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タルパ

 前々回から引き続き、「本物の霊能力者」として紹介している彼女に、某掲示板で噂されている怪談を話したら、どんな感想をもらえたかという話を紹介する。

 今回は、「タルパ」という噂についての感想をもらった。


 タルパというのは、チベット密教の秘奥義と言われているもので、人工的に霊を作り出す方法のことであり、そして作り出された存在の呼び名でもある。

 やり方を簡単に説明すると、まず作り出す霊について、姿だけでなく性格といった内面的なものも含めて詳しく想像する。

 次に、それが目の前にいるかのように、現実と重ねて想像する。

 想像したものが、あたかもそこに実在しているかのように感じられたら、今度は会話をしていく。この際、初めに作った性格などから、どういったことを向こうが喋るか想像するといい。

 そうしたことを繰り返していると、次第に自分が意識して喋らせなくても、勝手に向こうから喋ってくれるようになる。

 ここまでいけば完成といった形で、無から霊=タルパを作り出せたということだ。


 某掲示板でタルパの噂が出た時、実際にタルパを作り出そうと多くの人が挑戦して、成功したという報告もたくさんあった。

 中には人型のタルパを作って恋人や友人にしたという報告や、動物やドラゴンのような姿のタルパを作り出したという報告もある。

 タルパを作り出すコツや、応用して様々なことをさせる方法など、それぞれが情報を交換し合い、それらはまとめサイトのようなところでまとめられている。

 詳しいやり方や成功例などは、そちらを見てもらいたい。


 このタルパについて、先に私の感想を言っておくと、単なる妄想じゃないかと疑っている。

 こうした考えは他の人も持っているようで、それこそ子供がするお人形さん遊びの延長というか、存在しないものを存在しているかのように妄想しているだけだと考える人は一定数いる。

 実際のところ、タルパは疑念などを持っていると作り出せないそうで、妄信といえるほど信じた時に作り出せるもののようだ。

 また、基本的にタルパは作り出した本人にしか認識できないようで、第三者がその存在を確認することはできない。なので、それが単なる妄想かどうか、他者が判断することもできないのだ。


 とはいえ、霊能力者である彼女なら別の見解を持つんじゃないかと期待して、今回タルパについて話してみた。

 すると、期待以上の感想をもらえた。


 まず、彼女はタルパという言葉について初めて聞いたとしつつ、同じこと、あるいは似たようなことをした人はたくさんいるだろうと言い切った。

 そもそもの話として、彼女の見解によると怪異と呼ばれるもののほとんどは、人の念や思いといったものから生み出されている。特に呪術などは、意図的に怪異を生み出そうとする儀式が多く、タルパと似た点が多い。

 呪いには様々な方法があるけど、怪異を生み出して、標的を攻撃させるといった方法を取る時、生み出した怪異に名前を付けることがあるらしい。

 それに彼女は行わないそうだけど、霊能力者の中には自ら生み出した怪異を従え、それを使って除霊を行う者などもいるそうだ。その際、従わせる怪異には、名前を付けている人が多いらしい。

 これらの怪異は、生み出した霊能力者の性格を反映させるのか、様々な姿形をしているそうで、これも自由に姿や性格を決められるというタルパと同じだ。

 もっとも、基本的にこうした怪異を生み出す時は、人形やお守りといった物を用いることが多いようだ。ただ、それはそうした方が想像しやすく楽だからという理由で、別に何もない状態でも同じようにできるとのことだ。


 また、彼女に言わせれば、至る所に人の念や思いといったものが残っていて、それは怪異のなりかけといった形で存在しているそうだ。

 何度か彼女が浄霊してくれているけど、雑話を始めてから私に憑き始めた怪異も、そういった怪異のなりかけだという話は以前紹介した。

 そこに自らの念や思いを追加して、霊を生み出そうと意識した時、元々弱い怪異だったものが変化するのは何ら不思議なことじゃないらしい。

 それだけでなく、無意識のうちに危険な怪異を生み出す可能性もあると、彼女はこんな話を紹介してくれた。


 それは幼い少女の話で、この少女は普段から一人で留守番をすることが多かったそうだ。

 少女は一人で家にいてつまらない時、目の前に他の人には見えない何かが存在しているのを想像して、それと会話をするといった遊びをしていた。それ自体は幼い子供などが時々やることで、特に珍しいものでもない。

 ただ、いつしか何もないはずの空間に、少女の想像した何かが生み出されていった。正確に伝えると、少女の想像を超えた何かが生み出され始めていた。

 しかし、元々友達が少なかった少女は、友達ができたと喜び、その何かとの会話を日常的に続けていたそうだ。

 結果、その何かは危険な怪異になってしまったそうだ。

 そして、彼女は今、その怪異の浄霊をしたいと思っているそうで、私に何か知らないかと質問してきた。


 とりあえず、彼女の話が唐突に終わってしまったので、私は戸惑ってしまった。

 少女が生み出してしまった怪異がどういったもので、どう危険なのか、まったくわからないし、むしろ私の方が彼女の知っていることを聞きたいぐらいだった。でも、彼女は少女のプライベートに触れることになるからと、それ以上話してくれなかった。

 私の方も、それだけじゃ答えようがないということで、話は終わってしまった。


 とはいえ、一応まとめると、彼女の見解として、タルパは十分可能だということ。

 また、時として想定していない怪異を生み出す危険もあるから、遊び半分で何もない空間に怪異が存在しているかのように想像するのは良くないということ。

 かなり簡単にまとめたけど、彼女が言っていたのは、そんなところだった。

 一応、今回で某掲示板に関するネタは最後にしようと思っていたのに、彼女が話を中途半端に終わらせてしまったので、何とも歯切れの悪いものになってしまった。

 でも、時間もそれなりに過ぎていたので、これで彼女とお別れになってしまった。


 ただ、私は思うところがあり、別れ際にある質問をしてみた。


「タルパの話に出てきた『少女』っていうのは、君のことだったのかな?」


 中途半端に話を終わらせたことなど、もしかしたら彼女の実体験だからかと思って、鎌をかけてみた。

 でも、彼女の反応は素っ気ない感じで否定するだけという、何ともわかりづらいものだった。

 私は鎌かけのようなことをよくやるし、それで重要な情報を引き出すことも多い。ただ、彼女は私の鎌かけがどうも効かないようで、いつもわかりづらい反応しか返ってこない。それはまるで、私の思惑を見透かしているかのようだ。


 こういったことも、私が彼女を本物の霊能力者じゃないかと感じている理由の一つになる。

 彼女の年齢についてこれまで触れなかったけど、私より一回り以上、彼女の方が年下だ。

 でも、彼女は年下と思えないほどしっかりしていて、さらには本心といった部分をほとんど見せない、本当に不思議な人だ。

 だから、彼女が本物の霊能力者なら、こういったこともあるだろうと、今のところ納得している形だ。


 さて、三回に分けて、某掲示板の噂を彼女に聞いた感想を紹介してみた。

 色々と腑に落ちないこともありつつ、そんな意見もあるのかと驚かされる部分がたくさんあって、私個人としては聞いて良かったと思えた。

 あくまで一つの意見として受け止めつつ、今後も様々な視点でオカルトライターの仕事をやっていきたいと思う。


 そんな雑話でした。

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