第26話
『スペースジャンプキャッチャーを検知、逃走円を表示します』
ペトラが両手両足をじたばたさせた翌日…俺達は貨物庫に沢山荷物を積み、ファースト星系へと向かっていた。
因に、データ輸送室はステーションに売却した。
何か、緊急で必要だったらしく…ちょっとお高めに売れた。
首を傾げて少し経った後、傭兵ギルドのお偉いさんからメールが来たので…まぁ、はい…そういうことだと思います。
「すぅ…」
『ジャンプアウト』
「ハッ…勝負だ!」
「敵方3隻!中型1!小型2なのです!」
前衛小型船、後衛中型船という構成だ。
小型船は左右に別れて展開してきており、包囲かクロスファイアを狙う構えと見た。
向こうがキャッチャーを起動した時点で、こちらもスキャンを行い、宙賊なのはハッキリとしている。
「さあ、容赦なく行くぞ!」
「ラジャーなのです!」
先ず狙うのは中型船だ。
砲撃にしてもミサイルにしても、やられて困ることをして来るのは漏れなくコイツなので、さっさと倒すに限る。
「チャージ主砲ファイア!」
『チッ、避けきれないかあぁぁぁ!?』
しっかりと命中し、真ん中にポッカリと穴が空く。
「敵中型船!撃破確認なのです!」
安心安全のチャージ主砲君の出番である。
色々試算した結果、傭兵の中型船相手には1撃まではいかないのでは?なんて結果が出てきたこの砲だが、そこらの宙賊相手には、18分の威力を誇る。
「敵小型船からジャンプの兆候なのです!」
「片方は落とす!」
その場でクルリと左方を向き、狙いを定める。
「ファイアあぁぁぁ!?外したぁ!?」
「小型船ジャンプ確認!レーダー範囲敵影無し!状況終了なのです!」
強張った体をさらに少し強張らせた後、ガクッと肩を落とす。
「ぐっ、ぐおぉぉぉ…あそこで外すかぁ…」
「ロックオン使わないからしょうがないのです」
「うぅぅぅ…でも、ロック使うとアイツら避けてくるしなぁ…」
「そうなのです…アレには驚いたのです…」
「「はぁ…」」
「それじゃあ、ローズ呼んでくるのです」
「はーい」
我が船の回収係ローズは、今日も今日とて勉強中だ。
最近知ったのだが、捕虜監視法なんてのは、最早有名無実化した法律らしく、適用する罰則自体が法令の改正で無力化されているんだとか。
つまりローズを拘束するものなどなにもないわけだが…こちら的に、ローズが居ない生活をもう考えられない為、残って欲しい所ではある。
因に、それを聞いたのはローズからだったので、彼女が知らないと言うことは無い。
ノータイム土下座に、一体どれだけの効果があったか…ペトラは〔これがダメ亭主なのです…〕と戦慄していたが…
「こっちは主砲チャージしとくか」
ふぅ、切り替えきりかえ!
えーっと、エネルギーセルから…トンガリのを選んで…ポチっと。
『主砲エネルギーチャージ、開始しました』
残量は…3か…
このエネルギーセル自体は使い捨てじゃないらしいんだが、チャージ用の機械を買いそびれちゃって…
確か第2コロニーに、トンガリの出張販売所みたいなのがあったはずだから…そこにも寄るかな。
「おっ、回収が始まったな」
回収ドローンが宙賊船の方に向かっている。
直進するだけだし、こりゃながらで歩いてそうだ。
「待たせたわね」
「いいや全然」
おっ、ドローンも到着した。
ふえー、容赦なく船体ぶった切るなぁ…
「今回はジェネレータが無いから楽ね。
このまま外装の高いとこ回収したら終わりよ」
「ほえー」
「あっ、そうそう。
傭兵で使いそうな知識の絞り込みが終わったわ」
「おお!やったな!」
「だから…その…じゅっ、10万エネのインプラント………っ、買ってくれないかしら!」
「えっ…」
10万エネ…日本円でザックリ1000万円…
対戦した傭兵のお歴々曰く、小型船で傭兵船を名乗るにはそれくらいは最低かかるとか、いやいや100万がスタートラインだとか言われていた金額。
…例のせいで何かが狂ったような気もするが、それは置いといて…とにかく大金である…
「後悔はさせないわ!私の腕は保証する!しっかりお金も返す!」
「…船を降りるのか?」
「そんなわけ無いじゃない!私は…私は貴方が降りろと言っても乗り続けるわ!
最後の、その一瞬まで貴方と共にいる!」
「………いや、その…あの………そんなつもりは…無くてですね…」
「………えっ?」
「その…インプラントって、家でインストール出来るものと、病院に行かないと入れれないものがあるじゃないですか…」
「ッッッ!?」
「入れるのは全然良いんだけど、どのドックに停めようか…位のアレで…」
…大金ではあるのだが、全然払える金額なのである!ヒトデ漁で44万とか稼いだのである!ローズの為なら、全然行ける額である!
「キャーッ!ローズ!そうだったのです!?キャーッ!チュー応援するのです!」
「はっ、はぁ?あっあっあっうぅぅぅぁぁぁぁぁ!」
ローズは、凄く頑張りやさんである。
「ちょっ、忘っ…忘れ…忘れないで欲しいけどぉ!」
具体的には、精算の時も勉強してたり、ペトラと幾ら稼げたなんてキャイキャイしてる時も勉強してた位には頑張りやさんだ。
「へっ、えっ、なに?なんでそんな大金…そんな即決して…」
「ヒトデ漁で44万エネ位稼いだのです!スキャルさんならそれくらいポン!なのです!」
「はぁぁぁぁぁ!?なんで!?今回のだって何ヵ月もかけてって…
…あぁ、忘れてたわ…傭兵ってとんでもなく高給取りなのよね…」
「キャーッ!キャーッ!いついつ!いつからなのです?チューとあった時にはどうだったのです?」
「あっ、あうぅ…」
ペトラ、押しに押している!ローズはタジタジだ!
「スキャルぅ…」
「かわっ…」
あっ、こっちに逃げてきた!スキャルに効果は抜群だ!
「キャーッ!キャーッ!」
しばらく抱きあって向き合う2人………いやイカン!ここは戦地だ!取り敢えず離脱しな『オートパイロットの回収ドローンが帰還してから、規定の時間が経過しましたので、元の航路を継続します…ジャンプ開始』…備えあれば憂いないね!
「スキャル…」
「その…これからも…よろしくお願いします」
「っ…はい!」
「キャーッ!キャーッ!」
その日、俺達は何時もより結構お高い食料カートリッジを使って夕食をとった。
その味は…景色は…恐らく、死ぬその時まで忘れないだろう。
成果
(7,800×4)
+(8,600×3)
+(12,400×3)
+(19,400×3)
+(20,800×3)
+(24,300×3)
+(25,200×3)
+(26,400×3)
合計 442,500エネ




