人が多くいる世界
第一村人発見
あのスライムの魔人と鳥の獣人が去っていくのを見ていたら。
ひそひそ
ひそひそひそ
こちらを窺う気配。
「何あの格好……」
「得体のしれない……」
「あの化け物の仲間……?」
ひそひそひそ
「…………」
人間が多くいるのに感動していたが、人間と言うのはこうやって集まるとこういう行動をするのかと驚きの発見だ。
そんな感じでじっとしていたのが悪かったのだろう。
「お前、何者だ」
警戒心バリバリにこちらに寄ってくる数人の男性。
みんな同じ格好をしているという事は揃えたという事だろう。
「これが、制服……?」
師匠から聞いていたが実際見るのは初めてだ。
奴隷を育ててるところではもしかしたら同じような服をまとっているかもしれないが、それだったら質のいい服は無いだろう。
その制服を纏っている者達はこちらに武器――槍とか剣とか諸々――を向けて、
「ちょっと来てもらおうか」
命令だった。
有無を言わさない口調で、動きを封じる。
「…………………」
有無を言わさない雰囲気。まるで、奴隷狩りをする魔人達のようでなんとなくムカついた。
(焼いてやろうか……)
そう思って術を発動させようとしたが、
「まっ、待ってくださいっ!!」
制服の集団とメイザーリンの間に割って入ってくるのはメイザーリンと似たような恰好――もちろん男女の違いはあるが――の男性。
「何だ。シュバルツ!!」
「アランさん。この人の格好。僕の宗派と同じです。多分、魔女ですよっ!!」
必死になって説得しようとしているその男性はガタイがいいわりに小心者のようだ。
同じ宗派。そう言われて見れば似ているが……。
誰かに似ている………と言うかこの男性に皺を付けて、痩せ細くさせて、白髪にすれば……。
「師匠……」
そうだこの人物は師匠だ。
「えっ⁉」
師匠が何の事だと振り向いてくる。
とっさに呼んでしまったが、この人物は師匠の若い頃。自分を知っているわけはない。
「えっと……私の支障が若くなったらあなたのような感じだと思って………もしかして、師匠の親戚でしょうか……」
とっさに誤魔化したが、果たして通じるだろうか。
「師匠に似てるって……君の師匠の名前って分かる?」
師匠の名前………。
ここでフルネームは言いにくい。
もちろん覚えてはいるが。
「……師匠の真の名は秘匿故言えませんが、姓はアルペジオ。私は師匠の養女として育てられました」
魔術師は名を秘匿しないといけない。まあ、一人前になった時に氏名とは別の名を自ら付ける者もいるが。
「アルペジオ……僕の姓と同じだね」
じゃあ、君は……。
何かを言い掛けた時だった。
どこからか爆発音。
そして、
「ちッ、これ以上はレベルが上がんねえな」
「仕方ないよ。ここら辺の雑魚は狩り尽しちゃったんだから」
不思議な二人組が現れる。
その手には大きな布袋。
(……あの布袋……?)
中から魔力が感じ取れる。
「おっ、俺らの歓迎かい?」
「それともおこぼれでも預かりに来たの」
まあ。仕方ないわよね。
袋の口を少し開き中を見せる。
そこには魔石――魔族を倒すと出てくる魔力のかけら。
そこで気付く、その不思議な二人の身体にはびっしり魔族の返り血。
そして………怨嗟の念がこびり付いている。
「――また魔族を乱獲したんですか」
シュバルツ……師匠が声を掛ける。
「乱獲は生態系を狂わす。そう何度も言ったのにどうしてっ⁉」
「うるせえよ」
不思議な格好をした――冒険者と言うのを後で知った――男が師匠を蹴り上げる。
「そんなバカげた事を言ってんのは、お前のとこの宗教だけだろうが」
「……宗教ではなく、宗派です」
「漆瀬。……魔族は神の生み出した汚物。滅ぼす事が神のお心。まあ、稼ぐために都合いいものだからそんな宗教の考えなんてどうでもいいけどな」
邪魔すんな。
そう告げて容赦なく攻撃をするそいつをこの場に居るものは誰も止めない。
いや。
――この場にいる者達はどこか楽しんでいる。
その態度に許せず、攻撃をしようと呪文を詠唱しようとしたが、
しゅっ
一閃。
「あっ、やり過ぎた」
その暴力を振っていた男の首が飛んでいく。
そこには、剣を赤く染めた若い青年がそこに居た。
果たしてこの若者は……