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掃除のスキルで世界無双!? ~雑用スキルで最強になっちゃった~  作者: わらうクジラ
第一章 ヴェラ戦争
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☆強敵☆

土煙が舞う。

 それが晴れると私を捕捉して追撃を放つ。

 これだと一生反撃を加えられない。

 2対1の利点をうまく使わねばまず勝てないだろう。マニもそこに辿り着いたようで覚悟を決めたみたいだ。


「能力(スキル) 絢爛水舞」


服が舞い上がり大きなエネルギーを感じる。

 

「神託(スキル) 神代之聖風(エンジェル・リーフ)」


白い風が槌にエンチャントされる。

 私はそのスキルがどのようなものなのか確認するまでは近づけない。

 目の前から彼が消えた。

 マニの方を急いで確認するとマニの近くまで迫っていた。

 ごちゃごちゃ考えてる場合ではないようだ。

 

「能力(スキル) 掃除屋」


カタナに風を纏わせもともと付けていた炎をさらに激しく燃やす。

 そして走って近づき思いっきり横に斬る。

 マニは私のしたいことに気がついたのか大きく上に飛んで炎を避ける。

 彼はそれをすんでのところで槌でガードしたようだ。

 

「そっかぁ……。君はぁお荷物なわけではぁないんだねぇ……」


さらにゆっくり喋る。

 その喋り方は彼のすばしっこい戦闘スタイルとは真逆で混乱してくるまである。

 迫りくる槌をカタナで弾く。そのまま斬りかかるが、それを防がれる。

 大きな音を立てて爆発するがそれも大したダメージを与えられなかった。


「神託(スキル) 神代之聖風(エンジェル・リーフ)」


風の斬撃が彼を中心に飛び散る。

 鞭を取り出して炎をつけその風を掻き消す。


「そのぉ鞭はぁ……」


カタナを鞘に戻して両手に鞭を持つ。

 それを見た彼は若干驚いたような顔をしているがすぐに戦闘に戻る。

 鞭を思いっきり振る。

 癖なのか槌でガードしようとするが鞭が絡みついて動きが止まる。


「煩わしいなぁ……」


そう呟くと手を離した。

 私は驚いたが彼を殺すなら丸腰になった今しかない。

 マニが水をまとったカタナを思いっきり振るう。


「無策でぇ武器をぉ手放すわけがぁないよねぇ……」


手元には武器が創製されていた。

 そして鞭が掴んでいた槌は消えた。

 慣れない鞭をこのまま使い続けるのは無謀というものだ。

 初陣の鞭ではなくスタメンのカタナで行こう。

 スキルで亜空間を創り出しそこに鞭を投げ入れる。

 カタナを取り出し呼吸を整える。


「能力(スキル) 料理屋」


ナイフを創製しそれを適当に投げる。

 そんなのが当たるわけもなく、すべて風で吹き飛ばされる。


「能力(スキル) 絢爛水舞!」


水の武器を創製してそれを放つ。

 すべて槌で叩き割られる。

 そのまま飛んでマニに槌を落とそうとするが、私がその無防備な足を狙って炎の攻撃を仕掛ける。

 掠ったくらいだったが、攻撃をそらすことはできたようだ。


「痛いなぁ……」


ドスの効いた声が辺りの森に木霊する。


「みんなしてぇ、寄って集って僕に刃を向けるんだぁ」


バンッと弾ける音がして風の分厚い斬撃が波紋のように広がる。

 自分でも驚くほど冷静に「能力(スキル) 掃除屋」を起動して風の爆発を起こしてその波紋に穴を開けた。

 そして、その爆発のあと隙を狩るようにカタナを振るう。

 人の体を斬ったときの変な感覚を感じる。

 刃先は彼の左腕を切り落としていた。


「痛ぃ゙……」


血が噴き出して地面が色付く。

 私は反撃を警戒して離れる。


「神託(スキル) 神之黎風(ゴッド・リーフ)!!」


神と言うには黎(くろ)すぎる、悪魔のような風だ。

 5個の斬撃が私に向かって放たれる。

 私は急いで逃げるが、それらは追尾するようだ。


「能力(スキル) 掃除屋」


5つの風の残滓を放る。

 それらはそれぞれにくっつき、爆発して消す。

 私は木々の合間を縫うように走って近づく。

 その時、マニが後ろから彼に抱きつく。

 いや、首にカタナを刺している。

 それは暗殺者と言うにふさわしい。

 私は彼にとどめを刺すように体を燃やす。

 何とか勝てた、と脱力しそうになるが、早く拠点に戻って私たちの血の匂いを隠さなければならない。


「帰ろう……」

「うん」


マニもだいぶ疲弊しているようだ。

 落ちている槌を広い、仕舞う。

 これは戦利品だ。

 これがいつか役立つ日は来るだろうし。

 少しずつ歩を進める。

