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第1話「完璧」

注意!!(0話の前書きに書いてあった物と同じ内容です)

・この物語にはとても多くの概念や能力、特異な物質が登場します。

・概念や能力の事をあまり理解していなくても楽しんで読める物となっていますが、恐らく理解すればするほど更に面白い物語として読めるかと思います。


・1話ごとのボリュームは4000~5000字ほどです。


・そして、よかったら最後まで読み進めてあげてください。

『知ってもらう事』で、彼らは強くなれるのです……強くなって、夢のもとへ辿り着いてくれるのです。

 『月人』……2043年11月中旬に宇宙探査士明星(あけほし)待雪(まつゆき)が遭遇する事によって、その存在が確定した宇宙人。

 月面におよそ4000人規模の都市を形成しており、彼らの平均能力は地球人の()()を大きく上回っている。

 我々地球人が生身で持てる『法則から逸脱した力』は『種族的な物』と『個体別にもたらされる物』の2つだけである事に対し、彼ら(月人)は無酸素空間での活動、高レベルの身体強化(フィジカル)、不老などの種族的な力に加え、特殊な物質の脳波コントロールなどができる力を、最大で5つ有する事ができる。

 その生態や強さ、(地球人から見て)優れた外見などから彼らの通称は『人類の完成形』『最強の種族』である。



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



 ­­­――どこかの宇宙に、我々の知るソレとほとんど同じ形の『地球』と『月』が浮かんでいる。


 そして今、その月の大地は大きく揺れていた。


 『月獣の暴走(ゾイカタイギーガ)』……月にて不定期に発生する、3m級の月兎(つきうさぎ)月狼(つきおおかみ)による大移動。


 いつ、何故、どれほどの規模で起きるのか。

 そのほとんどが不明な中で、今まで発生してきた全ての『月獣の暴走(ゾイカタイギーガ)』にはとある1つの共通点があった。


「10、45、67……うん、118匹。今回もいつも通りの規模か。」


 人と比べてあまりにも巨大な動物達が、その足で大地を揺らしながら『都市』へ向かっている。

 その最終目標は『都市に住まう月人の根絶』だ。


 その破壊衝動がただ本能によるモノなのか、()()ではないのか……それはまだ、人類に理解する事はできなかった。


 月獣達の眼に『月の都市』を取り囲む外壁が見えてくる。


 そしてそれとほぼ同時に、外壁の上から放たれた巨大な金属の矢が何本も彼らへ飛びかかった。


 音を置き去りにしながら飛来する、人と同じほどに大きい矢は当たった者の体を容赦なく消し飛ばしていく。


 隣で同胞が消し飛んでも、彼ら(月獣)は気にせず外壁へ迫り続ける、まるで前へ進む事しか()()()()()()()()()()()かのように。



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



 巨大な壁の前で子供達が規則正しく並んでいる。


「初めての戦い……楽しみだな!何十体倒せるかな?」


「私達なら何体でも倒せるでしょ!全部やっちゃってもいいね!」


 一部の無知か勇敢な者を除いて、子供達は静かにハルバードのような武器を持って並んでいた。


 だが、規則正しく揃っているのは列だけではない。


 子供達は皆、紫の目と服に、雪のように白い肌と体毛を有している。


 それに加えて彼らの身長は皆130cmほど、地球人の小学児童の平均と同じくらいの体格をしている。


 このほぼ同じ見た目でほぼ同じデザインの服を纏い、同じ武器を持つ子供のような彼らは『月人』の通常種と呼ばれる者達だ。


『月人』の大多数は生まれた時から何らかの外的要因によって死に至る時まで、その幼く愛嬌に溢れながらも整った外見で生き続ける。


