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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

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第40話、蟹甲船

「ピピッ、ピピッ」

 

 ”水無月”のパッシブレーダーの反応があった。

 時間は早朝である。

 メグミは、翼の上に張ったテントから出て、周りを見回した。

 辺り一面、白い朝霧の覆われ、視界は良くない。


「ルルル~ル~、ルルルル~♪」

 無線から低い男性の声のハミングが聞こえてくる。


「海軍唱歌だ」


 朝霧の中からヌッと言う感じに、双胴艦が現れた。

 白地に黒で、”平家蟹の甲羅と、その下にクロスにした蟹の腕を模した旗”が、掲げられている。


「蟹漁獲用しょう甲双胴空母、ブラックオパール号だ!!」

 噛んだ!!



 ”蟹漁獲用装甲双胴空母、ブラックオパール号”


 日本海軍に所属する、蟹を取るために作られた、特殊海兵部隊”パイレーツ”の母船である。

 船体を左右に二つ並べた双胴型。

 その間に飛行甲板と、”人型装甲潜水球”の格納庫がある。


 この世界の蟹は強い。

 軽自動車並みの大きさに、戦車砲弾も跳ね返す硬い甲羅。

 あらゆるものを正に”()()()()()”はさみ。

 さらに人間が、蟹の()()として、丁度よい大きさというのもいただけない。


 何故危険を冒してまで、蟹を取るかと言うと、

 まず、身が美味しい。

 さらに、蟹の甲羅やキチン質は加工すると()()()の代替品になるのだ。


 その為に、命知らずのあらくれ者たちが集められ、特殊部隊が作られた。

 因みに”パイレーツ”は隊員たちが自ら名付けた。(ブラックオパールも)

 有名だが非公式のものである。



「ルルル~ル~、ルルルル~♪」

 バックで歌い続けている。


「そこの”水無月”。いま海底に”タイラントガザミ”の群れが来てる」

「真っ二つのされたくなかったら、ブラックオパールの乗りな」

 若い女性の声が乗艦を促した。

 

 ”タイラントガザミ”は泳ぎが得意で水面まで上がってくる。

 メグミが美味しくいただかれてしまう可能性は高い。


「是非、乗させてください。 お願いしますっ」

 大慌てで、”水無月”を双胴空母の飛行甲板に着艦させた。


 島型艦橋の中にある、ブリッジ中央に絨毯を引いて、大きめのソファーが置かれていた。

 ソファーには、片目に眼帯をした20代半ばの女性が、しなだれるように座っている。

 改造されて元の形が分からない海軍の軍服を着ていた。

 背後には、例の旗が貼られている。


「カイラギ中佐、連れてきました」


()()()()()と呼びなっ」


「アイアイ、キャプテン」

 乗組員も、思い思いに軍服を改造している。


「乗せていただきありがとうございます」

「気象部所属、メグミ・タチバナ中尉であります」

 少し緊張した面持ちで敬礼をする。


「コトコ・カイラギだ、しばらく立て込む」

「ま、ゆっくりしていってくれ」

 立ち上がって海賊帽を直す。


「はい、ありがとうございます」

 メグミは、後ろに下がった。


「野郎ども、狩りの時間だっ!!」

「しっかり稼ぎなっ!!」


 ”タイラントガザミ”の狩りが始まる。 


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