第39話、艶女(アデージョ)
「次の休みには必ず会おう」
「うんっ」
メグミは、頬を染めた。
「じゃあ、いくね」
メグミは、キャノピーを閉めて、折りたたまれていた翼を開いた。
信号が赤から緑に変わる。
「”水無月”メグミ、いきま~す」
ドオオオン
電磁カタパルトに打ち出され、”水無月”は、”呑竜”から勢いよく発艦した。
◆
メグミは、持ち場の海域に戻ってきた。
”水無月”を着水させている。
早速、フランソワーズ大尉から送られてきた、ナンバの隠し撮り写真を見て
「えへへ」
にやけているメグミである。
「そうだ」
メインモニターを出し、日本海軍のホームページを開いた。
何日かに一度、目を通すことを義務づけられているのだ。
日本海軍の今月のMVPを紹介する記事を見た。
日本海軍は、日本陸軍よりスマートでおしゃれと言われている。
”今月の艶男”(ツヤダン×)
”シロー・サカイ少佐、マンハント部隊を撃退す。”
”今月のはじめ、シベリア送りになりそうになっていた、隊員を救出した。”
インタビュー
「ロシア正教の、SU63フランカーモーリェ(海)に奇襲で一回、巴戦で二回、キルコールしたら諦めてくれたよ」
「最後ホバリングして挨拶した時、シスター服で片頬に傷があったから」
「空母”シベリア”のエース”バラライカ”だったんじゃないかな」
「我が愛機(零式艦上戦闘艇”新月”)に感謝だね」
◆
零式艦上戦闘艇”新月”
日本海軍が、”水無月”の前に採用していた、戦闘艇である。
形は”水無月”とほぼ変わらないが、余分なものは一切ついていない。
”速さ”と”機動性”に全てを振ったピーキーな機体で、扱いは難しい。
しかし、しっかりした技量を持つものが操れば無敵の強さを誇る。
ちなみに、スーパーハリケーンの時は、コックピット以外を爆炸ボルトで吹き飛ばす。
これをすると後で、大変怒られることになる。
◆
”今月の艶女
「んんっ」
”スーパーハリケーンのスパイラルを幸運にも観測す”
”うら若い女性隊員、リュウグウウミガメ二匹が泳ぐ海に飛び込み、漁船の乗組員15名(うち3名は重傷)を救助した”
”その後、陸軍所属の”コンゴウリキシ”にまとわりついていた、蛸の足を、”電磁麻酔弾”で沈黙させる”
インタビューは、本人が任務中のため取れていません。
今月の艶男、艶女に盛大なる拍手を。
◆
「……わたしのことじゃんっっ!!」
「今月の艶女おめでとう」
ナンバからメールが来た。
「ありがとう」
メールを返した。
(……しかし、私は30代女性ではないのだが……)
メグミは、考えてはいけないことを考えている。




