第四十七話 アドバイス
馬上のシェランはメテルとダレフの2人から別れた後、比較的早い段階でリュトと合流する事となった。
「リュト!」
「姐御!?」
西門へ足を向けていたリュトは、北門からさして離れていない場所でシェランの声を聞いた。
「こんなとこで何やってんだい?」
馬から降りながらシェランは言う。
「あ、いや、西門でおっさんがまだ出てないか聞こうかと………」
「で、西門からすでに出てたら、追跡用の馬を借りに、また街へ戻るのかい?」
「!!……… いや、それは………」
「ちゃんと必要な用途であるなら、ケチなギルマスでも出すもんは出すよ。それより見失っちまう方が問題だからね。分かったかい。ヒヨッコ」
シェランの言葉に赤い顔でグッと堪えるリュト。
それを見てシェランはフッと笑う。
元々彼女はリュトにダレフの尾行など無理と思っている。
と言うより、彼女にしてみれば、今回のこの任務は茶番なのだ。
「考え方は間違っちゃいないさ。最初に南門に出向いて、城兵にドワーフが現れたら身柄を確保するように、そして東門にも同じ事を伝えるように言ってからこっちに来てるだろ。ただ、伝達を伝える手法として最善ではなかった事と、目標がどんな考えで行動しているか、どんな能力を持っているかを、もうちょっと考えな」
シェランはそう言うと、リュトのオデコを軽く小突いた。
憮然とした表情のリュト。
それを見てシェランは笑みを浮かべる。
そのリュトの後ろを、商家の荷馬車が何気に通った。
何か違和感を感じっとったのか、シェランはその商隊に声をかけた。
「あんたらどうしたんだい? こんな時間に珍しいね」
その声に1人の商人がやつれた顔をあげる。
「西門がいましがた通行止めになっちまったのさ。この街を出るのを延ばそうと思ってね。中心街に戻るところさ」
「通行止め!?」
「ああ、まったく迷惑な話さ、北から行こうかとも思ったが、商品を持って、この時間から鉱山へは近づきたくないからね」
そう言って商人は、離れていく。
シェランは舌打ちすると、馬の手綱を引きよせ、素早く飛び乗った。
「行くよ、リュト! 後ろに乗りな!」
シェランは手を出し、リュトを促す。
差し出されたリュトの手を引き上げ、なんなくリュトを馬上に乗せると、再び馬を走らせる。
「リュトいいかい、今回の任務はあのドワーフと一緒にいることが重要なんだ。決して尾行にバレてはいけない、と言うわけじゃない。いいかい、一緒にいるんだ。決して離れるんじゃないよ」
「姐御、それってどういう……… ウワッ」
「舌噛むよ! 歯ぁ食いしばりな! 詳しい話は後だ! セイッ!」
シェランとリュトを乗せた馬は土埃を上げながら、商隊の荷馬車を追い抜き、北門に向かった。
物語を書くってのも、なかなか自分の思った通りには進まない物ですねぇ。