 重い足を引きずって、マニを背負って。


「あれ? 君たちどうしたの!?」


その声に警戒するが、姿を確認して安心する。 


「イオアンさん……」


私たちに近づいてその血の匂いを感じたのか、


「能力(スキル) 神の恵み」


私たちに付着した血と、いつの間にか負っていた怪我が治った。

 熱中していて気が付かなかった。


「ごめんね、遅れちゃった」


その声で安心する。

 張り詰めていた空気が、心が解けていく。




カッと光り、雷鳴が轟く。

 それを悠々と避け、


「信託(スキル) 闇朧(ダーク・ミラージ)」


バフッと黒霧が立ち込め、視界を覆う。

 呆然と戦いの行く末を見ていた男性は慌てて範囲外に逃げてそのまま拠点に駆けていく。

 その状況を冷静に把握したラミエルは次の攻撃の場所を予測する。

 的確にバッと雷が落ちて敵の腕に着弾する。


「神託(スキル) 多影殺槍(シレオ・モルティス)」


二つ持ちの能力者らしい。

 それに驚きつつも、表情は変えずに戦闘を続行する。

 剣に闇を纏わせて刀身が完全に見えなくなった。

 そのまま身まで消す。

 雷を破裂させて明るくするが、光を吸い込むのかどこにいるのか全くわからない。

 

「ちっ……」


大きな音で舌打ちをしてもっと高い位置で静止し、闇を抜けて広く流された闇の範囲を確認する。

 上から降る殺意の斬撃を弾く。

 すんでのところだった。

 反応がもう少し遅ければ串刺しだっただろう。

 体勢を崩したところに両刃剣を刺す。

 だが、クルッと回転して最低限の傷で抑えられた。 

 

「能力(スキル) 電操剣撃(イラ・フルグリス)」


雷を彼女の体に流す。

 少し呻いだが、耐性を持つ服を着ているらしい。

 闇が傷口を飲み込んで塞ぐ。

 彼女の瞳が黎(くろ)く染まる。

 武器の形が変わる。

 長く、洗練された両手剣に。


「神託(スキル) 多影殺槍(シレオ・モ ルティス)」


槍がラミエルに向けて一斉に照射される。

 ラミエルはそのスキルの合間を縫うように飛翔して距離を詰める。

 もう技の種は割れている。

 彼女は闇になって、霞んで消えているようだが、確かに存在する。

 注意してそこにいる、と思うと感覚で追いかけられる。

 

「死ね」


ぐっと拳を握ると彼女に強い電撃が走る。

 だが、相討ちの槍がラミエルの背中に深く刺さる。

 ふらふらと落ちてなんとか木に寄りかかる。


「撤退」


彼女の気配が一切なくなる。

 とどめを刺せなかったが、それはお互い様だ。

 とんでもない強敵であった。

 少し時間を置くと闇が晴れて月が雲の隙間から覗いた。

 

「とんでもねぇ、女だわ……」


立ち上がって拠点に向かって歩き始めるのだった。




アタッカー 多影殺槍(シレオ・モルティス)


ある女性のスキル。

 槍を基本とした攻撃を闇で創製する。

 根からの暗殺者である彼女は多くの命を奪った。

 染み付いた人を殺す術がただ純粋に槍を尖らせた。

 悪は誰かにとっての善である。

 "だから私は何も悪くない"と単純に信じ続けていた。




アタッカー 電操剣撃(イラ・フルグリス)


ラミエルが使うスキル。

 雷を手足のごとく操り、彼が扱う特殊武器と相性がとてもいい。

 彼が雷と出会い、そして呪われた副産物である。

 彼の強さの根源であるこの能力(スキル)は皮肉であったのだろう。彼は強い。




雷鳴ノ両刃剣


 槍の上と下に刃がついたような、状況対応力がとてもいい武器。

 だが単調な攻撃になりやすく、見破られてしまえばとても不利になる初見殺しのような使い方をされることが多い武器種。

 だが、不規則な爆発を繰り返す雷と相性が良く、古い両刃剣には大抵雷の紋様が掘られている。

 



ヒール 神の恵み


イオアンの持つヒーリング系の能力。

 命のある限り、すべての破損、怪我を治す。

 完全治癒と言われる権能である。

 だが、相手の体を治せる以上、破壊もできる。再生と破壊は同じなのだ。




闇黒ノ罪槌(ダーク・マレット)


ある青年の得物。

 いつ作られたのかわからない。

 投擲した際に手元に新たに創成されるという性能を持つ。

 闇に飲まれたその武器は元来、星の武器であった。

 星とは何たるかという尽きぬ疑問に立ち向かった。

 それは結局闇黒であろうと辿り着く。

 なぜなら飲み込まれたのだから。飲み込まれるのだから。

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

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