってはずっと初恋のまま。


「はぁ……」


でもそもそも結婚してきてほしいって言ったのはそっちなのに、綺麗さっぱり忘れるのはいくら幼い頃の約束だからって酷くないかな?黒歴史として覚えてくれてる方がまだマシだよ。それでも想っている私は相当盲目な気がする。気が弱いとか純粋とか言われたって、何も思ってないわけじゃないんだから。私だって人並みに不満もあるし、ムカつくことだってある。私だって普通の人間なんだし。凛斗くんは私の水着姿を見ても「似合ってる」とか言うんだろうな。妹として。再会したときからずっと大人っぽくて余裕があって、まるで私とは全然違う……。それに大人しい人ほど怒ったら怖いって知ってる?そりゃ私はあんまり怒ることもないけど、不満は日々募らせているんだよ。

でも幼い頃の約束今でも覚えてる私の方がおかしいのかなぁ……。


「……好きになってもらうよりも先に思い出してほしいよ……」


だって好きになってもらってもそれは鏡恋花で柊恋花は過去の女の子ということになってしまう。柊恋花も鏡恋花もどっち私だからこそ、思い出して好きになってほしい。こんな想いはワガママなのかな……?でも、私もあの頃の性格とは違って引っ込み思案になってしまった。幼少期の頃は何も考えずに生きてこられたけど、成長するにつれ、考えが生き方も変わってきたし……もし、今の鏡恋花より昔の柊恋花を好きと言われたら……?今さらこの性格変えられるわけないじゃない……!変えられたら苦労してないし、もう変えてるし、単純になれたら凛斗くんに話してると思う。


「ちょっと恋花さーん」


突然後ろから声をかけられてビクッと肩を震わせて勢いよく後ろを見ると、お風呂上がりの凛斗くんがいた。いつ見てもお風呂上がりのほんのりと桜色に染まった顔が色っぽく見えてしまう。


「風呂空いたって何回言えば気づくんだよ……お湯冷めるぞ」


え、何回言われてたんだろう……?考えてて全然声聴こえなかった。


「ご、ごめん!すぐ入る!」


私は立ち上がってお風呂の準備をして、走ってその場を後にした。凛斗くんに気づかれてないよね?何か変なこと考えてるとか思われてたらどうしよう……。

お風呂上がり何もツッコまれないといいんだけど……。どうにか夏休み中に少しでもいいから……私に関する何かさえ思い出してくれれば……。約束でなくてもいい、遊んでた日本人の女の子がいた。それだけでもいいから思い出してもらいたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