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バタフライエフェクトギルド〜異世界のギルド、書類が山積みだったので全部やっておきました〜  作者: くろかっぱ
三章

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第三十七話:始動

第三幕です。


ここから少し空気が変わります。

いつも通り、よろしくお願いします。


「場所を変える」

ガドが言った。

カーラ、レイモンド、ケンジがついていった。



ギルド裏に残された面々が黙っていた。

炭火がまだ燃えていた。

トールが「何をすればいいですか」とゴルドに聞いた。

ゴルドが「待て」と言った。

アンばあさんがお茶を入れ始めた。

誰も何も言わなかった。



執務室に四人が集まった。

ガドが「話せ」と言った。

カーラが口を開いた。


「魔獣狩りで遠征範囲が広がっていました。川向こうに近い場所まで行った時に見ました」


「装備は」


「歩兵が主体です。弓も見えました。騎馬は少ない」


「動きは」


「まだ待機しています。ただ、物資の搬入が続いていました。準備を整えている段階だと思います」


ガドが黙った。

レイモンドが黙っていた。ペコペコが完全に止まっていた。別の顔だった。

「どこを狙ってくると思いますか」とケンジが聞いた。


カーラが少し考えた。

「わかりません。ただ川を渡ればラルタ村がすぐです。小さい村です。まず落として足場を作るなら、そこが手頃だと思います。でもベルタを直接狙う可能性もあります」


部屋が静かになった。


帳面を開いた。

「確認させてください」


全員がこちらを見た。

「今ベルタで動ける冒険者は何人いますか」

ガドが「鉄級以上で三十前後だ」と言った。


「王都からの援軍が来るまでどれくらいかかりますか」

レイモンドが「早くて十日、通常なら二週間です」と言った。


「ラルタ村のマルコさんたちで持ちこたえられる時間は」

カーラが「村の規模から考えると、数日が限界だと思います」と言った。


帳面に書き込んだ。

十日対数日。間に合わない。


「魔石通信を急ぎます。ラルタ村と繋がれれば動きを察知できます」


「間に合うか」とガドが言った。


「わかりません。でも今夜から動きます」


ガドが頷いた。


「今夜やることを決める」

顔を上げた。


「一つ、王都への報告」

指を折る。


「二つ、ラルタ村への警告」

もう一本。


「三つ、川向こうの監視体制」


「王都への報告とイレーナさんへの連絡はすぐ手配します」

レイモンドが言った。


ガドが「カーラ、人数を連れて監視を続けろ。近づくな。戦うな。川を渡る場所に注意だ」と言った。

カーラが頷いた。

「やります」


ケンジが言った「火喰鳥をラルタに向かわせても」

ガドが眉を動かした。

「ラルタへ?」


「はい。警告と準備です」

指で机を叩いた。

「今ある魔石通信を火喰鳥とカーラさんに渡します」


レイモンドが聞いた。

「繋がるんですか」


「わかりません」

少し間を置いた。

「まだ試作品です」


誰も喋らなかった。

ケンジが続けた。

「繋がれば馬より速いです」


ガドが腕を組んだ。

「火喰鳥」


返事はなかった。

呼ばれている本人たちは外だった。

「ラルタへ行け」


少し考えて続けた。

「戦うな」


部屋が静かになった。


「村長に伝えろ。避難路を確認しろ。通信を繋げ」


カーラを見る。

「お前は監視だ」

カーラが頷いた。

「渡る場所を見ろ。数を見ろ。帰ってこい」

返事は短かった。

「はい」


ガドが立ち上がった。


「動くぞ」


そこで会議は終わった。



執務室を出て、ギルド裏へ戻る。

全員が残っていた。

誰も帰っていない。


アンばあさんがお茶を配っていた。

こちらに気づいて、空気が少し変わった。

トールが聞いた。

「今できること、ありますか」


全員が見ていた。

少し考えて言った。

「あります」


ブロンが立ち上がった。

「行くか!!」

ゴルドが止めた。

「先に聞け」


帳面を閉じた。

「火喰鳥にお願いがあります」


少し静かになった。

ブロンが目を丸くした。

ゴルドが聞いた。

「どこだ」


「ラルタ村です」


リアが顔を上げた。

「戦闘?」


首を振った。

「違います」


全員を見る。

「警告と状況確認です」


少し間を置いた。


「戦わないでください」


ブロンが笑った。

「難しい依頼だな」


ゴルドが立ち上がった。

「受ける」

短かった。

リアが頷いた。

トールが小さく息を吐いた。


アンばあさんがお茶を差し出した。

「ケンジさん、飲みな」


受け取る。

温かかった。



ラルタ村への手紙を書いた。

魔石のメモを開いた。

帳面を見た。


十日対数日。


やることが見えている。

時間が足りない。

でも、動ける。


戦争を止める力はない。

でも。

間に合わせることなら、できるかもしれない。

戦えない男のやり方で。


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