第120話 大人になった僕
今朝、大人の階段を上った僕はほわほわした気分で出社した。頭の中はツバキとの性行為で埋め尽くされていたが、朝の健康な青空が現実の世界へと戻してくれる。
「トガ君、この書類の事なんだけど……」
「あ、はい!」
たぶんこの部署の誰にもバレていないはずだ。
出ていく前にシャワーを浴びたし!
「ねぇ、ショウ! なんか今日いい感じだね、何かいいことあった?」
ギクッ!!
ハイノメのいきなりの質問に思わず椅子から飛び上がりそうになった。
しかし、大人の僕は動じない。落ち着いて対処する。
「ああ、今朝早起きしてね。美味しい珈琲を飲みながらストレッチしたんだ。そのおかげで、今凄く気分がいいんだ。」
「へ~そうなんだ、早起きって三文の徳って言うしね!」
「そう言う事!」
嘘は言っていない……
本当に早起きはしたし、ストレッチと言っていいのかはわからないが、激しい運動もした。美味しい珈琲も飲んだ。
「そうなんですね。今度私、その珈琲飲みに行ってもいいですか?」
ミナさんが興味津々で聞いてきた。
「うん、いいよ」
「こらこら、そこイチャイチャしない。爆発しろ!」
キラさんの冗談交じりのお叱りが飛んできた。
「皆、上からの指示で仕事が来たよ!」
「お、来たわね~。内容は何なのですか!?」
ハイノメはやる気満々だ。昨日は特に現地での仕事も書類仕事もなく暇だったからだ。いや、ハイノメはアオバさんの所にいたから大変だったか……
「やる気満々だねぇハイノメ君、内容は怪事件! 下着消失事件の調査、場所は……」
「はい?」
キラさん以外の全員がキョトンとした顔をしてしまった。
下着消失?
「あの~、それって警察案件じゃ……」
ミナさんがキラさんに確認した。僕もそう思う。
「ユズキ君が思うことはもっともだと思う。だけどこれが能力者の件だとしたら?
」
「いや、能力者の件だとしても……」
ハイノメが真顔で答える
「……警察にも協力していただくよ勿論。というか、大分前から調査してはいるんだよ。ただ、一般女性の被害がどんどん増えているんだ。なのに犯人の姿が見つからない。」
「監視カメラを付ければよいのでは?」
「いや違うんだ! ごめん、説明が遅かった。下着は試着している女性から盗られたんだ。被害者の女性たちは皆、普通に生活していたところ急にパンツとブラジャーだけ、異世界転移したかのようになくなったんだ。」
「なるほど、それは確かに能力者の仕業ですね。下らないですけど」
ハイノメがしょーもないと思いながら理解したようだ。言葉にはしてないがミナさんも同じ感想だろう。昔だったら犯人の気持ちもわからなくはないと思っていただろう、しかし今の僕は違う! 一皮むけた僕には犯人の行いは哀れに思えた。なぜなら本物をこの手で触れたのだから!
「ちょ、ショウ……なにキモい顔して笑ってるの……」
「ショウ君……もしかして犯人が盗んだパンツでナニかしようとしてます?」
「トガ君、流石にヤバいよ」
1人心の中で勝ち誇ってしまった僕はキモい顔をしていたらしい……
3人の僕を見る目が痛かった。
「まあ、取りあえずメンバー発表するね。ハイノメ君、ユズキ君、トガ君、そしてB班からもエマストローク君、キツメワルワーラ君、あとサポート係としていつものカラスマ君の6人でお願いします。トガ君は大丈夫? 変な事考えてるなら外れてもらうよ!」
「大丈夫です!」
慌てて否定する
マズい変なレッテルを張られてしまった……
「今回女性の方が多いのは察してください」
「私たちにおとりになれってことですね!」
ハイノメがキラさんに少し怒りの籠った口調で答えた。
「そういうことです。まあ、水着でもいいとのことなので……」
「そ、そういうことじゃないです。キラさん!」
「そういうところですよ! セクハラだし!」
「うわぁぁぁぁん、なんか怒られたんだけどトガ君!」
「そらそうですよ」
キラさんを慰めた後、僕達はB班の2人とカラスマ君と合流して現地へと向かった。




