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掃除のスキルで世界無双!? ~雑用スキルで最強になっちゃった~  作者: わらうクジラ
第一章 ヴェラ戦争
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☆招集☆

私に招集が入った。

 それは、戦争への駆り出しといったところだろうか。

 なぜ私に、と思ったら思い当たる節があった。

 それはマーサ家の関係である。

 妹の出戦は許さないが、私ならと許可したのかもしれない。

 ずっと手入れをしてきたこの直剣で戦闘へと向かうらしい。

 そして、その場所はノースの少し南にある、ヤラッタという町である。

 ヤラッタにいる兵士の回復のために迎えとのことである。

 つまり戦闘の必要はないそうだ。

 

「了解しました」


私はそう言って、礼をしてから部屋から出る。




外で待ってもらっていた4人に理由を話し、早速出発することにした。

 今日はマルの日らしく、マルに跨って草原を駆け抜ける。

 出る直前まで揉めた末の結論らしい。

 マルが意外と頭脳派だった。

 2人を言いくるめて私の足になる権利を入手したらしい。

 負担じゃないのか、と思ったがもう良いやと諦めることにした。


「この辺のはずだよ」


一歩先を走っていたマラがそういった。

 私はマルに感謝を伝える。

 軍隊の防空壕はこの辺にあると聞いたのだが。


「木が幾本(いくつ)も折れてるよ」


地面も多くの足跡が残り、水分を含んだ土地だ。

 もしかすると、戦闘の後だからなのかもしれないが。

 そう思ったら鉄臭い気もしていた。


「んー、この土、オリと似た感じするね」


マリが土を触ってそういった。

 やっぱりそうか、と一人で納得した。

 おそらく『いもうと』、マニューバのものであろう。


「この匂い、追える?」


私はいつかのバッグを取り出す。

 これは元来、マニューバのものだ。

 それが、どういう訳だかは分らないが、私の手元に来たのだ。

 まあ、右往左往はしてたのだろうが。


「了解!」


マラはその匂いを辿って迷わずに進んでいく。

 何の目印のない森ではあるが、大きな広場に出た。

 風が私に向かって吹く。

 顔をしかめたくなるほどの臭さだ。

 少したった血は木にべっとりとつき、遺体は不自然なほどに一つもない。

 燃えたのか、土が土器のように硬くなっている。

 中央に進むほどに地面の状況が悪くなっているのを体感する。

 匂いがきつくなって、鼻をつまみたくなる。

 少し土が盛り上がっているのを見つけた。


「ここっぽいね」


周りに気を使ってみると、かすかに人の気配がする。

 地面を手で払って、土をどかすと少しの隙間を見つけた。


「引くっぽいよ」


その声に驚いて顔を上げるとぶつかりそうな距離にマニューバは居た。


「え、マニューバ?」


そう言うと少し顔をしかめて、


「その呼び方嫌だ」 


と言った。私が戸惑っていると、


「マニで良いよ」


つまりそれは立場が対等であるということである。

 この前まで毛嫌いされていたのにどういう風の吹き回しだろうか。


「マニ……、はどうしてここに?」

「そりゃ駆り出されたからでしょ」


思ってたのと違った。

 マニ、の代わりに出されたわけではなかったらしい。


「スキルナイツだからね」


その理由に驚く。


「あれ、ギルドじゃないの?」


それにあぁ、と納得したあとに


「掛け持ちだよ。あくまでも駒だからね」


駒。その言葉に妙にしっくりきた。

 私は駒にすらなり得なかったそうだ。


「こんなところにいる場合じゃないでしょ? 入ろう」


マニは少し下がってから扉の上の土を払う。

 すると隠れた機器が出てきてそれに触れると扉が開いた。


「来てよ」


私がびっくりしていると、マニはその穴の中に飛び込んだ。

 中は薄暗く、はしご式なのか、階段なのかはよくわからなかった。

 とりあえず、足を下ろして飛び降りてみる。

 スキルで多少暗くても地面の位置くらいは把握できる。

 私が降りると同時に扉から四人もついてくる。

 ギィ、と扉は閉まり、完全に暗くなった。

 壁の感覚を頼りに少しずつ前に進んでいく。だが、


「遅い」


マニは私の手を取ってもっと早く先に進んでいく。

