第六十一話 ジャイアントスパイダー
私が思い出に浸りながら歩いていると、周りが明るくなっていることに気づいた。
そこは光苔の群生地と言うべきか、あたり一面は淡い光の絨毯で地面は覆われ、採掘場ではないがちょっとした広場になっている。
「わぁ、すごい!」
思わず感嘆の声を上げる。
そこはまるで、別の世界の夜空の中に飛び込んだみたいだった。
「すごいっちゃ、すごいがな………」
私の耳にか細い、囁くようなシェランさんの声。
そして、ダレフさんとリュトは武器を構えていた。
「こんなところは、光苔のエサになるものがあるからなんだ」
そう言ったシェランさんは、珍しく緊張した面立ちで上の方を気にしている。
私も上の方を見上げるが、暗くて全く何も見えない。
その時、近くでボスンとした鈍い音とともに光苔の光の粉が地面近くで舞っていた。
私はそれを覗きこむ、光苔でそれが何かはすぐにわかった。
同時に私は血の気が引くのを自覚する事になる。
それは、トロッコに乗っていた時、頭にぶつかってきたのと同じような巨大なコウモリだった。
そしてそのコウモリは体が干からびていた。
まるで血を抜かれたように………
「動くんじゃないよ」
シェランさんの声が静かに響く。
私は身動きひとつ出来ないでいたが、目だけは暗闇に慣れてきた。
なぜコウモリが干からびて落ちてきたのか?
それを理解する事になる。
私たちのいる所のちょうど真上、天井に巨大な蜘蛛の化け物がいたからだ。
「ジャイアント……… スパイダー」
天井に張り巡らせられた糸の中にそれはいた。
光苔の淡い光りに当てられ、ボンヤリとその輪郭が浮かんでいる。
そしてそれは音もなく、こっちに巨大な体を向けた。
(動けない!)
それは……… その怪物は、間違いなくこちらを見ている。
複数の眼で私たちの内の誰かをとらえていた。
「来るよ!!」
シェランさんの声と同時に、ジャイアントスパイダーの姿が消えた。
そう思った瞬間、目の前の空間に暗い影があり、それが迫ってくる。
ハッキリ見えるわけではないが、光苔のおかげでその存在がわかる。
そしてそれが跳ねたと思えば、いきなり目の前で飛沫が弾けた。
精霊さんが水球で壁を作ってくれていた。
それにジャイアントスパイダーは突っ込んだのだ。
だけどジャイアントスパイダーの勢いを完全に止めることは出来なかった。
バランスを崩したジャイアントスパイダーの背が私に迫る。
「メテル!!」
リュトの叫び声が聞こえたと同時に衝撃が走る。
瞬時に私は身を小さくかがめ、両手で後頭部を押さえ込んだ。
お尻から地面に落ち、そのまま数回転転がる。
最初の数秒間は痛みでとても息が出来ない、だけどそんなことは言ってられなかった。
「メテル! 大丈夫か!」
リュトが慌てて私の前に立ち、ナイフを構える。
「ケホッ だっ、大丈夫! せっ、精霊さん! 何処!?」
起き上がった私はすぐに違和感を感じた。
頭か肩にいるはずの精霊さんが見当たらない。
私と一緒に弾き飛ばされたのだろう。
光苔の明かりがあるとはいえ、暗い採掘場にいるのだ。
足元から辺りを見渡すが、まるでわからない。
「精霊さん!?」
「メテル! あとだ! 次が来る!」
リュトの叫び声で私はリュトの視線の先を捉える。
ジャイアントスパイダーは手前に2本の腕を高く持ち上げ、その腕を震わせていた。
「威嚇してやがる」
投稿遅れて申し訳ないです。
話の展開が迷子になってきてまして、「これ、話続けて良いのか?」と思うようになってしまってます。
退院はしたけど、身体はキッツイしダリーし、動かすのが面倒くさい………




