「THE ACE ~Neo Interpretation Of SEKIGAHARA~」
映画誌『週刊 映画観ようぜ』曰く――
どこから用意したのかわからない潤沢すぎる予算と、圧倒的な演技巧者が集いながらも、内容は『マジ不知火』としか言いようがない映画を撮り続けた監督兼俳優・不知火慎太郎。
これは、記念すべき彼の第一作目である「THE ACE ~Neo Interpretation Of SEKIGAHARA~」。
凄まじい映像美と、あまりにも理解不能な内容、そして史実や戦国武将への敬意を宇宙へ放り投げたような傲慢が同居した一作である。
彼の原点は、この時に完成していたのであろう――(ライター 山田山田夫)
時は戦国末期―――
豊臣秀吉爆死!日本に激震が走る!
次は己が天下を握らんとする武将たち。まず徳川家康が猛る!
「天下を握るのはわしじゃ!邪魔する奴は皆殺しにしてくれる!」
それを受けて怒り狂う石田三成!!
「んだとこのクズが!!天下を握るのは俺だ!邪魔する奴は魔界に引きずり込んでくれる!」
そして……
ザパァ……「陸に生きる者は全て皆殺しだ!」
と日本海から現れた魔界鮫率いる鮫集団!
さらに!
ゴゴゴゴ……「人類に滅ぼされし恨みを今こそ晴らす!復讐を!」
と浮上したムー大陸から現れた魚人集団!
こうして、四軍が関ヶ原に集結したのである!
――――――――――
さあ西軍武将の蒲生郷舎が三成に進言する。
まずはブチ切れている家康と他軍を闘わせ、我々は最後に動くべき、と。
しかし三成は…。
「んだとこのクズが!もうお前に用はない!!」
と、蒲生郷舎を一刀のもとに斬り殺してしまった。
気でも狂ったのかと慄く西軍武将たち。
しかし三成は意に介することなく刀を放り投げる。
そして、どこからか杖を取り出すと、地面に魔法陣を描き始めた!
すると、なんと、魔法陣から続々と魔物が召喚される!
現れるガーゴイル!
サイクロプス!
ゾンビの集団!
ゴブリンの群れ!
その他、多くの魔物たち!
気味悪がった西軍武将は全員東軍へ寝返ってしまった。
ブチ切れているとはいえまだ家康の方が圧倒的にマシ、というわけである。
しかし三成は何も気にすることなく、魔物集団に号令する。
「さあ行け、魔界の住人どもよ!!目の前に立ちふさがるもの全員を喰らいつくせ!!」
後期の戦国武将オールスターズを徳川家康が率いる、関ヶ原東軍!
魔物集団を率いる黒魔術師石田三成率いる、関ヶ原西軍!
陸に生きる生命体をすべて抹殺しようと動く魔界鮫率いる、関ヶ原北軍!
恨みを抱えた魚の群れを率いる魚人率いる、関ヶ原南軍!
今ここに、誰も知らないまったく新しい関ヶ原の戦いが始まった!!
――――――――――
さあ、まずは南軍、魚人率いる魚の群れが鬨の声を上げて戦場に突撃する!
「者ども行くぞ!今こそ故郷を滅ぼされた我々の恨みを晴らすとき!」
魚人が率いるのは魚の群れ!
タイにヒラメ、スズキにカンパチ!エビ、イカ、タコその他である!
それを観た東軍武将、西軍魔物、北軍鮫が色めき立つ!
「魚だ!」「餌だ!」「全部食ってやる!」
三軍から一斉に捕食された南軍はあっという間に全滅!
魚人も魔界鮫に一飲み!
ムー大陸、無惨にその歴史を閉じた!
――――――――――
さあ、残り三軍が一斉にぶつかり合う!
「うおおおお!一番槍はわしじゃあああ!!」
一跳びで20メートルは跳躍し、ガーゴイルと空中戦を繰り広げる福島正則!
「全員まとめて片付けてくれる!!」
ヘビーマシンガンでゾンビの群れを駆逐し、ロケットランチャーでサイクロプスを撃破する細川忠興!
「なんじゃあこりゃああああ!」
北軍のメガロドンに一飲みにされる黒田長政!
「おお、サタン様よ!不届きな裏切り者に悪魔の裁きを!!」
三成が魔法陣からUFOを呼び出す!
そのUFOが小早川秀秋を宇宙へとさらっていく!!
もはや収拾がつかない。理解不能である。
――――――――――
そこに…霧の中からこの映画の監督『不知火慎太郎』が現れる。
彼は戦場を見て一言こう言った。
「フン、この関ヶ原は死んでいる」
そして彼はまず東軍の本陣に走り、家康を殴り飛ばす!
次に魔物をすべて押しのけ、西軍本陣で三成を殴り飛ばす!
それを観た魔界鮫、このままではまずいと確信する。
そして彼は戦場に散っていった武将や魔物、魚たちの怨念を吸収し…。
『NEO SEKIGAHARA 魔界鮫』へと変貌を遂げた!
――――――――――
関ヶ原を覆い尽くすほど巨大化した魔界鮫は宇宙に飛び立つ!
それを追いかける不知火慎太郎!
――そして一切の苦戦無く不知火慎太郎が勝利した。
魔界鮫を撃破後、何事もなく地球に降り立った不知火慎太郎。
その彼に、家康が跪く。
「おお!なんということ!これからはあなたがこの国をお治めくだされ!」
「フン、興味ないね」
そう答えた不知火慎太郎に、次は三成が跪く。
「主よ!『何処へ行かれるのですか?』」
「自分で考えるんだな」
そして不知火慎太郎は三成が呼び出したUFOに乗ってどこかへ去って行った!
こうして『NEO 関ヶ原の戦い』は終焉を告げた――
――――――――――
なお、三成は戦後その場で処刑された。
映画誌『週刊 映画観ようぜ』曰く――
おわかりいただけただろうか。公開当時、本誌ではこの怪作にいち早く目を付け、出演俳優陣のインタビューを行った。
次回、当時の記録を公開させていただこう――(ライター 山田山田夫)