 導かれるまま歩いていくと大きな広間に着いた。


「バスの仕事は?」


そう言われてハッとする。

 急いで魔力感知を最大範囲に切り替えてけが人を探す。


「掃除屋(スキル)発動(オン)」


怪我を覆いかぶせるように皮膚が復活する。

 それはこの空間にいた皆に効果を発揮した。


「ん……」


何人かが早速意識を取り戻したらしい。


「起きたぞ!」


隊長の声で歓声が起こる。

 が、その瞬間(とき)、嫌な音が部屋を包んでく。

 敵軍が来るらしい。


「落ち着いて聞け! 戦意のあるものはここを出て争いの準備をしろ!!」


仲間の復活に士気の上がりを感じる。


「負けても良い、死ぬな!!」

「「「おぉぉ!!」」」


各々の武器を手に持って、出口に向かう。


「君が、オリヴィアかな?」


その声で振り返る。


「僕が隊長のラセンだよ。君に少し話があるんだ」


そこから5分ほどいろいろなことを伝えて会話から脱却する。


「バス姉は来るの?」

「……うん。行かないわけないよね!」


私は腰の直剣をなぞる。


「出るよ」


マニは先に外に出ていく。

 私も追おうとした瞬間、


「君が、連れてきたわけではないのか?」


私の肩を押さえてある兵隊がそういった。

 そうか、信用なんかあるわけがなかった。


「何してんの?」


マニが私を睨む。萎縮させるような冷たい視線だ。


「──すみません、失言でした」


が、それが向けられていたのは私じゃないらしい。

 

「あんた遅い」


さっきよりも強く私を引っ張る。

 よろけるようにマニについていく。

 跳ぶように通路を駆け抜けて、そのままはしごを使わずに外に出ていく。

 外に出た途端、マニが腰の鞘からカタナを抜く。

 刃はよく研がれて、血の跡は残っていない。

 その武器は私のカタナにそっくりであった。

 違う点は先が両刃であるという点だ。

 美しく湾曲した刀身。芸術のような鍔。持ちやすく、リーチを持った柄。

 その凛とした後ろ姿には明確な殺意を感じた。

 刹那、振り返るような所作で刃は私に迫っていた。

 私は右の腰についた鞘から直剣を取り出して弾く。

 そのまま鞘にしまってカタナを抜く。

 カタナで二分された視界にマニの顔が見える。


「行くよ」 


そう呟いたマニは浅く息を吐き、カタナを下から斬り上げる。

 私はそれを後ろに回って避けてマニの動きを補足する。

 今までのどの戦闘よりも模擬戦っぽく、だが、躊躇のかけらもない。

 あるのは研ぎ澄まされた殺意と、重く暗い空気。


「来ないの?」


マニはヤる気だ。

 私はもう戦うしかないらしい。

 峰を人差し指でなぞってエンチャント、炎をつける。

 地面を強く蹴ってマニの眼前で2回交差で斬る。

 ぼうっと爆発して空気が熱くなる。

 肺に入る空気で火傷しそうだ。

 そのまま炎の中に入って差し翳す。

 一歩下がっていたマニがカタナで防ごうとするが、そのままカタナは吹き飛ぶ。

 火を消して肩に添える。


「……ガチりすぎ。ちょっとやっただけじゃん」


その言葉で納刀する。

 マニは地面に刺さったカタナを取って言った。


「強いね、あの時よりも」

「マニこそ」


拍手が巻き起こった。

 私は握手を誘って密かに聞く。


「マニ、なんで手を離したの?」

「ん、なんのことかな?」


ニヤッと笑った彼女はなかなかの策士なようだ。

 副隊長になるくらいの化け物には敵わない。


「ほら、準備するよ〜!」


マニは要るのかよくわからない動きをしながら納刀して言った。

 びゅんびゅん言っていてかっこいい。

 後で聞こうと思った。




後日談とはなるのだが、私がラセンと話している間にマラたち四人と画策していたらしい。

 言われてみればなぜか四人は戦闘に入ってこなかったが、そういうことかと納得したのだ。




魔力感知


魔力というこの世界のすべての動植物が持つチカラを感知する能力。

 スキルの影響はなく、訓練次第で誰でも獲得可能。

 スキルナイツに所属するなら必須能力であり、魔物は大抵保持している。

 これの発展進化が『魔力探知』となり、自分のスキルを遠距離操作が可能となる。

 怪我の場所を特定できたりするため痛みつけることも可能。



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