第四十八話 北門の道
私がドワーフのダレフさんと、鉱山へ向かう道の上にいた。
この道から西の街道へ抜けれるはずなのだが、まだ街道へは出られそうにない。
道に沿って川が流れ、橋らしきものは見当たらない。
オマケにその川の両岸は、断崖絶壁になっていた。
「おいおい! 姐御!」
後ろから蹄の音と同時に声が聞こえる。
振り向くとシェランさんとリュトの姿を馬上でとらえた。
「ほら、降りな。しっかり見張っとくんだよ」
「これじゃ、尾行にならな………」
「ギルマスは尾行しろと言ってないだろ。動向を調査しろと言ったんだ。だから別にいいんだよ」
なんの話だろう? よくわからないがリュトは納得がいかない顔をしている。
「何か不満がありそうだね。言いたい事があればギルマスに伝えとくよ」
「別に……… いい」
「わかった。そう伝えとくよ!」
シェランさんはそう言うと、馬のいななきと共に方向を変える。
「リュト! 道案内してやんな。気をつけるんだよ」
そして、それだけ言うと再び街の方へ消えていった。
あとにはポツンと残されたリュトがいる。
「リュト……… 」
「うおぅ! メテル! ま、また会ったな!」
挙動不審なリュト、どうしても呆れた顔で見てしまう。
その時に後ろでため息を吐く気配がした。
振り向くとそこには目を閉じたダレフさんがいる。
「行くぞ」
ダレフさんは、ひと言だけ言葉を発して前に進んで行く。
「あっ、ダレフさん。待ってください」
私はダレフさんの背を追いかける、その後ろからリュトもついてきている。
そして、そのままの形で道を進んで行くと、私は私自身に違和感を感じた。
(私は、いま……… ホッとしている?)
なんでだろう、いま私は安堵した気持ちを持っている。
そんな事を思っていたら、前を行くダレフさんが、急に背をかがめ右手を後ろ、私たちの方にかざした。
なにをやって………
次の瞬間、肩を掴まれた感覚と同時に視界が歪む。
「キャッ!?」
「静かに」
耳元でリュトの声がした。
それと口も塞がれている。
苦しくはなかったので、落ち着いて周りを見てみた。
私はリュトと一緒に、茂みの影に身をひそめていた。
ダレフさんは私たちに変わらず右手を差し出しているが、指先だけが変わっている。
最初は手の指を全部立てていたが、いまは指を3本だけ立てている。
その指が3本から2本へ変わったとき、ダレフさんもまた、茂みに身を寄せた。
ダレフさんの気配が景色に溶け込む、これが隠密のスキルだろう。
次の瞬間、別の気配を感じた。
城兵とは異なる鎧を身につけた男が2名、その間に数十人の男女が歩いてきている。
鉱山で働く街の人々のようだ。
年齢もバラバラで、なかには咳き込み、ひどく疲れている人もいた。
「なんだ、街の連中じゃないか」
集団が通り過ぎた後に、リュトは何でもないかのように、そう言った。
そして、その集団が通り過ぎ、しばらくして私たちが警戒をとこうとした時、悲鳴が上がった。




