Phase52 進展
「カナメってバカじゃない?」
いきなりなんだって思った。バカとはひどいじゃないか。
「さっきの話を受け持ったこと?」
「そうよ、概算でだけど、あなたの魔力容量から考えて、百三十六年かかるわ。その量の魔晶石を確保するには」
「は? いやいや死ぬわっ! なんでそんなことになるの?」
そう聞くとメリッサは紙を取り出し解説してくれた。
「研究所は、目測だけど20x30x10立方メートルくらいの大きさだわ。カナメの作る魔晶石は魔力を千も使って作れば、人の頭と同じくらいだし、単純計算で、六百万個作らないといけない。研究所一つ分で一つの魔晶石と考えると、それを五つ。三千万個作る必要があるわ」
そこまで言われたら俺も計算できる。メリッサに鉛筆を借りる。
今の俺の魔力総量は約六千。必要な魔力総量は、三百億。無理ゲーすぎる。何だこの鬼畜は。
魔力回復用魔法陣の最高性能なものを使って、一日百回魔力を満タンに出来たと仮定して、一日あたりの製造数は六百個。
必要日数は五万日。百三十六年不眠不休……死ぬわっ!
俺が魔力を使いまくって成長するのを考慮しても百年はかかる……。
「無謀、だね。これ。どうしよう」
「彼らの話だと、莫大なエネルギーが必要って話だったと思うわ。私が以前暴走させちゃって失敗した、威力を増大させる魔法陣を使えばあるいは、ってところかと思うわ」
初めてメリッサに会った時のあれか。
訓練所を爆破して有名とかって話のやつだ。そんな話していたなあって気分になる。最近密度が濃すぎて日が経つのが早い。
「今のところ威力って意味じゃ倍率はどのくらい?」
「二十倍ってところだわ。でも、エネルギーが大きすぎると魔法陣自体が耐えられないわ」
「改良しても?」
「いや、発想を変えて大量に作るって手があるわ。一つの魔法陣で受け止められる限界までエネルギーを分散。球状に作ってやって中心点にエネルギーを集めて、空間制御の魔法陣なるものの餌にしてやればいいんじゃない?」
「その方法でも約七年かかるし、もっと短くしたいんだけど」
「……。改良するしかない……。百倍を目標としましょうか」
「それでも一年ちょっと……。長いな。まあ、そこまでなるだけでもましか」
「……うまくいけば、ね」
とりあえず魔法陣建設予定地として、研究所約五つ分の広さの土地を確保した。
今日は研究員用の魔晶石を作らないといけないし、その後はメリッサと魔法陣作りだ。
いつ眠れるのだろうか?
申請にあったのは二十コだ。まあ作れなくはない量だったのでその場で作る。
小さいもので大丈夫だろう。実験結果だしてくれよ
「カナメ、くんれ」
「さあ、魔法陣を作るわよ。魔晶石も作り終わったみたいだし。あ、レミアこれ運んどいてもらえる?」
「え、あ、うん……」
(´・ω・`)という顔文字のような表情をしてレミアが運びに行った。
……タイミング悪いな。レミア。
さらに三日たった。
やっと魔力補給用魔法陣(積層型)ができた。
俺が作っている間に、威力増幅用魔法陣をメリッサが作ろうとしているが、理論の構築とかを他の研究員と議論しているみたいだ。なにやら五十倍までは理論上行けそうなんだけどそれ以上がなんかしらのブレイクスルーがないとキツイとかって話らしい。
俺が頑張って魔法陣を作っている間、レミアは身の回りの世話をしてくれた。
メイド服とか来たら可愛いんじゃない? って言ったら本気にして着てくれるし、マッサージ(地獄)とか色々してくれて物理的に天国に行けそうだ。
マッサージは二度と頼まん。なんか昔言った気がするが……。
もちろん今もレミアはメイド服、白を基調としたふりふりのついたやつだ。名前しらんけど。
手を出したくなるが彼女いない歴=年齢、童貞の俺にはハードルが高い。何よりビジュアル的に釣り合わない。
イエスロリータノータッチ、その精神を忘れてはいけない。
たまに忘れそうになるけど。
「ねえ。カナメ」
「何?」
振り向くと、紅茶を淹れている途中みたいだった。
「カナメは、地球に戻りたいの?」
「戻りたい、かな。やり残したことがあるし、せっかく大学も受かったんだから通いたい。なにより、もう人を殺したくない。戦闘行為をしたくない。あんな思いはもうしたくない」
「そう……魔法陣が完成したら、人数制限はそこまで無いみたいだし、私も行って」
「できたわ。行くわよ。魔晶石を用意して!」
メリッサがタイミング悪く乱入してきた。理論が出来たらしい。
タイミング悪いな。なんかレミアがデレている感じがしたのに。
「ごめん。また後で」
レミアの淹れた紅茶を飲み干し、メリッサについていく。
少し苦めの紅茶だった。
研究グループ的に五つほど分かれているのだが、そのうちの一つ、魔晶石の加工研究をしているグループが、なんか結果を出したらしい。
「カナメ子爵。貴方の提供してくれた属性なしの魔晶石を、離散幾何学的手法を用い――」
「自然はやはり無駄なことを好まなかったのです。単純で、美しい解を――」
研究員達の説明が長々と続いたが、全く理解できなかった。
要はすごいってことだろう。なんか温めていた理論を実際に実験してみたらうまく行ったらしい。何に使えるかって言うと、魔晶石の加工方法を変えることによって効率が上がるらしく、魔法陣を使うものならなんでもいけるそうだ。
超微粒子状にした魔晶石を云々言われたが、やはりわからん。こういう研究気質の人って一度話し始めると相手のことも考えずに話しまくるから怖い。
俺は理論よりも実験がいい。
理論は頭のいい連中が勝手にやってくれて、それを作るのが好きだ。
まあ、理論を理解できないというのもある。
「話はよくわか……った。何が必要だ?」
微妙に中間を小声にしつつ、問いかける。
「属性なしの魔晶石を、そうですね、この人一人分位の大きさで必要です」
「……わかった。用意しよう。今すぐには無理だ。来週くらいまではかかる」
「分かりました。来月の学会までは間に合わせたいですね」
学会? そんなものは聞いていないぞ
「学会とかあるのか?」
「ええ。聞いていませんか? クリノクロアの同盟国にある学者が集まって発表をします。クリノクロア王立研究所の連中も発表しますが、あいつらの鼻を明かすことが今年はできそうですね。カナメ子爵は最初の挨拶を務めることになっていると思いますが……」
聞いてないぞ……。俺が発狂しながら魔法陣を作っている間に家の方になんかそういうのが来ていたのかもしれない。
「わかった。後で考えておこう。とりあえず研究頑張ってくれ」
「わかりました。魔晶石の方はよろしくお願いします」
……。予想外のことを聞いたなあ。
カナメアホの回
更新速度落としたはずなのに時間がちょっと取りにくい…
ちょっと真面目な記事を書くことになったので、更新速度がやばいかも
割烹に詳細は書いてあります。
あとカルビンが最も硬い物質になりました。
これも詳細は割烹で。




