表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/96

第38話、恋人

「いい所があるんだ」

 風呂上がりのメグミにナンバが声をかけた。

 いま、”呑竜”は海上に浮上して待機中である。 


「うん……」

 誤解は解けたとはいえ、まだ元気が出ないメグミである。


 ナンバは、艦底の横にある”展望室”にメグミを誘った。


「ここだよ」

 壁のスイッチを押すと、外部装甲が下に下がり、ガラス越しに海が見えるようになっている。

 海面が少し上に見えた。

 ビッグウミホタルが、淡い光を出している。

 二人は、前にあるベンチに横に並んで座った。


「……ナンバ君……」


「?」


「……私のこと好き?……」


「好きだよ」

 ナンバは即答した。

 ”論文”で最初に惹かれ、直接会って一目ぼれした。

 こんな可愛い女性が彼女だなんて、自分は果報者だと強く思っている。


「……もう一度、言って……」


 ナンバは、メグミの正面に回り、ひざまずいた。

 メグミの両手を握る。


「好きだよ、メグミさん」

 ふんわりと笑う。


「ありがとう。私もナンバ君が好き……」


 ナンバが幸せそうに笑みを深めた。


「どうしたの?」


「フランソワーズ大尉と……」

 勝手に嫉妬して、浮気を疑った。

 (ごめんなさい)


()()()()大尉か~」

「彼女の筋肉愛はすごいでしょ~」

「”呑竜”の男性クルー全員が、”()()”がないって言われてるよ」


「うん、うんっ」

 メグミが安心したように笑った。


 その後、ベンチに横に並んで座り、ガラスの向こうの海中を見た。


 ビッグウミボタルの淡い光に照らされて、30センチくらいのイワシの群れが、柱の様に群れになって回っている。


 幻想的な光景を二人は手を繋いで見ている。

 どちらからと言わず、いつの間にか指を絡めあっていた。

 

 (この手を離したくない)

 (この手を離したくない~)

 

 二人は同じことを考えていた。


 メグミはそっとナンバの肩に頬を寄せて、ほんの少し体重を預けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