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幼馴染と夏休み前

あれからとりあえず何事もなくテストも無事に終わり、七夕も特に何があるわけでもなく平穏な日々が続いていた。ただ1点を除いて……だけど。昼休みになると久遠は立ち上がる。


「宮、今日は焼きそばパンお願い!」


「んー」


久遠は焼きそばパン代を宮に渡すと教室から出ていく。


「美紅、今日も?」


「うん、ちょっと行ってくる」


クラスのマドンナ的存在の初野美紅と王子と呼ばれる久遠は、夏休み前に告白ラッシュに巻き込まれている。夏は海やプール、更には祭りなど付き合っていれば普段見れない姿を見るチャンス。そりゃこの2人は告白ラッシュに巻き込まれるに決まってる。


「あ、今日は俺も呼び出しあったんだわ」


久遠の影に隠れてるけど、凛斗もモテるからな。


「じゃあ俺は購買行ってくる」


久遠は告白ラッシュで購買にも学食にも行けないから宮に頼んでる。宮もこの期間だけは購買って感じになりそうだな。凛斗は弁当組だから、そんな必要はないけど。そう思って1人で飯を食うのはなんだから、俺は宮が帰ってくるまでスマホでも見ようと思って、スマホを付ける。指紋認証でロックを解除した時、突然メッセージが来た。


「結愛から?」


結愛からのメッセージに珍しいと思いながら、俺はメッセージを見る。メッセージには「今日夕飯遅くなるかも」とのこと。まぁ夕飯くらい多少遅くても問題ないけど。放課後なんか用事とかできたのか?まぁ用事のひとつとか、あってもおかしくないよな。少なくとも勉強ではないだろ。結愛赤点なかったし……結愛は真ん中の上か下かというくらいの平均的なところ。俺もそこら辺だったし。久遠は相変わらず上位だったけど。本当神は久遠に関しては、パラメーターを間違えて出来過ぎ人間にしたとしか思えない。もしくは、神が気まぐれに出来過ぎ人間作ったらどうなるかと思って作った人間にしか思えない。そんなことを考えつつもスタンプの「了解!」を押したところで、宮が帰ってくる。


「おかえり……宮は何買ったんだ?」


「カツサンド」


右手にカツサンド、左手に焼きそばパンの戦利品をしっかり持って帰ってきたけどかなり疲れてるな。


「いやー、焦った……焼きそばパン、ラスイチだったんだよな」


まぁ焼きそばパンは、いつでも人気だからな。そうだ、先に宮には話しておくか。久遠と凛斗が戻ってきてからスムーズに話せるとは限らないし。


「宮、実はさー」


結愛と、テスト前に話したことを宮に伝えると、宮は少し悩むような仕草をとる。意外だ、月島のことが好きだから「行く」と即答すると思っていたから。


「いや、生きたいことには行きたいんだけど……行くなら水曜か木曜にしてくれ」


「?何でだよ」


「その曜日以外はバイトなんだよ」


そういえば思い出した。宮は確かバイトをしていた。

すっかり忘れてた。水曜と木曜に絞ったのはその曜日が休みだからか。


「じゃあ結愛とそういう風に話しとくわ」


「久遠と凛斗にも話すんだろ?」


「まぁな」


あの2人なら即答するだろ。そう考えていると先に凛斗が帰ってきた。


「遅かったな、凛斗」


俺がそう言うと凛斗はため息をつきながら話す。


「まさか、今日は4人も告白されると思ってなかったわ」


いるのが俺達でよかったな、普通の男なら嫌味だと思われるぞ。凛斗は2年になったらもっと告白されるだろうな。元々大人っぽくてかっこいいから成長すると共にもっとモテることになる。少なくとも俺達4人を好きになるのは辞めたほうがいいと思う。それぞれ好きな奴がいるんだから。そう思ってると久遠が帰ってきてため息をつく。


「おかえり、久遠……今日は何人?」


宮がそう言うと久遠はあははと少し笑って答える。


「6人……」


3年なって卒業前とか告白待機列出来んじゃねーの?

その前にとっとと初野と付き合えよ。まぁ今の時点で告白しないってことは何かしらの考えがあるんだろうけどさ。でもこいつは初野が他の奴と付き合うって考えはないんだろうか?まぁ……それは宮や凛斗や俺にも言えることではあるけど……。モテてないところを見ても、結愛のことが好きな人が0とは限らない。

言ってて恥ずかしいけど結愛は普通に可愛い。可愛い女嫌いな男ははっきり言っていないと思う。それにあの3人はクラスのマドンナ的存在の初野といるからそれなりに目立つし、実際「初野さんは当たり前だけど、他の3人もよく見ると可愛くないか?」と耳にすることもある。ただし、鏡は純粋すぎるせいで、大体「小動物的な可愛らしさ」で落ち着くことが多いけど、恋愛的に好きな奴がいてもおかしくはないだろう。同級生よりも、年上男子から好かれるタイプだと思う。


「蓮や宮は呼びされてないのかよ」


凛斗がさらっと聞いてくる。本当に嫌味かって聞かれる前にその嫌味に聞こえる台詞言うの直せよ。


「生憎俺は好きな奴から好かれるだけでいいし、それに告白される予定もない」


宮はゲットしたカツサンドを食べながらそう言う。

それを堂々と言えるとはかっこいいな。


「まぁ……俺も告白される予定はないけど、告白してくれた女子に罪悪感抱くし、それがないだけ告白されない方がマシだな」


そう言うと顔を見合わせた久遠と凛斗に真顔で言われた。


「二人ともさっさと告白したら?」


それが出来れば苦労しねーんだよ!!

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