 見た目や性格には幼さを感じるものの、彼らのほとんどは既に何十、何百年も生きており、そもそも『月人』の通常種は生まれた瞬間から既に成体なのだ。


 並んでいる彼らの上を、巨大な矢が何本も飛んでいく。


「おいバリスタ隊!俺らの殺る分まで殺すなよ~!?」


 血気盛んな月人の1人が外壁の上を向いて叫んでいる。

 だが、外壁の上にいた月人達は、その言葉に耳を傾ける余裕を持っていなかった。


「撃て撃て!!レイズ様から今日は『全滅させる勢いでやれ』っていわれてるんだぞ~!!」


 高さ20m、厚さ10mほどの、どこまでも続く外壁の上で月人達が慌ただしく動き回っている。


「おい……もっと正確に撃てよ!いくら早く装填しても、お前たちが当ててくんなきゃ意味無いんだぞ!!!!」


 外壁の出っ張った部分に立ち指揮をとっている月人が、他の月人に何やら文句を言っていた。


 ドトッドトッドトッ……


 地鳴りの中に紛れるリズムを、指揮をとる月人がいち早く察知した。



「……!狼来てんぞ!優先でやれ!!」



 月兎の群れが織り成す流れの中を縫う糸のように、数体の月狼が迫ってきている。


 群れに巻き込まれないために、跳びながら移動する月狼の足音は地鳴りの中に刻まれるリズムのようだ。


 狙撃していた月人の1人が、弱々しい声で指示役の月人に叫ぶ。


「ジグザグ動いてて無理ですぅ~!」


「無理じゃねえやるんだよ!!下手したら前線の皆より先にオレらが死ぬぞ!!」


「なんでですか~!?」


 怒鳴る指示役に、狙撃手の月人が半泣きになりながら尋ねる。

 指示役は焦りとプレッシャーにより半狂乱になりながら叫んだ。


「オレもそんなに知らないんだよ!!前線部隊に出番わたさないでっていわれたの!!」



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



月獣の暴走(ゾイカタイギーガ)』が迫り、徐々に大きくなってくる揺れに、前線の月人達は様々な想いを募らせていた。


 戦いに心躍らせる者、人生の終わりを考える者、慣れたのでもはや何も考えていない者。


 どこからか笛の音色が響き渡り、突如前線にいた月人達の視界にひし形の()()()が映り始める。


「チェッカ様のサポート……いらないわけじゃないんだけどさ。急所が分かるって言ったって……喉元なんてどう狙うんだよ。」


「あそこ狙って死んだ奴、1回目の戦いで5人は見たな……。」


 前線の後方にいる月人達が陰鬱な雰囲気で話している。


「まぁ1回目の戦いで後方居させてもらってたのに、調子乗って前出て……死にまくったアイツらが悪いんじゃね……。」


「そうか、まぁ最初の時って、あの前の2人みたいに皆血気盛んに行くんだろうな……ん?」



 1人の月人がとある違和感に気づく。



「アイツら……初参戦っぽいよな?なんで前に……?」



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



『月人』にはいくつかの種類がある。


「チェッカさんの笛はもう来たし……あとは合図を待つだけだね!」


「うん!もうコレ(ハルバード)は……捨てちゃっていいね。」


 前線の先頭近くにいた2人の月人が、彼らの唯一の武器であるはずのハルバードを地面に投げ捨てた。



 彼らのほとんどを占める『通常種』そして……常に7人までしか存在しない『天使種』。



 『天使種』の月人は異常な身体能力に加え、『通常種』とは違い生きる中で成長していく。

 強力な能力も併せ持つ彼らは『月人』という存在が完璧であると言われる所以(ゆえん)でもある。


「前線隊!!応戦!!!!」


 どこからか聞こえた、男性の低く響く大声と共に2人の月人が駆け出し、後方の月人達を大きく突き放す。

 武器も持たず飛び出した彼らの手が、徐々に激しく輝き始めた。


 群れの中から狂ったように飛びかかってきた月狼へ、2人はその輝く手を同時に向ける。



「【マーナガルム(爆ぜる死月鉱)】!!」

