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バスの振動なんて普段は露ほども気にならないし、気にしないのに、揺れる度にムカつく。
別にそういう日って訳じゃないのに。
窓の外を見て見慣れないなと思った。
少しだけいつもと違う場所で、少しだけいつもと違う事をして、そして変わらないのは一つだけ。
「……ごめん」
どっちが先に言ったのか、重なったのか。
聞こえてたかも分からない。
でも、何か言われた。伝えられた。
そして、言わなきゃ、伝えなきゃ。
その気持ちは同じだったのか、慧と和は向き合った。
眉間に皺を寄せて、口も曲がっちゃった慧。
落ち着いてただ寂しいとも悲しいとも取れる表情の和。
どれだけそうしていたのか、バスは目的地に着いてしまった。
次は電車で地元へ、寮へ帰るだけ。




