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俺達のパーティーは何かがおかしい  作者: お茶大好きなお茶目さん
このパーティーはおかしい
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鼻血

街に着くまでになんやかんやあったけど、ルッタ君にお金借りたぜ!

リュウの分も俺が管理する事になってるけど、合わせて1,000バリス。


ちなみに、10バリスで飲み物とか屋台の飯とか買えるらしい。

扱いは100円と同じぐらいなんかな?


それは後々考えるとして、歳下の子にお金借りるって…初めての体験で罪悪感が…。


まぁ、仕方ないか…。

それと、話は変わるけど、


「ホンマにこのまま行っていけるんやろか?」


それが心配でたまらへんねんよ。


街から少し離れたぐらい。人が豆粒程に見える所辺りに停車させて俺は考える。


今は車の存在は見えへんと思うけど、いざ向かったらヤバくね?とか思ってたりする。


定番の、怪しい奴が来た!?とか、すわっ!魔物か!?とかさ。

車を差し出せとか言われたら、俺、号泣もんやで。

愛する人と離れ離れになるような感じで叫んでまうで…。


「い、行けますって。何かあったら、僕が何とかしますから」


とは言うものの、ルッタ君も自身無さげ。

確たる根拠はないみたいだ。


「何をグチグチ言っとんねん!そんな時はな、当たって砕たらええやんけ!考えんな!感じろ!」


「砕けてどないすんねん!それに、何を感じたらええねん!」


「知るかボケェ!」


痛っ!八つ当たりで殴んなや!

それに、分からんねんやったら初めから言うなよ!

ったく。リュウは相変わらず平常運転だよ…。


まぁ、リュウの言う通り、当たって砕けてみるか…。



〜〜〜



「………入れた」


当然、門の前で兵士っぽいのに停められたけど、ルッタが何やら兵士っぽいのと会話したら普通に通してくれた。


結果良ければ全て良し…って事にしとこう。


そんな訳で、ルッタの案内の元に街中を進んだ訳だが、色んな住民達の奇異の目に晒されてリュウの虫の居所が悪くなってしまい、遂にはガウガウと吠え始めたりもしたが、ようやく辿り着いたルッタの店の裏手。


そこにある空白の馬車小屋に車を停めて良いそうだ。そして、道中の雑談によって寝泊まり用として空白となってしまった馬小屋を貸してくる事になった。

リュウは文句垂れ流しだったが。


その会話中、やはりルッタは悲しそうな瞳をしていて罪悪感が苛まれたのは、言うまでもないだろう。


車に積んでるルッタの荷物を降ろし、店の中に運ぶのを手伝ってから暫く。


俺はリュウと車内でこれからの事を話し合いを開始しようとしていた。

ちなみに、リュウは働いてもいないのに、ルッタからコップとパンを貰っており、コップにジュースを注いで飲んでいる。


「さて、これからどないするよ?ここで生きてくに当たってさ」


「ん?そんなん決まってるやろ?」


「何よ?」


「敢えて言おう。俺は冒険王になると」


「アホか…」


ガッツポーズをしながらのキメ顔で言うリュウに呆れの溜息しか出てこない。

俺は本気で考えてるってのに…。


「せめて、働くとか言わんのかいな」


「えっ!?俺を養ってくれるって!?」


「誰もそんな事言ってないわ!」


ホンマにもう…はぁ…。


「取り敢えず、働くとこ探そや。そっから、色々決めよ」


「なら、俺は冒険王に「ならへんな!」…ちっ」


なんで俺が舌打ちされなアカンねん!

真面目に考えろよ…。せめて俺の気苦労分かってくれや…。


「真面目な話な「俺は冒険王になる!!」……」


コイツゥ……。

どこまで冒険王目指したいねん!


頭に血が昇ってイラっとした。もしかすると、額に青筋浮かんでるかもしれない。


苛立ちを抑え込み、話を再開させる。


「はぁ…真面目な話やから。これから、ホンマにどないするんよ?」


「しゃーないなぁ」


半端呆れ混じりに答えやがった。


それお前のする事ちゃうからな!俺がする事やからな!

って言いってやりたいけど、ここでツッコミ入れたら話進まんようになってまうのが目に見えてるから、自粛。


「そんなん、異世界ならおきまりのアレやろ!」


アレって…もしかして、アレ?

いやいや、まさかな。


「アレって?」


「え!?分からんの?」


その相手をバカにしたような表情、イラッとくるわ。


堪えろ、俺!堪えるんや!!


「フッフッフッ。それは……冒険者や!!」


「どアホ」


リュウはドヤ顔で言ったけど、俺が反射的に発してしまった言葉がそれだった。

もう、それ以外の言葉なんか見つからなかった。


冒険者と言えば、お決まりの戦闘だ。

魔物と生死を賭けた戦いを行い、勝ち残り、金を得る。

そんな身の危険しか感じない職業だろう。


「なんでやねん!それが一番やんけ!異世界って言ったら冒険者やろうが!」


「お決まりみたいに言うなや!俺はまだ死にたーあらへんわ!」


「ヤバなったらお前囮にして逃げたるから安心せぇい」


「できるかぁ!!」


パシンッとリュウの肩を強く叩いてやった。

痛かったのか、リュウは叩かれた所を撫(さす)っている。

バカには丁度いいお灸だろう。


「…覚えとけよ」


何そのセリフ。後々怖いんやけど!?

つか、俺悪くねぇよな!悪くねぇよな!!


