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序章 安寧
なんと3年ぶりの投稿です。
バスの車内は非常に涼しかった。バスに乗る前の体に纏わりついてくるような、不快な蒸し暑さを取り払うには十分すぎる温度だと言えるだろう。
「ねえ、レン。本当にこんなところに有名な滝があるの?」
「ああ。俺に間違いはない。シズもそんなくだらないウソをつく人間じゃないってわかってるだろう?」
一つ問題があるとすれば、大学生らしきカップルが熱々なことか。しかも発言から察するに目的地も同じみたいだし……。
ただ嫉妬しているとか、そういうわけではない。そんなことを言うなら俺だって大学生の頃は彼女がいたし、俺みたいに別れることなくずっと幸せでいてほしいと思っている。
心配しているのは、俺が眠れるのかということだ。俺とそのカップルしかバスに乗っていないということもあるのか、声がなかなかに大きく、どうも安眠できるとは思えなかった。
だが眠気の方も既に限界で、俺は物は試しと目をゆっくりと閉じてみた……。




