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*もうちょっとだけ あとがき*

全十話。三万字ほどの短い話のなかに、思いの丈はすべて込めました。


iVoiseは、書き手の方々にこそ捧げたい物語。


仕事ではなく、ただ生活の一部として文章をつむぎつづけてきた、私の心と想いを託した作品です。




『障がい』という重いテーマを、こんなにも軽くあつかってしまっていいのかと悩んだこともあります。


けれど、こうして書ききったのは、障がい者を軽視しているわけでは決してなく、――『意識されないことに救われることもある』と信じたから。



主人公・秋葉音波という少年は、ひたすら無神経に描いています。


音波は、軽度の共感覚者。日常生活に支障はないため、本人も自覚していません。

どんな刺激も音と共に知覚する。音波にとっては『音』がすべてで、その他のものへの興味関心は薄いのです。


他者を慮ることをしらず、常に遠慮なく踏み荒らしにいく。それでうまくいくときもあれば、深く傷つけてしまうときもある――。


彼が導き出したのは、非常にリスキーな特殊解。唯一絶対の正答なんて存在しないにしても、あまり褒められた方向性ではないのはたしかです。


それでも、音波には選ばせたかった。




iVoiseを書くにあたって、手の届く範囲で共感覚や難聴について調べました。


しかし、専門知識には遠くおよびません。

きっと誤まりもあることでしょう。あえて厳密に書かなかった部分もあります。


症状には個人差が大きく、原因も解明されていない世界。



――それでも、描きたかった。



彼らが『音』に託す想いは、私たちが『作品』に託す心。


あるがままに自分らしく。ただそれだけのことが、どうしてだか難しい。


ひとりよがりでいいじゃないか。

自分勝手でいいじゃないか。


きみは自分きみ作品せかいでまで自分きみを殺して、いったいどこで生きるつもりだ?


――と。

叫んでみたく、なったのです。




誰に届かなくてもいい。


それでも、気づいて欲しかった。


傷ついても、苦しんでも、書く(うたう)ことをあきらめられない。


おれおれでいたい。



上手に綴る(さえずる)ことを覚えても、褒められるだけじゃ満たされない。


思うがままに吠えた、荒っぽい叫び声が、誰か一人の心を動かしたなら。


それだけで、満たされる。




さいごに、こんな蛇足じみた「あとがき」さえも読みとおしてくれた、探求者に尋ねたい。


――私の『叫び』は、届きましたか?


2014.04.20 本宮愁

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