第1話
「知らない…天井だ…」
直近の記憶を探る…確か、金曜日だったよな…明日は休みだから浮かれてた記憶がある。
帰って…寝て…うん。変な記憶は無いな…
「しっかし、天井にプラネタリウムとは中々豪華な造りだな…」
何時ものように頬を掻こうとして『コツン』と音がなる………音がなる?
「…へ?なんか被ってる?なんだこれ…メーター?ロゴ的に空気量?」
えっこれもしかして…
「宇宙!?」
うおぉぉぉ落ち着け!まだあわあわあわあわ!
「とっ、取り敢えず何か!何か無いか!」
前方無し!後ほおぉぉぉぉ!?
「なんか動いた!?」
『プシッ、プシッ』という音がなって後方へと向きを…空気メーター減ってますね…
「これもしかしなくても空気を使っての移動ですよ…ギャァァァ!右下の生存可能時間がゴリゴリ減ってるぅ!?」
なっなにか!とにかくなにか!
「………船?」
…っぽい!それっぽい!なんか見た目が宇宙船っぽい!
そこにあったのは、黒くて流線型の推定宇宙船だった。
「あれしかない!」
ゴー!ゴー!ゴー!
格闘すること十数分…体感では2時間近く経っているが、ヘルメット曰く十数分…を経て、なんとか船の表面にしがみ付く。
「おっ…おお?なんかガイドみたいなのが表示された!」
進む方向を示しているらしき矢印に従って進むと…進むと…
「…なにもないな」
壁だなぁ…
「うーむ…宇宙船か怪しくなってきたな…窓もないしなぁ…」
とはいえこれ以外にそれらしいものも存在しないので、ペタペタと外壁?を触『ガコン』…おっ?おお!
「行けた?………っぽい!なんか扉っぽく開いたぞ!………中怖くね?」
扉の向こう、非常電源らしき明かりのみが光る空間に若干しり込みしつつ、恐る恐る入っていく。
「前持ち主がこんにちはパターンは嫌だなぁ…」
薄暗い内部にはどうやら空気が無いらしく、服を脱ぐなという警告のロゴが目の端で光続けている。
「横の部屋は…開かないか…」
入り口から暫く歩いているが、道中の扉は開かず…誘い込まれる様な不気味さを感じつつも、最奥の部屋…推定コックピットへと向かう。
『プシュー』
聞こえない音が聞こえた様な気分になりながら、唯一開いた扉の奥へと向かう。
「おぉ…」
そこにあったのは、やはりコックピットであった。
全面には宇宙を写す窓…モニターかもしれないが、とにかくそれがあり、その手前には椅子がある。
そんな椅子の前には、戦闘機のようなハンドルや、ペダル等が散りばめられており、中々に男の子心をくすぐる見た目をしている。
ユーザービリティに優れたそれらは、直感的に操作できそうな見た目をしており、ガチャガチャと動かしたい誘惑に駆られる。
…とはいえ、空気量が有限な以上、あまり遊んでられる余裕もなく、まずは起動を行えそうななにかを探すことにする。
「…っと、起動は…これか?」
一番目に付くボタン…それをポチっと押すと…
「おお!起動し…た?」
非常用電源から切り替わり、船内が明るくなり、目の前の画面が光ったものの、空気が無いのは変わらず…
「よっ、読めん!」
何より、画面の文字が全く読めないのがかなりキツイ!
「おっ、自動音声…音声…」
『○○✕✕△△』
音声も意味がわからないぜ!
「ムムムム…」
操縦桿を動かしてもなにも起きない…と言うことは何かしらの操作をしないといけないはずだが…
「ナントカナレー」
うおぉぉぉ!唸れ俺のUI認識力!それっぽいのをポチポチ押すんだ!
『○○△✕△✕ ポーン』
なっ、なんか来た!
「なっ、なんだ…何をすれば…」
『ポーン なっ、なんだ…何をすれば… ○△✕』
「あっ、画面進んだ」
なんだろう…なにか致命的な間違いをおかした気がする。
『□□△✕△✕ ポーン』
なんだ?またなにか言う系か?
………一応、よく使ってたゲームの名前言っとくか…これなら最悪諦めがつくし…
「スキャル」
『ポーン スキャル □□○』
「あっ、画面進んだ」
キャッスルなんとかという、ソシャゲの名前を弄って作った愛用のユーザー名…こんなところで使う事になるとは…
『○○△✕△○○』
「おっ、なんかスキャンしてるっぽい」
再起動時の確認的なやつだろうか?船の画像と、それをスキャンしているらしき映像が流れ、進捗バーも表示されている。
『ビー ○○△○○ ビー ○△○○』
「あっ、なんかダメそう」
『□□△○○△!△△○○!』
「カウントダウンっぽいの始まったんだけど…自爆っぽい感じはないし…一応操縦席に座っとくか…」
座ると同時に、体が少し沈み込み、固定されるような感覚になる。
「おぉ、未来のシートベルトぉ…」
とはいえ、体が動かせないわけではなく…いざという時の安全装置を付けられたとでも言うべきだろうか…そんな感じだ。
「しかし…カウントダウン的には10進法っぽいんだよなぁ…なんとか解読出来ないかな?」
まずは位が変わるタイミングを注視して、0から順番に解読をしよう。
「………ここ!っああ!記憶しきれない!……ここ!……よしよし、なんとなくわかったぞ…次は9を埋『□□□△△○○』めえぇぇぇぇ!?」
星明かりは線となり、体は椅子へと押し付けられ、今見た世界がすぐ後ろへと移動していく。
あまりにも幻想的なそれに時を忘れて見入っていた俺は、何かのアナウンスと、軽くなった体に我に帰り、そして思い出す。
「これ直視したらむっちゃ酔うぅー!」
乗り物酔い…その辛さを…




