53話、しゅわしゅわ3畳ジャグジーと、テラスの贅沢な夜。
ーー夜七時、お蕎麦屋さんの内風呂エリア。
お座敷風呂のさらに奥に、松千代が液晶パネルをポチポチしたことで、新しくて綺麗な3畳の特製風呂が出現した。
液晶パネル:【20,000PT消費:内風呂の奥に『3畳の特大しゅわしゅわジャグジー風呂】を増設しました。
ーーピピッ♪ と心地よい音が響き、湯船の底から、現代のハイテク技術による真っ白な泡がブクブク、シュワシュワと勢いよく湧き出し始める。
松千代「おはちゅ! できたよぉ! しゅわしゅわの、あわあわのお風呂なのぉ! いっしょに入ろぅ!」
お初「わああ、松千代様! お湯の底から不思議な泡が綺麗に湧き出ています! 失礼して、ザブーン……きゃあ! 泡が身体にポコポコ当たって、すっごく気持ちいいです!」
松千代「あはは、くすぐったいねぇ! ぷかぷか〜(黄色いアヒルちゃんを3個浮かべて、お初と二人でニコニコ笑い合う)」
ーーそこへ、のれんをくぐってお母様とお姉ちゃんの鈴がやってくる。
お艶「まぁまぁ、松千代にお初。奥にまた新しいお湯を作ったのね。どれ、私たちも失礼して、ザブーーーン……」
鈴「きゃーーーっ! お母様、このお風呂、お湯がぶくぶく生きているみたい、触るとお肌がパチパチして、すっごく楽しい!」
お艶「あら本当ねぇ。お座敷風呂も心地よかったですけど、この『じゃぐしー』というお湯は、全身を優しく揉まれているようで、肩の凝りが一瞬で吹き飛んでしまいますわ。港湾貿易の疲れが、綺麗に溶けていくようですわねぇ」
お初「はいお方様! 湯気もなんだかいつもよりモチモチしていて、お肌がツルツルになります!」
松千代「えへへ、おかあたん、鈴ねぇね、おはちゅ! みんなでお顔がおリンゴみたいに赤くて、可愛いねぇ!」
お艶「ふふ、松千代のおかげで、我が家の女子はみんな日ノ本一幸せ者ですわ。ありがとうねぇ(松千代の体を優しく抱きしめる)」
ーーその頃、壁を隔てた外の青空テラス席。
頼重「がははは! お館様、信長殿、家康殿! 今夜も貿易の稼ぎ(現ナマ)は最高記録にございましたな! 乾杯ーーーっ!!」
信玄「(全盛期の逞しい腕でジョッキを掲げ)おう! 乾杯じゃ! ーー(ゴク、ゴク、ゴク……プハァァァァーーーッ!!!)」
織田信長「(浴衣姿で顔を真っ赤にし、髭に生ビールの白い泡をつけながら)ふははは! 毎日汗を流してトマトを売り捌いたあとの、この『なまびーる』と『えだまめ』のコンボは、天下布武などという虚しい夢より一兆倍の価値があるわ!」
徳川家康「(お豆をぷちぷち口に放り込みながら)信長殿、素直でよろしいべ! 拙者の持ってきた三河の八丁味噌を、焼き鳥にちょんとつけてみろべ、美味さがさらにループするべぇ!」
柴田勝家「(横で給仕をしながら)信長様、明日の出航に向けて、すでに夏野菜の木箱は船に積み込み終わっておりますぞ!」
羽柴秀吉「がはは! 明日も京の公家どもから千両箱を毟り取って参りましょう!」
頼重「(骨抜きになって長椅子に背中を預けながら)本当に極楽じゃ……。松千代のちえのおかげで、戦国三大学大名が我が領地で笑顔でビールを飲んでおるわ……」
内風呂からは、松千代たちの「あはは、くすぐったいよぉ!」という可愛い笑い声ときゅ〜♪というアヒルの鳴き声が聞こえ。
外のテラス席からは、戦国を終わらせた男たちの「プハァーッ! 枝豆もう一皿!」という賑やかな声が夜風に乗って響き渡る。
南信濃の深い山奥。松千代のちっちゃな手から始まった『湯そば庵』は、誰も手出しできない絶対的な富と平和、そして最高の笑顔で、今夜も優しく包まれるのでした。




