七話【魔法2】
その夜、俺はまた屋上に来て魔法について考えていた
昨日はただ魔法を発動するだけだった
見えない壁を出したり、火の球を浮かべたり…だ
そこで今日は水を出してソレを武器の形に変形させたり圧縮して打ち出したりできるか…それをやってみようと思う
イメージは昼間、…いや、今までずっとしてきた
中二病ではないが魔法には憧れていたのだ
まずは火球を出して明るくする
そして
『水球』
水球を作り出す
「さて、ここからが本番だ…『変形』」
すると一瞬、変化を感じた
これはいけると思い、イメージをする
まずは王道、わかりやすくイメージしやすいショートソードだ
イメージ通りに水球がぐにゃりと変形していく
感覚としては、粘土をこねるかのような、そんな感じだ
…かと言って、技術が必要なわけでもなく、本当に意のままに操ることができる
そしてちゃんと形が整い安心した次の瞬間、水でできた剣はバシャッと崩れ落ちた
…やっぱ、イメージし続ける事が必要なのだろうか
そこであまり時間がないことを思い出し、
…別にないわけではないが、あまり長くやると明日に響くからだ…
すぐにまた新たな水球を作り出す
今度は圧縮して打ち出すのをやってみたい
それを試すべく
『圧縮』
…発音合ってるっけ…?
そんな疑問は杞憂だったようですぐに変化を感じた
見ると、元は50センチくらいあった水球がおおよそ3分の1になっていた
丁度手頃なものがなかったので、校舎の壁に放つ
『射出』
暗いせいかあまり良く見えなかったので近づいてみると、5ミリほどの穴があいていた
…成功だ、これならイメージは一瞬だし、威力も銃を上回るだろう
それに音は…聞こえこそするものの、水鉄砲くらいの音でしかない
ふと、無詠唱はできるのか。そう思いやってみることにする
目の前に火の玉が現れるイメージをする
…何もおきなかった
無詠唱は無理なのか…なら詠唱省略は?
『あ』
火の玉のイメージとともに言ってみると…
一瞬、生成されかけたが、途中で霧散した
やはり、イメージなのだろうか
言葉はイメージを補うことができるしな
たとえばただボールを蹴る遊びをイメージするより
サッカー、と一言言えばすぐに何か理解できる
そんな感じか
そしてそろそろ寝るかと教室に戻ろうとしたとき思い出した
…忘れていた、魔法の発動に必要と思われる魔力の発生源だ
確認方法は昼間、考えてある
その方法は至って簡単
ひたすらに魔法を放ち続けることだ
そしたら自分から発生しているのか
周りから…空気中から発生しているのかがわかる
それから数十分魔法を使い続けた
最初は水球を放ち続けていたが、流石に飽きるので途中からアイテムの作成に入った
鉄でナイフを作ってみたり、剣を作ってみたり
やってるうちにだんだんイメージがしやすくなり、最終的には気に入ったものだけを残して、出来が悪かったものは魔力に戻した
一応、魔力は自分から出ているわけじゃあないみたいだ
だが、今の検証の限りじゃあよほどのことがない限り魔力切れも起こらないだろう
その結果に満足し、作ったものを服の内側に入れてから…もちろん剣などは無理なので魔力に戻した…俺は教室に戻ることにした