「【バルドール(月光の一石)】!!」



 白と紫の閃光と共に、月狼が跡形も無く消し飛ぶ。

 2人の幼い天使種は、迫りくる群れに対して顔を見合わせてからすぐさま何かを唱えた。



「【フォーバマイン(死月鎌)】!」

「【ミストリテイン(光の弓矢)】!」



 『服に目の模様がある』月人の手には紫色の宝石で出来た大きな鎌が、『服に光の模様がある』月人の手には光そのもので出来たクロスボウと矢がそれぞれ握られた。

 鎌を持つ少年は目を輝かせ、クロスボウを構えた少女は曇りのない笑みを浮かべる。


 少年が曇りの無い眼で、隣に立つ少女に問いかける。


「近づいてきたり逃げようとするのは僕が倒すから……リプラ、狼ぜんぶ僕達でやっちゃう?」


 少女は笑顔を輝かせて、隣の少年に微笑みかける。


「やっちゃおう!私達で!!」


 互いに頷き、彼らは前を向く。


「【バル・ドドドール(光の乱撃)】!!!!」


 少女の持つクロスボウが眩しく光り、放たれた幾多の光の一閃が月獣(げつじゅう)へ容赦なく降りかかる。

 光に触れた動物達が次々に頭頂を撃ち抜かれ倒れていく中、運良くバル・ドドドール(光の乱撃)を避けた月狼が少女を葬らんと高く跳び上がる。


 刹那、月狼は首を置いてけぼりにしながら跳んでいく自身の身体を目にした。


 頭という制御パーツを失い、暴れながら落ちてくる月狼の身体に向けて少年が宝石の欠片を投げつける。


「【マーナガルム(爆ぜる死月鉱)】。」


 少年がそう呟くと同時に投げた宝石が爆ぜ、月狼の体が跡形も無く消し飛ばされた。



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



 しばらく戦い続けていた2人がふと前を向くと、そこに先程まで大勢いた『月獣の暴走(ゾイカタイギーガ)』の姿が無くなっている。


「「……!」」


 少年は静かに興奮した様子で少女に確認を取り始めた。


「リプラ、これって……僕達が全部倒しちゃったのかな!?」


 少女ははしゃぎながら少年の手を強く握った。


「わぁーーっ!?そうだよアスク!私達強すぎ!!」


 少年『アスク・スーリエル』と少女『リプラ・リュミエール』が、互いに手を取る。


「最強?」


「最強!」


「最高?」


「最高!!」


 月で唯一の『双子の天使』達は手を取りながら踊りおどけていた。



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



 ひとしきり回って踊った後、アスク達はとある事に気づく。


「……地面、まだ揺れてない?」


「確かに……あっ!」


 外壁の方を向くと、彼らを避けていた月獣達がそのまま進み前線の月人達と戦っている。


「踊ってる場合かお前ら!!兎共もキッチリ処分しろ!!!!」


 前線隊と月獣が争っている中から男性の怒号が聞こえてきた直後、妖しく光るいくつもの輪が空に現れた。


「ったく……散れ塵芥(ちりあくた)共!!【アウレオラ(天使の輪)】!!!!」


 紫の輪がいくつか空を舞ったかと思えば、それに引っ張られるように月兎が何体も空へ吹き飛ばされていった。


 紫の輪を通過しては吹き飛んでいく月兎を見つめながら、アスクとリプラは跳ねるように走り出して愚痴をこぼした。


「まず月狼を全滅させた事を褒めてくれても良くない……?」


「そんな気遣いインヘリットにできるわけないよ!出来てたらロイヤーに根っから髪の毛焼かれてないもん。」


 遠くから、駆けていく彼らを見つめていた。


「アレが……()()()が……。」

『ライバー』

・『HOP-13-326』系統の世界に存在する、超常的な能力を有した知的生命体の総称。

生誕時、必然的に発生するよう仕組まれたコード欠陥により、ほとんどの個体が別世界への干渉を行える。

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