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Phase37 投資

 朝早いのに起こされた。まだ寝ていたい。

 いや、寝させろ。そういう乱暴な言葉遣いをしてしまったが、目を開けると英雄の顔が目の前にあった。ああ、なんて嫌な目覚めだ。女の子がいい。


 まだ朝四時くらいじゃないのか? 眠いな。と思いつつ、着替えとか身の回りの用意をする。


「昨日連絡し忘れたからまだ寝ていると思ったが、毎日朝に会議をしながらの食事がこの砦の伝統だ。今日は俺のミスだが、明日から頼むぞ」


「わかった。すまない」


 朝こんなに早いのか。あっちの国にいた時より早い気がするぞ。起きれる気がしないので明日からはレミアカメリッサに起こしてもらおう。起こされるなら女の子がいい。



 食事をとる所に着いた。やはり貴族向けというか、装飾だらけだ。少し気後れしてしまう。

 席が一つだけあいていた。また英雄の近くか。話題は何なのか会話に集中すると、今日の防衛戦についてだった。

 投石機による被害がおもったより深刻なのでどうにかしたいらしい。

 一応、修復用の資材は有り余るほどあるそうだが、二つある門の内の一つは使えなくなってしまっているから、相手の退却時に追撃をかけたりするのが英雄だけしか実質出来ない状況になってしまったのが問題らしい。

 まあ、極論を言えば俺やレミアは一応門を超えることができるけど、戦闘をしたくないので言わないでおこう。でも、どうしてこちら側も投石とかしないのだろう?


「相手の投石機の攻撃がうざったいのならば、こちらも打ち返せばいいのじゃないですか?」


 疑問に思ったので聞いてみる。すると俺の向かい側に座っていた貴族が答えてくれた。名前はわからない。


「カナメ殿の疑問も最もですが、こちら側にはあちらのように魔晶石がなく、投げられるとしても大きな石だけで費用に見合った効力は得られません」


「じゃあ、もし魔晶石のあてがあったらどうしますか?」


「それは……。等級の高い魔晶石ならまだしも、低いものだと威力はそこまででませんぞ。ましてや等級の高いものなんて予算的にも厳しいですし、無茶でしょう」


「待て、ブッド伯爵。カナメはスキルで魔晶石が作れるのではないのか?」


 英雄がそんなことを言った。頷いて返す。


「それが原因で僕はあの国を追われ、こちらに保護を求めました。英雄やミナトなどの地球組もいますし、あちらよりはマシでしょうから」


「うむ。我が国に協力する限りは俺が身を保証しよう」


 英雄がそう言って周りを見渡す。全員頷いていた。


「ただ、カナメ殿。私的な場ではよろしいですが、爵位の差がある相手に敬語を使わないのはいかがかと」


 ブッド伯爵がそんなことを言ってきた。身分とかにはうるさそうだしおとなしく従おう。


「では、こちらも魔晶石を打ち返し反撃する方向でいいな。門の修理などはこれまで通りブッド伯爵に一任する」


 会議が終わると、白髭で壮年のおっさんに声をかけられた。見覚えがある。

 アラン伯爵と会議中に呼ばれていたのを思い出した。名前を覚えるのは苦手だけど思い出せてよかった。


「カナメ殿。私が投石の指揮をとるのだろうが、日にどれくらいの量の魔晶石をスキルで作れますか?」


 昨日ステータスを見ていてよかった。魔晶石一つに魔力を百使うとして、余裕を持って二十個と答えておこう。


「修理などの手伝いにも行くことを考えると、二十個です。だいたい等級は二級くらいになると思います」


「ほう。運用するには少ないが、何とかしよう。一つ一つが高威力であるし、使い所は私に任せてくれたまえ」


 了解しました。と返し会話が終わった。

 修復とかの手伝いをしたいし、ブッド伯爵の所に向かおう。


「ブッド伯爵。少しお話したいことが」


「ふむ。私もだ。そこらの部屋で話そう」


 そう言われ、食事をとっていた部屋の向かい側が空いていたので入る。

 レミアやメリッサはドアの前で待機してもらう。ブッド伯爵の護衛も一緒にドアの前だ。


「で、何かね?」


「僕もこの防衛戦の間、修理などを手伝いたいからブッド伯爵の指揮下に入れてほしいです」


「ふむ。いいでしょう。スキル持ちは貴重ですから助かりますぞ。カナメ殿のスキルで、対魔法用防護壁などの材料があればそれを門に接合することは出来るでしょうな?」


「魔力が続く限りは大丈夫です。アラン伯爵とも話したのですが、魔晶石を作らないといけないので、少し魔力が心もとないですが……」


「十分です。資材がある限りは防衛が出来ますし、援軍を待つだけになりそうですな」


 そういえばここには魔法陣を作る設備はあるのだろうか? 魔力補給用魔法陣を巨大化させたい。英雄も魔力不足でやばかったし、こういうものがあれば便利だろう。

 直接的な戦闘は苦手だし、研究や技術面で貢献していきたい。戦闘は英雄に任せておけばいいはずだ。


「この砦。ええっとスメア砦には魔法陣を作る設備はありますか?」


「魔法陣関係は王都にしか設備はないぞ。あれは物好きのやるものだが……。そうか魔晶石を作れるのか」


「ええ。魔晶石はあるので魔法陣とかの研究をしたいですね。いくらでも、とは言いませんが実験ができるので」


「よし、カナメ殿に割り当てられる街はまだわからないが、私から少し口添えしておこう。研究設備を整えたいのなら私が投資をしよう」


 この人苦手だったけどなんかいい人っぽい。ありがとうございます、と返して具体的なことを話したが、結果的になにか新しい魔法陣ができたらそれを提出するってことで落ち着いた。


「では、そろそろ門などの修理に行きましょうか。これからよろしくカナメ殿」


 そう言われて、握手を求められたので、握手をする。両手で念入りにだ。

 部屋から出て、護衛を連れ門に向かおう。

 カヌザーヤのクソ共はまだ動かないし今のうちだ。


一日二更新なんて久々です。(ホントは明日更新用)

なぜかっていうとこの更新で十万文字超えるからです。やったね!

数えたら79日目のようです。


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