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Phase46 結婚?

 授与式とかが終わって、晩餐会のようなものが開かれた。

 一際大きな部屋に案内された。もうなんかダンスしている人がいるし、ダンスなんて踊れないからさっさと帰りたい。

 中心では英雄と第一王女が踊っているし、絵になっているから近づきがたい。


「カナメ子爵ですね?」


「そうですが……」


 なんか上品そうな集団に囲まれた。貴族の子女だろうか。

 その内の一人、白色のドレスが似合っている子が一歩前に出てきた。目がクリクリとしているし、金髪美少女って感じで可愛い子だ。


「少し伺いたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」


「ど、どうぞ」


 女子集団に囲まれた経験なんてないし、なんか怖い。

 獲物を目の前にした肉食獣というか、得体のしれない威圧感がある。


「カナメ子爵はもう結婚はお済みなのですか?」


 結婚? 俺は一八歳だから出来なくはないと思うけど……。この国がどうかは知らないけど全く考えていない。


「いえ、ある程度の事情は聞いていると思いますが、まだこちらに来て日が浅いので考えていませんね……」


「あらいやですわ。私の自己紹介がまだでしたわね。父、ブッド伯爵がお世話になりました。末娘のロレンと申しますわ」


「ああ! ブッド伯爵の娘さんですか。こちらこそお世話になっています」


 年は一七才らしい。俺より年下だ。


「今回の晩餐会、カナメ子爵は結婚相手を探さないのでしょうか?」


「あー。あまり勝手が分かっていないんだ。ダンスも踊れないし、食事をするくらいしかやることがなくてね」


「今度機会があったら教えて差し上げますよ? 領地の方へはすぐに行かれる予定ですか?」


 無意識にやっているのだろうけど、胸元がはだけているし、上目遣いで見られるとドギマギする。眼福!


「明日には出発したいと思っていますが、王都の方にも来る機会があるでしょう。その時にはお願いします」


 その返事にロレンさんの取り巻きからキャーって声が上がった。

 あれ? 無難な答えだったつもりだったんだけど……。


「では。その時を楽しみにしていますわ」


 そう言って、取り巻きを連れて去っていった。

 もしかしてモテ期ってやつなのだろうか。それも感覚的には三度あると言われるのが一度に来たような気がする。

 結婚、か。そこまで爵位はいらないかなって思っているし、政略結婚はしたくないが、今の子はかわいかったなあ。

 そんな思考に沈みながら、用意されている食事に手を付ける。

 その間にも何人かの子女に声をかけられ、結婚はどうとか、恋人はどうとか声をかけられた。

 冷静に考えて、今の俺は優良物件なのかも。妾さんがどうこうって話を聞いた時にはいいかもって思ったけど、実際は一人の人を愛さないストレスで胃が破裂してしまうだろう。


 思考に沈んでいると、野太い声が聞こえた。


「カナメ子爵、領地の件でちょっといいだろうか?」


 ブッド伯爵だ。頷いて、移動する。この場所から移動できてよかった。



 ブッド伯爵曰く、レグランドは辺境らしい。

 同盟国との国境もあるみたいだけど、同盟国って言うくらいだから友好的なはずだ。

 小さな街だけど、ちゃんと街道とかもあったり、王都からの交通の便は良いらしい。

 まあ、国境の近くだし、王都からの軍が通りやすいような配慮はされているのだろう。

 なかなかいい土地らしいので安心した。


「ちょっと口添えしただけさ。これから頑張ってくれたまえ。魔法陣の件は頼んだぞ」


 そう言って、白い布袋を渡された。ちょっと覗いてみると、白金貨っぽいものが大量にあった。


 大金すぎる。でもそれだけのお金が必要なんだよな。お金を稼ぐ手段を色々考えないとな。

 まあ、街の様子を見なければわからないか。


「で、内の末娘はどうだったかね? なかなかいいように成長していると思うのだが」


「あ、はい。利発そうなお嬢さんですね」


 その後色々話し、結婚がどうこうという話も言われたが、領地がどうにかなってから考えたいです。と返しておいた。

 まだ結婚する気はないけど、結婚適齢期はこの世界だと二十歳になるかどうかってとこらしい。まあ、結婚自体は何歳でも下手をすれば赤ちゃんからおばあちゃんまで出来るみたいだ。


「まあ、よろしく頼むよ」


 肩を叩かれて去っていった。俺もそろそろ部屋に行こう。周りも帰り始める人がチラホラと出てきているし。



 どの部屋に行けばいいのかわからないので、部屋はどこかメイドさんっぽい人に聞いてみると、すぐに答えてくれた。来賓室的なところが割り当てられたみたいだ。そのまま案内してくれるみたいなのでついていく。護衛の待機部屋でレミアとメリッサを拾ってからだ。

 しかし、さすが王都というべきなのか全体的に美男美女が多くて気後れする。

 髪の色も一定じゃないけど、黒髪は俺とか英雄とか地球組のみなのだろうか。

 ここまで黒髪は見ていない。黒髪美人が浴衣着るのとか好きなんだけどそもそも浴衣もなければ黒髪もいない。残念。



 部屋についた。なんかドアの前におっさんがいた。知らない人だ。でかい書類の束を持っているし、役人か何かだろうか?


「カナメ子爵ですね」


「そうですが、あなたは?」


「レグランド周辺の統治、監査を務めているものです。業務の引き継ぎにあたって説明をしたく参りました」


「ああ、ここではなんですし中に入りますか」


 そう言って部屋の中に入る。来賓室って紹介を受けただけあってなかなかいい部屋だ。

 ベッドは天蓋付きだし、カーペットはやわらかい。紅茶か何かを入れるようのセットもすでに用意されている。


「あ、僕がやりましょう。お手を煩わせるわけにはいきません」


 そう言って紅茶でも淹れようとティーポット的なものに手をかけようとした俺を制した。

 そういえば俺、貴族だったしあまりこういうことをやってはいけないのか。

 あまり実感はわかないから勉強しないと。


「で、レグランドってどういう所なんだい?」


「位置的には王都から徒歩だと一月はかかるところですが、高速馬車を使用されるのなら七日もあればつくでしょう。これといった資源がとれたりはしませんが、管理された迷宮の一つである土虫の迷宮があります。そこも統治範囲に含まれておりますので有効活用していただけると嬉しいです。また迷宮もあるので商業は普通の街よりは栄えており、商業ギルド、冒険者ギルドもあります」


 一気にまくし立てられた。長い。虫とか嫌だな……。


「予算として使えるのはどれくらい?」


「実は……。収支は均衡を保っているので自由に使える予算というものは少ないです」


 うーん。お金があればあるほどいいなあと思っていたのだが厳しそう。

 ブッド伯爵からもらったお金を元手に研究所の設立は最優先かなあ。約束的な意味でも、これだけのお金をくれたんだし応えないと。


「わかった。もう明日から行った方がいいかい?」


「はい。出来る限り早く行ってもらいたいです。道中の馬車など細かいことは僕の方でやっておきますので、この書類をすべてチェックお願いします」


 そう言って大量の書類を渡された。十キロくらいはあるんじゃないかなこれ。


「これは、すぐに見ないといけない?」


「いえ、道中に見ていただければ大丈夫です。今までの予算がどのようになっていたか、商業ギルドや冒険者ギルドとの関係など統治上必要なことはここに書かれているので目を通していただけると。わからないことがあれば現地に駐屯している役人もいますので聞いていただければ」


 ……。多いな。まあ自分のためだ。やろう。

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