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掃除のスキルで世界無双!? ~雑用スキルで最強になっちゃった~  作者: わらうクジラ
第一章 ヴェラ戦争
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☆反撃・2☆

竜の死体はちゃっかりもらう。

 誰も文句を言わないのはこれを晩御飯にするとでもおもっているのだろうか。

 まあなら仕方がない。

 この場で適当に肉塊にしていかにも下処理のように振る舞う。

 骨は適当に取り外しておいておく。

 袋に竜肉をぶっこみ、醤油、お酒、にんにく、香草を加える。

 よく揉み込めば下味は完成だ。

 これでこの竜の死体を盗めるというわけである。

 ここまできれいな竜の鱗ともなればいい装備ができる。


「よし、進むぞ!」


三叉の聖槍はとても美しく、血を全く帯びていない。

 その高潔な様に惚れ惚れしそうである。

 



 山を越え、大した出来事はなく50数名の部隊がバレずに進む。

 そのまま目的のハイド大森林に着く。

 恒例の土掘りをして地下に隠れをつくる。


「作戦の調子はとてもいい」


イオアンがいつになく真面目にそうつぶやいた。


「うまくいきすぎて怖いまである」


マニが自慢げにそう言った。

 まったくもってそのとおりである。


「罠だな」


アリエルが真面目な声でそう呟いた。

 他の人達も重々しく頷く。

 危なくマニに首肯するところだった。

 あくまでも罠だと思っていますよ、の体(てい)でいなければならないのだ。

 すまないな、私は君をかばうことはできないようだ。

 そう、心の内でつぶやいてさっさと料理に戻る。

 まぁ、処理は終わっているから焼くだけなのだが。

 すぐに部屋中にいい匂いが充満する。

 その匂いにつられて何人かが群がり味見と称していつの間にか肉が消えていく。

 そうして日が暮れ出発の時間も近づいてきた。




首都に近づいてきた。その名もメーナである。

 首都のメーナでは預言者が住み、預言に基づき市民は生活する。

 メーナは私たちの拠点から北西方向に位置する。

 国交はほぼ行わないため、独自の文化やアイテムがある。

 旅行に訪れる人も少ない。

 そして密入国者である私たちは今から大きな山場を迎えることになる。

 それは首都への侵入だ。

 1つ目は入り口にある一つの扉には自国民や貴族であろうともみな平等に保安検査の対象となる。

 そして、首都の周りにある堀。

 堀に落ちると爆弾が破裂し、殺される。

 国王が言っていた作戦は諜報員を利用したものである。

 が、そんな作戦をあんな場所で公言するのはやはり頭が足りないと思う。

 そうやって首都から十数キロ離れた森の中で色々考えていると。

 一人の首が飛んだ。

 それは唖然とする速度と正確さである。

 返しのついた直剣といった感じの見た目だ。

 真ん中の刃の先は尖っていてそこからは刺々がついている。

 そして左右の刃は突き刺すことを意識した鋭い針のようになっている。鍔すら人を刺せるようだ。

 力を失った身体はゆっくりと倒れると同時に爆発する。

 森に大きなギャップができる。

 顔が全く見えない。暗殺者という戦闘スタイルがよく染み付いている。

 きっと、この国の最高レベルの武具だ。

 無謀に手を出した一人の男はあっという間に灼き溶かされてしまった。

 おそらく先から炎を出す火炎放射の機能も持つのだろう。

 そして次に向かったのは大きな武器を持った男だ。

 その重撃を直剣で受ける。

 スレンダーなその体型でその一撃を受けるのは驚きだったらしく、慌てて引いている。

 それに向かってその武器を投げた。

 どうしたのだろうか。

 避けるがその武器は追従するようにその動きについていく。

 今ここに居るのは10人の一部の部隊だ。

 イオアンは居ないが、ラミエルさんが居る。

 さらにはマニも居る。

 追従する武器を何とか払い落とし、睨んでいる。

 

「どうしたのかな?」


ラミエルが声を出す。

 パチパチと白電が体表で弾けているが全く気がついてないようだ。


「しゃべれないお人形さんなら用はないんだけど」

「あら。アタシに言ってたのかしら」


その声はとても可愛らしい。


「喋れたのか」


ラミエルが不敵な笑みを浮かべる。


「あなたはなぜ単騎できたのかな?」

「答える義理はないわ」


がっかりしたようにラミエルは両刃剣を取り出す。


「ぼくを舐めているのかな?」


やれやれと言うようにその質問を無視する。

 空気が緊迫する。

 その剣を掲げると落雷し、それを纏う。

 そして雷の速度で彼女に接近してその刃を向ける。

 だが美しくその攻撃を避けている。

 そのまま炎を剣先から吐き出し、反撃を加える。

 そんな見え透いた攻撃など食らわないとでも言うように軽々と避ける。

 腹を狙って突き刺すがそれも避けるラミエル。


「能力(スキル) 電操剣撃(イラ・フルグリス)」


彼女に向かって大量の雷が落ちる。

 

「神託(スキル) 多影殺槍(シレオ・モルティス)」


その雷を一気に無力化する。

 しかも槍をラミエルに向かって放つ。

 明らかに私たちは邪魔だ。

 マニを連れて急いで北東に向かって走る。

 

「ふぁあぁ。何で言わなかったのかなぁ……」


大きなあくびを一つして私の前に一人の男が降りてきた。

 そのまったりとした彼には似つかわしくない大きな槌を持っている。

 

「へぇ……。君は雑用系のスキルなんだねぇ……」


どくッと、心臓が痛む。

 明らかな強者である彼に勝てるか。

 私は命を奪う側に回れるのか。


「まぁどーでもいーけどねぇ……」


ゆったりとした動きからいきなり槌を振り下ろしてきた。

 転がって避ける。

 カタナを持ち出して炎をエンチャントする。


「料理屋発動(スキルオン)」


炎を撒き散らす。

 彼の持っている槌は大きく、美しい装飾がなされている。

 黒を基調とした闇に呑まれるようなその槌はとても見づらい。

 私の鼓動を感じる。

 勝って、生きて帰る。

 そう決めた。




深淵之長槍


ある女性の得物。

 闇に紛れるようなその長槍は赤い宝石が埋められている。

 炎を操る聖槍であった。

 神器であったそれは預言者に与えられる。

 神の預言から希望を見出した彼らの祖先はいつの間にかそれに溺れた。

 信じるのは己だけだ。




料理


ある日現れた魔素という存在で動植物は大きな変化を遂げたそう。だが、多くの植物は味覚的な変化はなく、古来からの食べ方で食べることができる。

 動物はどんどん魔物に入れ替わっていき、今ではその影を見ることもできない。過ちを感じ、古来の世界と通じる術になっているのだ。

 それはとても人間らしいと言える。過去の人は望んでいない姿であるだろうが。

2024年最後ですね。良いお年を!


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