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Phase30 切断

 牢の外を見てそんなことを考えていると、他にも捕まっている人がいるらしい。


「すいません。あなたは一体どうして捕まったのですか?」


 とりあえず声をかけてみる。薄暗くて少し見にくいが顔はある程度見える。何日もいるようで頬は痩せこけ、目に隈ができている。なんというか日本人っぽい顔立ちをしている。


「そりゃあ、奇襲をかけたら捕まって捕虜になったんです。あなたもでしょう?」


「いえ、ちょっと嵌められまして」


 詳細を話すと、同情された。この人意外と偉い人らしい。

 どうやらこの牢屋はそれなりの地位のある人を収容する所らしく、警備も厳しくて抜け出すのは困難らしい。


「もしかして、日本人ですか?」


「ええ、そうですがあなたも?」


 なんかそうっぽいな、と俺も思っていたが、本当にそうらしい。英雄ではないようだが。

 ミナトというらしく、同い年のようだ。こっちに転移してきてからずっと英雄と行動しているらしい。

 英雄もミナトも転移場所がほとんど同じ所だったらしいなんて、うらやましい。俺なんてぼっちだぞ。

 とりあえず今まであったことなどを話していると、やはりミナトも泥に飲み込まれたクチらしい。スキルのことを相手は言わないし、こちらも言うのを差し控えよう。味方にならない限りは。

軍属すると強制的にスキルがバラされるってのは本当に勘弁してほしい。それで今回こうなったし、目をつけられたのもそれが原因だ。


「ちょっと頼みがあるんだが。いいか?」


 亡命したい。店のことはあれだが、金は生きていればいくらでも作れる。今は安全な受け入れ先がほしい。


「同じ日本人だし、無茶な話じゃないなら聞くよ」


 そう言われたので鉄球を外すのを見せつつ交渉する。


「ここにいるミナトの味方を全員を解放するから、俺を亡命させてほしい。それが出来るスキルを俺は持っているんだ」


 その言葉を聞いてパッと明るい笑顔を見せてくれた。


「うんうん。歓迎するよ。カヌザーヤ国は一部を除いて腐っているみたいだしね。同じ日本人が味方になってくれるなら心強いよ」


 うし。交渉成立。ちょろい。


「ありがとう」


「いえいえ、たぶん今は兄さんが単騎で奇襲をかけていると思うけど、ここを発見できていないみたいだからその提案は助かるよ」


 単騎、ってバケモノか。ほんとに同じ日本人なのか?

 英雄というスキルがあるからだろうか。軍に対する補正がどうって聞いたけど、ミナトが捕まってから単騎に変えたのだろう。


「とりあえず、脱出はバレにくいように夜でいいか?」


「その、言いにくいんだけど一緒に捕まった護衛が女性ならあまり時間がかかってしまうと慰み者にされると思うよ」


 慰み者、の意味がわからなかったが説明されるうちに頭に血が上ってきた。

 ミナトと会話してまだ十分もたっていないし、連行されたのはほぼ同時だ。今行けば間に合う。いや間に合わせる。


 鉄球を外し、オリをねじ曲げる。割と簡単に、音も出ずに出来た。

 ミナトについている鉄球などを解放し、レミアとメリッサを探しに行く。悪いがミナトの部下なんて後回しだ。


 まだ看守には気が付かれていない。そもそもオリの近くで見張っているというわけではなく、看守室みたいなところでくつろぐのが仕事らしい。

 それでも出入り口付近の警備は厚いようだが、中を移動する分には多少の気を払えば問題ない。


 女性の入るところは今いる場所よりもっと地下にあるようだ。階段を見つけたが、生臭い臭いがここからでもわかる。

 だいたい何が行われているのかがわかってしまった。


 階段を降り、最初に目に入ったのは四肢を切り落とされた女性の姿だった。もう息も耐えているが、亡くなってからそれほど時間が経ってなさそうだ。ミナトがこの女性を見て絶句しているが、今はそれに声をかけて時間をロスさせたくない。


 レミアとメリッサがいる場所はどこだ?

 こんな目には絶対に合わせたくない。

 一応オリの中にいる女性がこちらを指をさしていたりするが後回しだ。

 皆裸だし、大事なものを失っていそうだが、それどころじゃない。さっきからミナトの様子がおかしいが、多分仲間なんだろう。悪いが俺の事情を優先させてくれ。


 奥の方に行くと、少し騒がしい部屋があった。

 中には何人かいるようだ。

 ばれないようにドアをほんの少しだけ開けようとすると、鍵がかかっている。ふざけるな。

 サクッと結晶を生成し鍵の部分を壊し、ドアをほんの少しだけ開ける。

 見えてきたのはブツを出している男達がレミアとメリッサの前に直立している光景だった。

 レミアとメリッサはまだ脱がされていないし間に合ったのか?


 ミナトに目配せしつつ、ドアを開け、男たちのブツに結晶を生成し切断する。

 叫び声が上がらないように口の周りにも結晶を作るのを忘れずにだ。

 その汚らわしいブツを使おうとした罰だ。生えるものではないし、一生後悔しろ。

 いきなり起きたことに男たちは叫び声をあげようとしているが、くぐもった声にしかなっていない。ブツには主要な血管とかあるみたいだし、このまま失血死しそうだがもうどうでもいい。

 レミアとメリッサに危害が加わるくらいなら俺がその罪を背負おう。



 レミアもメリッサも泣きはらした目をしていたが、拘束を解くと抱きついてきた。

 そのぬくもりに安心して、力が抜けてきた。

 今度はミナトの味方を助ける約束を果たそう。


どこまでの表現がなろうの規約違反になるかよく分かっていないのですが、今回は抵触していないか不安です。

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