「……はぁ」


心のスイッチを切り替え、何度目か覚えてないけど、話を戻す。


「それで、どないする?」


「何がよ?」


「働き先よ」


「冒険者やって言ったやんけ」


マジかよ…。

冗談じゃなかったんやな……はぁ…。


俺、生きてれるかな…。



〜〜〜



夕暮れ時。

道行く人々に”俺が”話を聞き回り、やってきた冒険者ギルド。


正直なところ、ホンマにあるとは思わんかった…。


三階建ての木造の建物で、造りは海外とかによくあるログハウス的な感じだ。

大きさは学校の体育館が妥当だろう。

出入り口も両開きの扉で、頭の中には母校の学校の体育館しか出てこない。


その隣に隣接しているのは、大きめのガレージを想わせる解体所らしい。出入り口は大っぴらで、内に開く扉が付いている。

本当にガレージのように見える。


それは兎も角、


「赤い屋根、大きな建物。隣に緑の屋根の大きな建物。うん、これやな」


道中で聴いた通りの建物だと言う事を口に出して確認する。


「ホンマに?」


一度も働いてない癖にリュウが怪しんでやがる。俺ばっかりにやらせてから、不安にさせるの止めろや。


「先入って確認してきてや」


「はいはい」


言うと思ってたよ。

まぁ、確認がてら…いや、ちゃうがな。

確信を持って、冒険者ギルドの扉を小さく開いて中を覗き込む。


……まさか、入ってすぐに酒場があるとは思わなかった。

イカツイ人達…ツルピカ坊主頭の人とか、トサカ頭の人とかに睨まれた。


睨まれた…のかな?


ま、まぁ、合ってるのは間違いない。

奥に受付みたいなカウンターもあるし、制服っぽいのを着た受付嬢的な人達もいるし、掲示板的な物もある。


たぶん、合ってる…はず……。


「…うん」


扉を閉めて、リュウの方へと向く。


「うん。合ってるで」


今の俺の顔は引き攣っていると思う。

頑張って笑顔を浮かべてるつもりだけど、頬がピクピクと動くのが感じれる。


「ほんなら、ユウ先行ってな。俺は付いてくわ」


「うぅ…嫌やな…」


拒否したい。全力で拒否したい。

けれど、拒否した所で無理矢理にでも先に行かされるのが目に見えている。

それに、リュウは鼻からそのつもりのようで、『はよ行けや』と目が語っている。


頑張れ!俺!

気張れ!俺!

挫けるな!俺!


心の中で自分を応援しながら、冒険者ギルドの扉を開いて足を踏み入れる。


四方八方から冒険者らしき人達の視線が突き刺さる。今すぐにでも逃げ出したい。

だけど、それをするとリュウは怒るだろう。間違いなく怒るだろう。そして、待ち構えるのは公の場で鼻フックの刑…。


あっ、そっちの方が嫌やな。うん、頑張ろ。


無理矢理にでも笑顔を作って鬱になりそうな気持ちを抑え込み、竦みそうになる足を進めーー。


ーーグキッ


「あひょっ!?」


何もない所で足を挫いてしまい、緊張とかも相まって変な声が出てしまった。


スローモーションで世界が見える。

身体は思考に追いつかず、床が徐々に近付いてくる。


こりゃ、もうアカンな…。


いや、諦めんなよ俺!

ここで諦めたらアカンやん!

笑い者になんかなりたくないやんか!


何とか持ち直そうと足を動かーー。


ーーガツンッ


無理やった…。

間に合わなかったようだ。

それに、足にばかり気を配っていた為に腕で顔を覆うのを忘れていたようで、顔面を床に打ちつけた。


とても、とっても、痛いです…。


「ぶっ!ぶははははっ!ダッセ!!」


お前が笑うんかーい!


「ぶふっ!なんだアイツ!笑いながら転けやがったぞ!」

「ガハハッ!良い転けっぷりだったぜ!」

「クフフッ面白すぎ…クヒヒッ!」


リュウを筆頭に、冒険者の方々からの爆笑を受け取りました。

とても恥ずかしいです。


穴があったら入りたい気分。

つか、恥ずかしすぎて顔を上げれん。


「何しとんねん。早よ立てや」


襟首をグイッと引っ張られるけど、リュウの力じゃ俺は持ち上がらない。服が伸びるだけだ。


「気にする事じゃねぇぞ!ほら、立って顔見せろ!」


「立て!」

「「立て!」」

「「「立て」」」


なぜか、冒険者から「立て」コールが…。

徐々に広がりを見せてる。


なんなん?嫌がらせなん?

俺、今すぐにでも帰りたい…。


あぁ、就職したばかりの弟よ、大学生の妹よ。お兄ちゃんは、絶賛、笑われ者になっておるぞ。

父と母よ。

貴方達の息子は大変笑われておりますぞ。


まぁ、お兄ちゃんと呼ばれた事はないし、父と母も俺が笑われようと気にしない人達だけど。


つか、思い返したら家族全員一緒になって笑う人間じゃん!


俺に味方は居ないのね…。


分かってた。分かってたさ!

でも、悔しいのよっ!!


色々と失望しながら身体を起こすと、鼻から生温かい感覚が…。


「あっ、鼻血…」


鼻を服の裾で拭いたら、指に血が付いてた。


周りは爆笑の嵐。止む気配などない。

いや、それよりも、俺が起き上がると同時に笑いは大きくなり、鼻血が出てから最高潮に達した。


やはり、俺に味方は居なかった。

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